私の思いと技術的覚え書き

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再びラジエーターグリルのこと

2011-04-25 | 事故と事件
 ラジエーターグリルとは、そもそもクラシックカーを見れば判るとおり、ラジエーター本体を囲む装飾品もしくは保護するガードとしての機能を持っていたのでしょう。しかし、クルマの進歩と共に、空力的な考慮を含みボデーデザインのアイテムとしての要素がほとんどとなって来たと思います。その様な中で、空力的な追求から、バンパー部のロワ・グリルのみで、ラジエーターグリルを持たないクルマも結構有ります。
 さて、ボデーデザインの一要素としてのラジエーターグリルのことについて、90年代初頭に登場した国産高級車として、トヨタ・セルシオ(米仕様レクサスType1)とニッサン・インフィニティのことを比較してみましょう。方やセルシオはメルセデス・ベンツを意識した大きめのグリル、インフィニティはグリルレスのデザインでした。このグリルの有無だけではないでしょうが、圧倒的に販売量を伸ばしたのはセルシオでした。
 この様に、特に高級車にとってのラジエーターグリルとは、クルマとしての押し出し感(威圧感)を高める要素を持っていることは確かだと思います。これは、大げさに云えば、ラジエーターグリルは権力の象徴とも云って良いと思われます。
 さて、世界で一番有名で、クルマのことに僅かでも関心がある方なら誰でも知るラジエーターグリルがあります。そうです、英国ロールス・ロイス社のクルマに装着されているものです。
 現在のロールス・ロイス・モーターカーズLtd社(ジェットエンジンを作るRR・plc社を除く)は、独BMW社に買収され、新生ロールスロイスとしてBMWエンジンを搭載したクルマを作り続けています。しかし、アイコンとなるラジエーターグリルのデザイン・イメージは保持し続けています。 新生のBMWロールスは知りませんが、それ以前のロールスのグリルについて、ちょっと記してみます。グリルの素材はステンレス材を使用しており、アウターグリルの三角屋根と左右と下部の枠は、ロウ付け(ブレージング)により接合されています。当然、ブレージング部を含め全面を丹念にバフ磨き仕上げされた外見は、継ぎ目などもほとんど判らず見事に仕上げられています。また、インナーグリルとなる縦の多数本のルーバーはステンレス板を曲げ加工したものを並べ上下の銅板製のブラケット部にブレージングされ、インナーグリルはアウターグリル内側にはめ込まれてボルトで取り付けられています。そして、三角屋根の頂点に立つ羽のある女性像はスピリット・オブ・エクスタシーと呼ばれます。この材質は銀製とも云われますがアンチモン製かもしれません。0私には未確認です。なお、対人接触のことを考慮し、マスコット像はスプリング・テンションにより可倒できる構造とされています。

※写真はRR・シルバーシャドー(シリーズ1)1970年代頃のもの。重量約9kgです。

ラジエータグリルについて種々想う(前回記事)


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