私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

三菱MRJの予想を超える納期遅延

2020-09-02 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 三菱というより我が国初の量産ジェット旅客機たるMRJの開発・納期が遅延に告ぐ遅延を繰り返している。これは何故か?

 我が国が航空機を作れる能力が欠落しているのか?と思われるかもしれないが、それはあり得ない。そもそも、だいぶ以前のことだが、YS11という旅客機も量産しているし、海自とか空自のライセンスでないオリジナル航空機は何機も作って来ている。

 ところが、今回のMRJは試験飛行で飛行はしているのだが、米FAAの型式認定が取れないのだ。そもそも国内だけで使用するつもりなら、FAA型式認定は不要だが、量産して世界に売り込もうとなると、そういう訳に行かないということの様だ。

 では、何故FAA型式認定が取れないかだが、これは知見不足という、大げさに云えば開発部隊にインテリジェンス要員が欠落していたとは私見だ。

 MRJの対FAA型式認定トライアルにおいては、2016年に大きな設計変更の決断に迫られたという。この結果、以後の3年間で合計900件を超える設計変更を行ったという。その内の一つだろうが、過去記事の記憶だが、機体前端のコックピットから尾部までのワイヤリングハーネスの引き回し経路を、全面的に変更せざるを得なかったという。この要求は、実機の運行に即座に問題はないが、機内もしくは貨物質内でテロなどで爆発があった際、ワイヤリングの生存想定を要求されるものだったという。

 そして、現在だが、三菱航空機では、コロナ病変や社内の予算上、MRJのFAAトライアルを一次中断するに至っているという。

 このMRJのFAAトライアルの膠着状態について、航空技術者ではないが政治アナリストのある方は、これは米の嫌がらせの一つだろうという。考えてみれば、自動車、産業機械など、その量産技術について、我が国は米国は元より、欧州最高の技術を誇ったドイツすら、遙かに超えていることを各製品で実証している。自動車産業はボロボロだが、未だ航空産業で世界No1の米国は、将来的な日本の台頭の芽を摘もうと図っている要素はあるのかもしれない。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。