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 私の思いと技術的覚え書き

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尾身会長の発言ハレーション

2021-06-07 | コラム
 政府のコロナ対策分科会の尾身会長が、東京五輪この状況で開催するのは問題だと発言し出したことについて、自民党を中心にしたメンバーから大反発が起きていると云う。

 この尾身発言について、今更そんな発言云うなよ、云うならもっと前に云え。これは尾身の自己保身とか、ことここに至って反旗を示すのは自らの責任転嫁ではないのかという意見も一部に聞かれる。

 これについて、私は以下の様に思っている。尾身氏という方は、ある意味権力者から見て温和しく、政権の思いを十分理解し、政権に反発する様な発言はしないという大前提の元に、人選されたのだと想像する。これが、もし尾身氏が強い自己顕示欲を持ち、学者としての強い発言力を行使するタイプだったら、政権は尾身氏を選任することに賛意することはなかっただろう。

 ところで、現状の病変パンデミックで特に重傷者が医床不足が目立つ中で、オリンピックを開催するのは多くの国民(私は70%前後がそう思っていると見込む)が不適切だと思っている。そんな中で、自民党の権力者達の中では、オリンピック中止という意見は一切出ず、何が何でも開催する方向に突き進んでいると云う異常事態自体に、如何にせよ専門家として黙することはできなかったと云うことではないのかと考えている。だから、尾身氏のことを、今更意見を変えたことに批判を行う方は、尾身氏は黙ってオリンピックに突き進む政府に協力すべきだと云いたいのだろうか。

 では、何が何でもオリンピックに突き進もうという政府政権に対し、ほとんどのマスコミは批判もしないし、Net民などの実際権力がない国民の批判は多いが、暴走する政府権力を牽制できる実質的な発言力を持たない。そこに、尾身氏の様な発言力を有する者が反意を示したことは評価できると思えるのだ。

 そもそも論を云えば、尾身氏は昨年1年何ら政府に忖度するばかりで、何をやっていたんだ、今更論を変えるなという意見はあるだろう。そういう点では尾身氏の反旗の表明は遅かったということは云えるだろうが、開催直前の今のタイミングで云うのは、遅すぎたという感は拭えないだろう。しかし、じゃあ尾身氏は黙っていれば良かったとでも云いたいのだろうか? そのまま政府権力者の思惑通りオリンピックを開催してもしょうがないと思っているのだろうか?

 私はそもそも専門家は、決して権力におもねることなく、自らの信じる科学的な所見を述べるべきが専門家というものだと思っている。しかし、現実は権力者はおもねる者しか専門家としての招聘はしないし、おもねることが絶えず求められるのが専門家だという現実がある。そういう点では、日本には尾身氏より、もっともっと国民に正しい道を示せた専門家は多く存在するけど、権力者はそういう専門家を忌避するのが現実なのだ。


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