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何故SUVが世界的流行か?

2020-07-22 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 もう既に20年近く前だろうが、SUV(スポーツユーティリティビークル)というジャンルのクルマが登場し増え続けてきた。最近ではロールスロイスにもあるし、フェラーリにも生産計画があるとか・・・。

 以下の下らない記事だが、SUVは何処が出発点かということも触れていないので、それを触れる意味で補足しつつ私見を書き留めてみたい。

 およそ世界で最初のSUVはクライスラーチェロキーだろう。ジープブランドを保持しているメーカーだ。そのジープは、今のジャンル呼称だと。クロカンとかRVと呼ばれるフレームが付いた4WD前提のクルマとなる。それをチェロキー(初代)では、フレーム付き背高ボデーを、ルーフをやや低め乗用車ナイズして人気を高めた訳だ。そして、そのモチーフを、何とか既存の乗用車生産ラインで作れないかと工夫したのが、トヨタのハリヤーだった。ハリヤーの、より乗用車ナイズした作りと、乗用車に比べれば高い車高など、一躍このSUVの魅力を世界中に植え付けたエポックたるクルマだったろう。

 先にも記しているが、ハリヤー型SUVの特徴は、既存の生産ラインで生産出来る、すなわちモノコックの主に車両下面がベースとなる乗用車と共通しているというものだ。初代ハリヤーでは、カムリと共通のモノコックコンポーネントを流用していたハズだ。

 このことは何を示すか。製造企業は多大な設備投資をしなくても新車開発が、単独設計に比べ安価に済むことになるし、製造ラインの共通化(場合によればセダンとの混流生産も可能)は、製造ラインの玉数を多くし、清掃コストの圧縮に結び付く。

 想像するにSUVを選択する者は、その車高の高さなどから、クロカン並みとまで行かなくても不整地走行など道を選ばない走破性の良さを念頭に置いているのかもしれない。しかし、それは、大きな欺瞞が内在している。つまり、乗用車派生のほとんどのSUVは、FF車ベースであるし、ラインナップ上に4WDモデルがある場合があるが、あくまでもFFベースの4WDということなのだ。このFFベースの4WDというのは、ほとんどの走行極面をFFで走るが、前輪がスリップしているという限定的な場合のみ、一時的に後輪も駆動しますよというものだ。従って、車両下部から前後の車軸を眺め比べてみれば判るが、後軸用のデフギヤは非常に小型のものが装着されており、もし常時後軸用デフギヤが最大駆動力を発揮し続ければ、到底持続させる耐久度は持たされていない。

 車両の基本性能というのは、走る、曲がる、止まるという3要素だが、この内曲がる性能については、重心の高さは安定性を低下させる要因になる。私は、何事によらず保守的なせいもあるが、クルマはセダンに限るとの思いが強い。まして、現状のSUVというものが、セダンをベースに如何に低コストでムードだけを変えた金儲けのムードだけの製品だと見る限り、あんな乗り降りし難いクルマに魅力を感じたことはにない。なお、想像だが乗る者にとっての魅力の一つに、ワンボックスと同様、ドライバー視線が高く、前方の乗用車を越えた前方や側方の視界が広いというのもあるのかもしれない。ただし、視線が高いと云うことは、新たな死角を生むことでもあり、この点もSUVのウィークポイントの一つになるのではないかと思える。
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なぜいま自動車業界はSUVバブルに沸いているのか?
7/22(水) 6:01配信 JBpress
 コロナ禍によって世界の自動車業界が大きな被害を受けるなか、日本では新型SUV(スポーツ・ユティリティ・ヴィークル)の販売が好調だ。

 例えば、6月17日に全国発売となったトヨタ「ハリアー」は、発売から1カ月で約4万5000台の受注に達した。月販販売目標の15倍という好調な出足である。

 ハリアーは、2019年に発売した「RAV4」の派生車。オフロード志向のイメージを強調したRAV4に対して、内外装にレクサス級の高級感を持たせながら、価格はエントリーモデルで299万円から設定したことで、「幅広い年代から支持を得ている」とトヨタは見ている。

 また5月1日から、全国のトヨタ車販売店が全店舗・全車種併売に移行した。コロナ禍による販売減を少しでも回復しようと、トヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店がいずれもハリアーを上期のイチオシ商品として積極的な営業活動をした結果でもあろう。

 軽自動車では、6月10日発売のダイハツ「タフト」が、発売から1カ月で月販目標台数の4.5倍となる約1万8000台を受注した。

 タフトは2019年発売の「タント」の派生車だ。スズキ「ハスラー」が開拓した軽クロスオーバーSUV市場で、ハスラーと商品性に違いを持たせたことが奏功している。最大のセールスポイントは、前席ルーフ部分を全面ガラス面とした「スカイフィールルーフ」だ。タフトの開発責任者は「オプションではなく標準装備して開発コストを抑えた」と説明する。

 このほか日産は、同社役員が「ブランニューモデルとしては10年ぶり」と説明する小型SUV「キックス」を6月24日に発売。実際には、2016年の南米での発売を皮切りに中国やアメリカなど世界各国で販売されているガソリンモデルの車体やサスペンションなどを大幅に改良し、「ノート」や「セレナ」などに搭載している独自のハイブリッドシステム「e-Power」を搭載したモデルだ。1.2リッターガソリンエンジンで発電し、電動モーターで駆動する。生産はタイで行う。キックス開発担当者は「発売2週間で受注は約8000台に達している」と説明する。

 輸入車では、ジャガー・ランドローバーの新型「ディフェンダー」に注目が集まっている。オフロード性能を先代モデルよりも向上させると同時に、内外装やオプションパーツを豊富に揃えた。価格を499万円からとレクサス中級SUV並みとしたことで、これまで輸入車SUVに縁のなかった層からの関心が高まっている。

 このほか、トヨタ「ヤリスクロス」、三菱「アウトランダー」、日産「エクストレイル」など、下期にも売れ筋SUVの発表が控えている状況だ。

■ 日本のユーザーが欲する「ミニバンの次」
 それにしても、なぜ、いま日本で各メーカーがこぞってSUVを市場投入しているのだろうか? 

 最大の理由は、世界的なSUVシフトだ。SUVは1960年代にアメリカで商用車を起源として誕生し、90年代以降に乗用車化が進んだ。今やアメリカの自動車市場はSUV比率がもっとも高く、2019年にアメリカで販売された自動車は4割強がSUV、4割弱がセダンなどの乗用車、残り2割弱がSUVとの部品共用性が高いピックアップトラックとなっている。

 こうしたアメリカでのトレンドは2010年代から中国にも伝播しており、2台目の新車を買う際は定番のセダンではなくSUVにする30~40代の中国人ユーザーが増加している。

 一方、近年の日本市場を見ると、他に類のないミニバン大国であり、また日本独自規格である軽自動車が市場の約4割を占めるという特異な状況となっている。そんな中、ユーザーからは、「そろそろミニバンや軽以外のクルマが欲しい」という市場変化を求める声が出始めてきた。そこに米中市場のSUVシフトが重なり、日本でもSUVシフトが起こり始めたと見るべきだろう。

 日本では、SUVが認知されてからまだ日が浅い。1990年代に三菱「パジェロ」などによって、いわゆるRV(リクリエーショナル・ヴィークル)ブームに沸いたことがあったが、SUVという言葉が一般化したのは2000年代半ば以降だ。その頃、筆者は富士重工業(当時)のスバル「フォレスター」の全国販売店社員向け資料動画に出演し、「アメリカで主流なSUVとはどんなクルマか?」を解説したことがある。あれから10年強が経ち、日本でようやく大きなSUVシフトが始まったというわけだ。

■ SUVブームは続くのか? 
 日本でSUV市場の競争がにわかに激化しているが、そうした中でとくに目立つのが本格的4駆オフローダーSUVという分野だ。

 例えば、前述のランドローバー「ディフェンダー」やトヨタ「RAV4」、軽ではスズキ「ジムニー」。また、日本から撤退したフォードが24年ぶりにアメリカで復活させた「ブロンコ」への関心が、ネット情報などを通じて日本でも高まっている。

 ただし、こうした本格的4駆オフローダーSUVで過酷なオフロードを実際に走行するユーザーは日本では稀である。本格的なオフロード走行性能はもちろん大きな魅力だが、あくまでもファッションアイテムとして日常での街乗りに使うユーザーがほとんどだ。

 さらに、2000万~3000万円クラスの富裕層向け超プレミアムSUVも人気が高い。ベントレー「ベンティガ」、ロールスロイス「カリナン」、ランボルギーニ「ウルス」に次いで、アストンマーティンやフェラーリもSUVに参入する。

 日本では、新型コロナウイルス感染の第1波による緊急事態宣言によって自動車市場は一気に冷え込んだが、緊急事態宣言解除後は市場の予想を上回るペースで自動車販売は回復している。とはいえ、新型コロナの終息はまだまだ見えず、長引くコロナ禍がボディブローのように消費者の懐を締め付ける可能性は否めない。現在、自動車業界はSUVブームに沸いているが、バブルのように短期に終わる危険性も否定できないだろう。桃田 健史

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