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12N とは何か?

2020-07-22 | 技術系情報
 以前、スリーナインという言葉を聞いた。エアバッックを開発したホンダ設計者の言葉だったと思うが、99.999ということを指している。99%が100分の1、99.9が線分の、99.99が万分の1、99.999(スリーナイン)が10万文の1だ。つまり10万台作って、その中の欠陥が1だという信頼性を示している訳だ。ところが、半導体製造に使われる使用材料の中には、12Nなんていう、9が12桁も並ぶおよそ想像できない高純度な製品があると云う。しかも、その製品の世界の8割を日本が作っているという話しだ。

 半導体製造に使用する洗浄剤として高純度フッ化水素というのがあるが、その純度を示す純度が 12N(99.9999999999)と9が12桁並ぶという並外れた高純度なものが必用だという。

 このフッ化水素とは、ガラスを溶かす性質を持っており、かつてスリガラスとか曇りガラスの製造用に使われたりしたり、フッ素を作るのに使用されたが、近年では超微細のLSIなどの集積回路の製造にはなくてはならない材料らしい。LSIなどでは、シリコンウェハ上に微細回路をマスク剤で回路をマスクして形成し、フッ化水素の強力な溶解力でマスク部分以外を溶かす(エッチングと呼ぶ)て生成する。

 LSIなど半導体は、かつては日本も大きなシェアを持っていた(1080年代)が、現在では低落化している。しかし、半導体の基本材料となるシリコンウエハとか、製造工程で使用する高純度フッ化水素、現像液たるレジスト、有機EL液晶パネルに必須のフッ化ポリイミドがあるが、これらは日本の数社のメーカーで世界の80%にシェアを持っているそうだ。

 冒頭述べた12Nなんていう並外れた純度は一朝一夕に確率できるものではない。しかもフッ化水素は、高い浸食作用を持ち、人体にも猛毒たる劇物で、相当な製品製造ノウハウが必用な物質だ。それを12Nというレベルまで高純度化させてきた技術力というのは日本の強みだろう。

 ちなみに、これら高純度の半導体製造に、12Nでなく6Nとか純度を下がるとどうなるかというと、製造の歩留まりが低下するという製品単価に直結する問題になるそうだ。つまり、12Nの高純度材料で90%以上の歩留まりが達成していたものが、50%とか歩留まりが下がれば、製品コストが跳ね上がり、商売にならなくなるということだ。

 これら、半導体製造に関わる材料の輸出を、日本は戦略的方針として韓国への輸出を2019年より停止している。韓国の半導体製造は、サムソン電子、SKハイニックス、LGディスプレイなどだが、そのGDPに占める比率は25%にもなるという。

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