私の思いと技術的覚え書き

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Pレンジの安全性

2016-01-12 | 技術系情報
 オートマチック車が大勢を占める現在、駐車時にパーキングレンジに入れてさえあれば、パーキングブレーキを引く(もしくは踏む)いずれも作動させなくとも安心だという方がいました。

 ATのPレンジとは、AT内部のアウトプットシャフトに設けた凹凸の段付き円周部にPレンジ用ロック爪(ロックポール)を勘合させることで行われるのは、ご存知のことでしょう。このロックポールが一旦勘合すれば、バネにより押し付けられ容易には外れないものです。下り坂など、静的な荷重には十分耐え得るものでしょう。

 しかし、当方の経験談として知るのですが、Pレンジでサイドブレーキ開放した乗用車に、時速40km/hほどでほぼ同一重量の別乗用車を追突させる実験に立会ったことがあります。この結果は 、被突乗用車は押し出され走り出し( つまりパーキングロックが外れて有効衝突速度の20km/h程度で)ました。その後速度は減衰しつつ、極低速となった状態(5~10km/h程度と推定)において、ガクンとパーキングロック再度掛かり停止したというものでした。

 また、高速走行ではちょっと恐ろしくてできませんが、低速度(5km/hほど)で、未だ車両が動いている状態でPレンジに入れるということを何度か経験しています。この結果からは、車型別にバラツキはあるのでしょうが 、一定速以上では、カラカラ等という異音が生じPレンジロックは働きません。速度が低いと、ガクンとPレンジロックがなされ停止します。

 そもそも先の追突実験は、この様な状況において、AT内分破損があり得るのかというのが主旨のものでした。結果は、実験後の分解点検においても、AT内部のパーキングロック機構に、特段の損傷は生じなかったというものです。以上のことから、パーキングロック機構は、あまり強い勘合とはならない様に配慮されていると想像されます。その理由の一番は、高速で誤操作した際に駆動輪ロックによる車両安定性が失われ事故に至る危険を避けるためでしょう。また、過負荷によるロック機構やATケース損壊を防ぐための配慮でもあるのでしょう。何れにしても、他車が衝突する等の強い襲撃を受けた場合、比較的容易に結合は切り離されるものであり、駐車時はサイドブレーキと共に操作することが安全上において必用なものです。




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