私の思いと技術的覚え書き

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水害車を騙されて購入・私ならこうして戦う

2020-10-25 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 これは8/12に悪徳修理業者との戦い方と表して記した掲載の、より詳しい記述として記すものだ。
 水害車であることを秘匿したまま程度の良いお値打ちの中古車だとして購入したら、水害車であった。次から次へとトラブル続きで、都度苦情を訴えても、中古車のことだからとお茶を濁されて、返金にも応じてもらえないというトラブルのことがNet情報に掲載されていた。たしかし水害車は毎年、全国の各地で発生しているが、それらは事故車販売Netなどで中古車屋や自動車屋が購入し、再生して‏再販売されている。そのこと自体は、悪とは云えないだろうが、やはり商売となると、なるべく原価を引き下げ最低限の修復を行うというところに、この問題の本質はあると思える。

 つまり、水害車を仕入れた業者が、原価アップを厭わず、限りなく水害車外の一般的中古車と遜色ない程度にまでの修復を行えば、例え水害車だと云えども、その様な不具合は生じないのだろうが、それにはまともな中古車を仕入れる以上の原価となることは確かだろう。

 そもそも、水害車では、その水没(水位)レベルにより、ある程度の損害額の大まかな様子が判じられる事例として、保険会社では一時に大量に発生した水害車の損害査定を行っているが、およそメーターパネル(計器板)まで水没したクルマは全損と判じている。これは、いかな新しいクルマでも同様であるからして、メーターパネルまで水没した車両を直そうとなれば、新品部品を調達して直せば新車価格を超える修理費用となると云うことなのだ。

 私案としての思いだが、事故車も含め水害車も、保険扱いで全損となった場合、その損害を保険で支払うと共に、車両の所有権は保険会社に移り、それを保険会社では提携している事故車買い取り業社に転売してある程度の回収金を得ている訳で、その場合に一時抹消処理となる訳であるが、事故車もしくは水害車により全損処理されたことを示すアラートを登録原簿に記載すべきではないかと思える。このことは、事故車や水害車を使った盗難車の車台番号の付け替えなどの犯罪にも利用される事案が多く、その抑止にも効果を発揮することだと思えることなのだが。

 さて、現状その様な記録は公式記録に残らない訳だが、有名どころの中古車オークションに出品すると結構念入りな中古車検査がなされ、事故車(修復歴車)とか水害車、オドメーター値の記録と事前オークション出品時との逆転で改竄車だという記録がなされる。ただし、このことは再オークション出品において判明して通知されるくらいで一般人には知る由もないことだが、中古車販売業者などは意識してオークション出品を控えることだろう。

 以上までのことを踏まえ、中古車として水害車を買わない様にするためにどうしたら良いか、またまかり間違って購入してしまった場合にどうして対処したら良いかを、この道40年の経験に基づいていかに記して見たい。

1.水害車の疑いを判じるために見たい場所
 表題を問われてどう答えるだろうか? フロアマットをめくって、その下の状態を見るなんて答えが予想されるが、プロはそんなところに着目しない。見るべきは、クルマの中で、何ら表面処理していない生鋼板が使用されている部位に注目すべきということだろう。

 クルマの中で、何ら表明処理していない生鋼板が使用している部位があるのかと云うことだが、車体の外側、シャシ廻りには幾らかその様な部位があるが、それらは水害車でなくともそれなりに発錆びしているから比較にならない。見るべきは、通常水濡れすることのない室内にある。それは、シートフレームとかステアリングサポートメンバー(フロントピラーツウピラーメンバー)の類だろう。これらは、どのような高級車であっても、一切の表面処理していない生鋼板を使用しており、ある程度使用した中古車においては、軽度な錆がチラホラと観察される程度になる場合がある。しかし、一端水没して完全に水濡れし、そのまま水分過剰な湿度の高い室内に放置されると、何ら表面処理していないだけに、見事に発錆は生じるものだ。ステアリングサポートメンバーを見るについては、ある程度の艤装部品を外さないと困難だが、シートフレームであれば、懐中電灯で座席下面を覗けばたちどころに錆の多い少ないは判明するところだろう。

2.まかり間違って購入契約し返金を求める場合
 まずは、間違いなく水害車で、少なくともどの程度まで水没したのかの調査と立証証拠を整える必用があるだろう。

 まず、水没水位だが、闇雲に車両を分解する前に、まず悪徳中古車業者が目を付けない部分として、ドア内張を外し、ドアパネル内部の状態を観察してみたい。水害車の多くは、余程の清水でない限り、細かい砂粒と一緒に水没するので、水が乾いても砂粒は残ることになる。これにより、どの程度の高さまで水没したか判明するだろう。なお、ここでは有力証拠の一つになるので、判り易い写真を撮影しておくことが必用だろう。

 水没水位が判明したら、そこまでは水没している訳だから、そのラインを前提に室内各種艤装品を取り外しつつ、外部や内部を観察し記録し異常ケ所(未修復ケ所)の写真撮影を行う。

 特に、電子制御系のプリント基板を使用している部品などは、水濡れにより基板上の半田部位や端子部位が白く粉が吹いた様な状態になっている場合があり、もしこんな状態があれば、現在は正常でも近い将来不具合が起きる可能性は十分あるので、記録し写真撮影を行う。

 シート周りに付いている、シートモーターやシートベルトテンショナー機器も、汚濁水の砂汚れだとかアルミ製品の白粉発錆びが見られれれば、異常なので記録し写真撮影する。

 以上の程度を行い、水没車との確信を得る必用があるが、出来れば本件事案にも適用できる知識と自動車工学にも一定以上の経歴(職歴)を持ち、また第三者的な説得力ある文章力を持つ者(以下鑑定人:損保などの鑑定人だと該当出来る能力者は10%居るかどうか)と共に、その確信を強めねばならないだろう。また、その鑑定人には事後の意見書も作ってもらう必用上、本人より第三者の方客観性が高まり良いと思える。

 確信を持てたら、配達送付記録付き郵便で、販売契約無効と返金の要請書を送達する。内容は、「水害車と言うことを隠して販売され、詐欺に該当するので、販売契約は無効であり、直ちに返金に応じろ。X月X日までに応じない場合は、告訴するつもりである。」という様な内容。

 どうせ、話しはなしのつぶてだと思うが、指定の日時に至ったら、告訴状を作成し、相手所在地を管轄する警察署もしくは検察庁へ告訴状を提出する。なお、告訴状の書面は、Netに種々あるので参考にされたいが、「本件車両販売契約は、水没車を隠して販売するという刑法246号に規定する詐欺行為を犯したもので厳重に処罰してもらいたい。」という結論とする。なお、立証証拠として、購入契約書(注文書)および第3者鑑定人作成の、該当車の水没車鑑定調査報告書を添付すること。

 まあ、ここで、問題なく告訴状が受理されれば、しばらく相手の出方を待つことになるだろう。検察庁からの連絡に驚き、早期の示談を図ろうとして、返金に応じてくるか、あくまで検察と戦い、起訴猶予を得ようともがくか、はたまた本訴になり、裁判の場で決着を図ろうかとするか。
 しかし、当方は明かな水没車の確信を掴んでおり、そのことの告知を受けぬまま騙された契約したのだから、何ら困ることはあるまい。なお、相手方が素直に返金に応じ態度が納得が行けば告訴の取り下げも出来る。ただし許せんと思えば、そのまま告訴の進展を待てば良いだろう。相手方は示談が済んでいるという面で、情状の余地は生まれるのだから。

 なお、ここまでの説明で弁護士のことには触れていないが、少なくとも当初の水没車の確信を得て第3者の鑑定人を選定するまでは、弁護士を委任するだけムダというものだ。ヘタにボンクラ弁護士に頼んで、ろくな鑑定物証も整備しないまま、民事的な話しを持ち込んでも、時間と費用を要すだけの問題となってしまう。弁護士を頼むなら、本訴になる場面でどうかという問題となるだろうが、時間的、手間的問題が許すなら、本人出廷だけで問題はないはずだ。




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