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水温計は必用だ!

2016-09-13 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 水冷エンジンの前提で、昔のアナログ車ではタコメーターはなくても冷却水温計は装備されていたものだ。それが最近のデジタルクルマでは、冷却水温計が省略され装備されぬクルマがやたら増えて来たと感じる。寒冷な季節など、水温が上がり始めた、もうちょっとで適温だ、やっとヒーターが効くと判る訳だが、ないとヒーターの効き具合でしか判らんのは困ったもんだとも感じる。まあ、青ランプで冷えていると知らせる様にしているクルマもあるが、そのしきい値(たぶん50℃辺りだろうが)さえも判りません。

 冷却水温というのはエンジンに取って極めて重要な温度だが、水温計が装備されていていても、特別なトラブルさえなければ、指針は中央部付近を指すだけのことにすぎない。水温計をなくし、コストダウン?を図るのは、オーバーヒートは警告灯で済むという考え方なんだろう。しかし、オーバーヒートに至る傾向(つまりヒート気味)が判断できるし、常時低温側を指していれば、オーバークールだと判別できる訳だ。

 エンジンの冷却系のトラブルは、昔のクルマに比べれば少なくなったとは思う。30年程前は冷却系のラバーホースが4年毎の定期交換部品に指定されていたぐらいで、新車から6年も経ればホースが破裂するトラブルを結構見たものだ。また、密閉式でない冷却系が普通だったので、冷却水がLLCでなく、冷却系の発錆から、ラジエータの水管が詰まってオーバーヒートなんていう事例も結構あった。現在では、余程経年しないとホースの破裂は見られない。しかし、クーラント(LLC)の適正交換を行わぬまま長期間乗り続け、防錆性能の劣化からラジエータコア(水管)が腐蝕し水漏れを生じるなんてことも今でも時々見聞きする。また、ラジエータの上下タンク部や加圧型のサブタンクは樹脂製だが、樹脂の経年脆化により破裂もしくは溶着接合部位から水漏れするというトラブルを見聞きする。

 それと、オーバーヒートでなく、オーバークールというべき、適温に達しない状態が続くというトラブルがある。これは、冷却水通路に設けられた水温を制御するサーモスタットの不良によるもので、現在のクルマでもあり得る故障だろう。オーバークール状態の長期間の運転は、適正な燃焼を阻害し、燃焼室内のスラッジの堆積や熱効率低下から燃費も悪化するので禁物な状態だろう。

 ところで冷却水温の適正値だが、メーターは目盛りのみで数値が書き込まれぬことが多いので必ずしも明確ではないが、20年くらい前と現在では10°C程度の上昇が伺える様だ。すなわち、昔は80°C程が適正値だったのが、現在は90°C程が適正値となってるクルマが多い様に推察している。冷却水温が高い程、冷却効率が良くなり(大気温度との差が大きいから)、ラジエータなどの小型化に結び付く訳だが、加圧式の冷却水圧力も高まるから、先の樹脂の劣化による破裂にも注意が必要なんだろうと思われる。


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