私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

タテ社会の力学から思う首相秘書官の暴言

2023-02-08 | コラム
タテ社会の力学から思う首相秘書官の暴言
 実のところ、教養とは「学問・知識をしっかり身につけることによって養われる、心の豊かさ」と意訳されるのだが、決して私が教養あるとは思ってはいないものの、いささか教養を身に付けたい、その思考に基づいて信じる正義を貫いて行きたいという思いは、特に損保調査員の業に身を置く頃から、つまり30数年以上前から思い続けて来たことだ。
 こういう教養を育むには、それなりの専門知識を得るだけでは不足で、もっと大きな視野で、多くの論者の話しを聞き知りる必用があると思って来た。そういう論者の話しを聞き知るには、実際に会って聞くということになると、既に故人となられとか、かなり昔の歴史上の人物も多いので、物理的に会うなんて到底不可能だし、それは書籍を読むことで得られるのだと意識しつつ、積極的に専門書以外も読んで来た。

 そんな中で、過去から何度か考え方の基底において引用している「タテ社会の人間関係(中根千枝著)は、大きな影響を与えてくれた本だと認識するのだが、その中根千枝女史が、別の書籍で「タテ社会の力学」という本を著していることを今更ながら知り、現在読み進めてて、未だ2割程しか読んでいない段階なのだが、既に、そういう考え方が(力学)が働くのか、それは思い当たる節が確かにあるという気付きを感じつつあるのだ。

 このタテ社会の力学で、人々は権力者から一般庶民まで、さまざまな社会階層があるのが現実だが、それぞれの階層において、ある小集団としてのグループを形成しているという感が方ができるとしている。特に、日本の中で、政治的に最上位にある内閣官邸と云えども、その様な小集団としての性格を持ち、幾ら総理大臣が独善的な指揮権を持っていても、現実的にはそれは、余程カリスマ性ある特殊な人物以外は行使することは不可能で、小集団という中で合意形成してことが進められていくと性格を持っているとしている。

 これに関連して側近政治といわれるものがあるが、必ずしも能力の優れた者がトップリーダーになるとは限らず、小集団の中で祭り上げられリーダーになる場合が多いとある。特に、その様なリーダーとして、実力がなく人を見る目のない者や、自己顕示欲が強く、お世辞に弱い者がリーダーとなると側近政治となり、リーダーの視野は狭まり貧しい決定がなされやすいとなる。これ正に、安倍以降の現総理までの、そのこととドンピシャの内容だろう。

 さて、今回のLGBT関連で差別発言して更迭された秘書官の問題だが、そもそも安倍政権時代から、統一教会的思考は、家族制度の復権が謳われ、LGBTなど大昔の欧州のオスカーワイルドの時代の遺物というべき陳腐な思想だろう。そもそも、G7広島会議が5月に予定されるが、現行G7国で、LGBT婚姻を認めていないのは日本だけだというのだから、日本の先進度というか人権度はあまりに低すぎると云わねばならないだろう。

【中根千枝関連からの過去記事】
職人達の人間関係を思う
2008-11-04 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/16cfc7d6b21d3439bd2a903c57e23bbf

-------------------------------------------------------------
LGBT法案、自民党が一転した3つのワケ
日テレNEWS 2/8(水) 6:30配信
 LGBT・性的マイノリティーの人たちへの理解を促進するための法案について、自民党は前向きに検討していくことになった。2年前に国会提出が見送られた法案が、ナゼ今、一転して動き出したのか。「3つのワケ」からひもとく。

■ <理由1>「見るのも嫌だ」前・首相秘書官の発言
 理由の1つ目は、荒井前首相秘書官の発言。
 荒井氏は同性婚などをめぐり「見るのも嫌だ」などと発言し更迭に追い込まれた。
「スピーチライターとしては歴代の経産省出身の秘書官の中でも、ピカイチ」(経産省中堅)と評価されていた荒井氏の発言に、野党だけでなく、政府・与党内からも「首相秘書官は政権を支える人なのに足を引っ張ってどうする」「政権の正当性が問われる」などと厳しい声が相次いだ。
 岸田内閣が「多様性のある包摂社会の実現」を掲げながら「多様性を認めない内閣」(立憲幹部)だという指摘もあがった。
 岸田首相も周辺に対して「あの考えは言語道断で、どうしようもない」と漏らしていたという。
 荒井氏の更迭を受け、週が明けた6日、自民党の茂木幹事長、萩生田政調会長、遠藤総務会長が党本部で集まり、LGBTの人たちへの理解を促進するための法案の扱いについて協議。法案の国会提出に向け、前向きに検討していくことで一致した。
 この法案は2021年、超党派のLGBTに関する課題を考える議員連盟が成立を目指したものの、自民党内の保守派からの反対で国会提出が見送られた経緯がある。
 政府関係者によると、荒井氏の発言を受けて、岸田首相は自民党総裁として党幹部に対し、LGBT法案の今国会提出に向けた検討をするよう、指示したという。
 このLGBT法案は、政府が国会に提出する内閣提出法案=「閣法」とは違い、超党派で成立を目指す議員立法=「議法」の形式を取っているため、国会提出に向けた手続きは政府ではなく党が主導することになる。岸田首相周辺も「議員立法なので、政府としては言えないが、党としてしっかり取り組むことになるのではないか」と期待感を示す。
■ <理由2>G7広島サミット“開催前の成立を”
 「ぜひとも今国会で成立をさせるべく、できればG7のサミットをやる前に日本としてのこの意思を明確に示すべきである、このように思っております」(公明党・山口代表)
 「今回G7の議長国ということもありますし、今回の出来事を契機に世界からも注目が集まっているので、できればG7までに理解増進法の成立をする、そしてそれを世界発信するというのはいいのではないかと個人的に思う」(自民党・稲田元防衛相)
 理由の2つ目は、今年5月に開催されるG7広島サミットだ。
 松野官房長官が記者会見で「日本以外のG7諸国は何らかの形で差別を禁止する法令や、同性婚法、またはパートナーシップ制度を有している」と述べるなど、性的マイノリティーへの対応をめぐっては、日本だけが他のG7メンバーと違い法整備が進んでおらず、「世界に比べて意識が低い」と指摘を受けている。
 事実、G7メンバー国の中で同性婚が認められていないのは日本だけだ。海外メディアも「日本にはLGBTQ、女性、外国人への偏見が根強く残っている」(AP通信)、「日本は伝統的な男女の役割と家族の価値観に縛られている」(イギリスBBC)などと批判的に報道した。
 政府・与党としては、世界からの冷ややかな見方を払拭するためにもG7広島サミット前にLGBT法案を成立させたいとの思惑もある。

■ <理由3>「安倍氏死去で状況が…」“保守”の変化
 理由の3つ目は、自民党内の保守派に生じた変化だ。ある自民党幹部は、2年前の国会提出見送りを振り返り「法案は完全な理念法案で、なぜ通らなかったかが分からないくらいの内容。これを今やったとしても何も問題はなく、『差別は許されない』『不当な』などの一部文言の調整があるくらい。あの時、反対していた状況とは安倍氏死去でだいぶ変わってきている」と解説する。
 2021年に自民党で法案を審査した際には、党内の推進派と野党が合意した「差別は許されない」とする文言などに保守派が強く反発。「権利を主張する裁判が相次ぐ」「男なのに女だと思って温泉に入ることが起こる」などと主張し、自民党の政調審議会では了承されたものの、最終的に最高意思決定機関である総務会で「党3役(幹事長、政調会長、総務会長)預かり」となった。
 その際、反対する保守派を支援していたとされるのが、去年、亡くなった安倍元首相だ。関係者によると安倍氏は、生前、周囲に対して「LGBTの人たちを差別する人は唾棄すべきだと思うが、法律にする必要はない」と話していたという。
 また、保守派の議員の一人も「安倍さんは法案に反対していたが、差別を許すことはしなかった」と解説する。
 法案推進派の自民党議員は「安倍元首相が生きていた頃は反対せざるを得なかった部分はあると思うが、そんなに反対ではない人もいる」と党内の現状を分析する。
 一方で、自民党内からは「安倍さんが生きていたときにまとめたラインを超えると怒る人がいるかも」との声も上がっており、党内で再び議論が紛糾するおそれもある。
 国会では立憲民主党はこのLGBT法案はもちろんのこと「岸田政権が本気で『多様性』というなら、選択的夫婦別姓にまで踏み込むべき」と攻勢を強める。自民党内にも世論の反発などもふまえ「この機会に夫婦別姓までやればいい。総理の覚悟次第」(閣僚経験者)という声がある一方、LGBT法案ですら根強い反発があり調整がつくかは不透明だ。
 政権が掲げる「多様性・包摂的社会の実現」が“かけ声”だけでなく、政策を実現させ説得力をもつか、岸田総理の「覚悟」が問われている。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。