日車協連が損保と団体交渉へ(日刊自動車新聞6/21記事)
先日のビッグモーター絡みの記事に続き、本日(6/21)の日刊自動車新聞に日車協連(日本自動車車体整備協同組合連合会)が損保との取り引き適正化に向けて団体交渉を行うということが報じられている。
ただ、この報道を見て驚くのは、この様な団体交渉が30年ぶりに行われるというところだ。そもそも、日車協連とか、中小零細企業をある意味保護する目的で、中小企業法、中小企業等組合法などが整備され、日整連もその中で構成されているのだが、その法律の理念は、大企業の比べとかく弱い立場に追いやられる中小企業の構成員が相互扶助の精神で共同して事業継続ができるための法制だろう。
例えば、今回30年ぶりに行われるという団体交渉だが、中協法施行令(中小企業党共同組合施行令)第7条では以下の様に記され、その交渉を行う権利を保障されている。
第七条 事業協同組合若しくは事業協同小組合の代表者(これらの組合が会員となつている協同組合連合会の代表者を含む。)又は協同組合連合会(法第九条の九第一項第一号又は第三号の事業を行うものを除く。)の代表者が法第九条の二第十二項(法第九条の九第五項において準用する場合を含む。)に規定する交渉をしようとするときは、その交渉をしようとする日の三日前までに、その交渉をしようとする事項を記載した書面を送付して申し出なければならない。
2 前項の規定による申出をする者の数は、五人を超えてはならない。
従って、30年ぶりに行われるという今次の団体交渉だが、今まで何故開催されてこなかったのかと訝る思いを持つところだ。こういうに日車協の対応ぶりが、要因の一つとして関連し、近年の日車協の加盟工場数の衰退に繋がった様にも想像できるところだ。
なお、中小企業でも、その価格を一律に談合決定することは独占禁止法に抵触する。しかし、先にも上げた中小企業等組合法での団体交渉の結果として、価格に関する団体協約を締結することは、中小企業法に認められている組合の行為として独占禁止法22条により、独占禁止法の適用除外とされている。
ところで、6/4付け過去記事の中身の文書後段で触れた、さるべき修理工場取りまとめ機関幹部が、「損保とは争わずに仲良くやりたい」とか「我々は真に困っちゃいない」という意見があることを人づてに文書として入手しているが、こういう意識が前提にあるとしたら、何処まで今回の問題を突き詰めることができるのだろうかという思いを持つところだ。
【過去記事】
修理費の実態調査の報に関する情勢
2023-06-04 | コラム
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/49b286bc16b2d2093c4af1cd46b944ff
まあ、そうは云えども、また遅きに失した感は持つものの、今回の30年ぶりの団体交渉を否定する思いは決してない。できうれば日車協会員工場だけでなく、車体整備関わる総ての中小零細企業にとって、価値ある成果を得て、凋落してしまった加入会員数の衰退を盛り返して欲しいと願うところであるが、なかなか難しい問題が内在している様に感じるところだ。
先日のビッグモーター絡みの記事に続き、本日(6/21)の日刊自動車新聞に日車協連(日本自動車車体整備協同組合連合会)が損保との取り引き適正化に向けて団体交渉を行うということが報じられている。
ただ、この報道を見て驚くのは、この様な団体交渉が30年ぶりに行われるというところだ。そもそも、日車協連とか、中小零細企業をある意味保護する目的で、中小企業法、中小企業等組合法などが整備され、日整連もその中で構成されているのだが、その法律の理念は、大企業の比べとかく弱い立場に追いやられる中小企業の構成員が相互扶助の精神で共同して事業継続ができるための法制だろう。
例えば、今回30年ぶりに行われるという団体交渉だが、中協法施行令(中小企業党共同組合施行令)第7条では以下の様に記され、その交渉を行う権利を保障されている。
第七条 事業協同組合若しくは事業協同小組合の代表者(これらの組合が会員となつている協同組合連合会の代表者を含む。)又は協同組合連合会(法第九条の九第一項第一号又は第三号の事業を行うものを除く。)の代表者が法第九条の二第十二項(法第九条の九第五項において準用する場合を含む。)に規定する交渉をしようとするときは、その交渉をしようとする日の三日前までに、その交渉をしようとする事項を記載した書面を送付して申し出なければならない。
2 前項の規定による申出をする者の数は、五人を超えてはならない。
従って、30年ぶりに行われるという今次の団体交渉だが、今まで何故開催されてこなかったのかと訝る思いを持つところだ。こういうに日車協の対応ぶりが、要因の一つとして関連し、近年の日車協の加盟工場数の衰退に繋がった様にも想像できるところだ。
なお、中小企業でも、その価格を一律に談合決定することは独占禁止法に抵触する。しかし、先にも上げた中小企業等組合法での団体交渉の結果として、価格に関する団体協約を締結することは、中小企業法に認められている組合の行為として独占禁止法22条により、独占禁止法の適用除外とされている。
ところで、6/4付け過去記事の中身の文書後段で触れた、さるべき修理工場取りまとめ機関幹部が、「損保とは争わずに仲良くやりたい」とか「我々は真に困っちゃいない」という意見があることを人づてに文書として入手しているが、こういう意識が前提にあるとしたら、何処まで今回の問題を突き詰めることができるのだろうかという思いを持つところだ。
【過去記事】
修理費の実態調査の報に関する情勢
2023-06-04 | コラム
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/49b286bc16b2d2093c4af1cd46b944ff
まあ、そうは云えども、また遅きに失した感は持つものの、今回の30年ぶりの団体交渉を否定する思いは決してない。できうれば日車協会員工場だけでなく、車体整備関わる総ての中小零細企業にとって、価値ある成果を得て、凋落してしまった加入会員数の衰退を盛り返して欲しいと願うところであるが、なかなか難しい問題が内在している様に感じるところだ。