クロスハッチとは、シリンダー内面に左右斜めにクロスして磨かれた状態を指す。
シリンダーの製造工程もしくはチューニンング作業におけるボーリングという行程では、真出し後、ボーリングマシンという内歯式旋盤というべき機械により内面を回転バイトで切削する。その後、ホーニングという行程で、砥石をシリンダー内面に押しつけつつ、一定角の回転と上下動させて、先のバイトでの切削痕の目消しをして仕上げるのだ。この際に、砥石による左右回転と上下研磨によりクロスハッチが生成される訳だが、この極めて細かく適度な線状クロスハッチは、その凹部にオイルを保持するからピストンとの摺動は滑らかで摩擦が小さいから摩耗も少なくできる。
写真はRB26の1~3シリンダーを写したものだが、明らかに異常な2番を除いて、1および3番は綺麗なクロスハッチが形成されていることが判るだろう。なお、両者共に上死点位置のトップリングの当たり位置付近がやや縦キズで様相が異なっているが、正常エンジンでも元来ここが最もシリンダー摩耗が進む部位となる。それは、オイル供給量が少なく、燃焼行程初期の高温を受けるためであるが、このエンジンでは加給圧を上昇させすぎた結果から生じたものであろう。先に明かな異状として記した2番は、この壊滅例としてピストンが棚落ちしてシリンダー壁に極端なカジリ生じたものだが、その前触れたるカジリが他のシリンダーにも生じているということなのだろう。
シリンダーの内径は、真心円の筒として仕上げられる。一方。そこを往復運動するピストンは、側面視で上と下(スカート部)を計測すると、上が小さく下が大きいという、極端に表せば台形様の形をしている。これは、燃焼室を形成し燃焼圧力を直接受けるヘッド部と下部スカート部では、受熱温が異なることによる。従ってオーバーヒートを生じさせたり加給圧を異状に高めたりして燃焼温度が想定を上回ると、ピストン膨張からシリンダー壁とのオイルクリアランスがなくなりカジリという現象を生じる。
ところで最近のエンジンは、スカート部を短くしたりモリブデンを溶射コートしたりして、なるべく摺動抵抗を下げ燃費ロスを防ぐ傾向にある。しかし、スカート部を短くすると、特に冷間時のシリンダーとピストンのクリアランスが大きい時、ピストンが首振り運動しサイドスラップ音が気になる場合がある。このサイドスラップ音は、暖機後にほぼ消音するが、高級車用としては使えないエンジンだろう。
シリンダーの製造工程もしくはチューニンング作業におけるボーリングという行程では、真出し後、ボーリングマシンという内歯式旋盤というべき機械により内面を回転バイトで切削する。その後、ホーニングという行程で、砥石をシリンダー内面に押しつけつつ、一定角の回転と上下動させて、先のバイトでの切削痕の目消しをして仕上げるのだ。この際に、砥石による左右回転と上下研磨によりクロスハッチが生成される訳だが、この極めて細かく適度な線状クロスハッチは、その凹部にオイルを保持するからピストンとの摺動は滑らかで摩擦が小さいから摩耗も少なくできる。
写真はRB26の1~3シリンダーを写したものだが、明らかに異常な2番を除いて、1および3番は綺麗なクロスハッチが形成されていることが判るだろう。なお、両者共に上死点位置のトップリングの当たり位置付近がやや縦キズで様相が異なっているが、正常エンジンでも元来ここが最もシリンダー摩耗が進む部位となる。それは、オイル供給量が少なく、燃焼行程初期の高温を受けるためであるが、このエンジンでは加給圧を上昇させすぎた結果から生じたものであろう。先に明かな異状として記した2番は、この壊滅例としてピストンが棚落ちしてシリンダー壁に極端なカジリ生じたものだが、その前触れたるカジリが他のシリンダーにも生じているということなのだろう。
シリンダーの内径は、真心円の筒として仕上げられる。一方。そこを往復運動するピストンは、側面視で上と下(スカート部)を計測すると、上が小さく下が大きいという、極端に表せば台形様の形をしている。これは、燃焼室を形成し燃焼圧力を直接受けるヘッド部と下部スカート部では、受熱温が異なることによる。従ってオーバーヒートを生じさせたり加給圧を異状に高めたりして燃焼温度が想定を上回ると、ピストン膨張からシリンダー壁とのオイルクリアランスがなくなりカジリという現象を生じる。
ところで最近のエンジンは、スカート部を短くしたりモリブデンを溶射コートしたりして、なるべく摺動抵抗を下げ燃費ロスを防ぐ傾向にある。しかし、スカート部を短くすると、特に冷間時のシリンダーとピストンのクリアランスが大きい時、ピストンが首振り運動しサイドスラップ音が気になる場合がある。このサイドスラップ音は、暖機後にほぼ消音するが、高級車用としては使えないエンジンだろう。