見積研修というもの
ここでは、自整業およびBP業もしくは損保調査員を前提として、いわゆる見積研修というべきものについて拙人が予てより思考して来たことに触れたい。おそらくだが、世の幾多の見積研修を主催もしくは受講してきた方でも、こういう思考での見積研修は受けていないだろうと感じることもあり、何を今更見積の話しなんてと思わず読んでもらえたらと思う。なお、ここでは見積の細かい話しを一切するつもりはない。
1.前提条件について
見積を行うについては、事故車であれば、自分でぶつけたのか、ぶつけられた被害事故かをある程度意識して見積を作るのは、一定の実務経験者なら思考するだろうし、私がここで記すまでもないことだ。
私が記すのは、現実問題として見積対象車の支払い者の支払い能力がどうかというのは大きな要素になるだろうということだ。つまり、金ないものに幾ら正当な見積を一生懸命作ったところで徒労に終わり、修理しないとなるか、その見積を前提に他の工場に交渉するなりされて、受注が逃げるという場合は多いだろう。
こういうケースで良くあるのが、ディーラーで見積取って、街の板金工場に仕事が流れてくるというものだが、これは板金工場にとっては美味しい話しだが、さらに賢いユーザーは、一カ所の板金工場だけでなく、複数の板金工場に確かめるから、うかうかできないところだ。
ところが、ユーザーが潤沢な資金を持っていたり、保険の扱いであったりすると、見積は定価で正当な請求できる訳だが、あまりムチャをやると、ヘタすりゃ損保主導で車を別の工場へ引き上げられることになる場合さえある。このことは拙人の20数年の調査員時代にも、あまりにムチャを云い引き下がらない工場に対し、保険契約者の了承を取り、その上でこのままでは車両を引き上げ他の工場で施行せざるを得ないと宣言したことが数度ある。ただし、ここまでのことをやれば、どんなに強気な工場も、一定引き下がるものだ。つまり、拙人はいざ引き上げる直前の局面までは追い込むが、それはあくまで恣意行為の範囲であり、実際に引き上げ移動までをしたことはない。このことは、あくまで恣意の範囲に留め、工場のすべての売上までを奪うのはやり過ぎだという自制心があったからに他ならない。
2.見積作成とは支払い者の納得を得て終了するということ
見積研修と云うと、正当な見積とか、ある場合にはこうすれば余分に取れるとか、損保の場合には、その地その場所の平均的的見積みたいな思考だけで見積することになる。
だから、最近の損保の子供達などは、入庫工場と主要項目の打ち合わせも欠落したまま、損保見積を提示している例を見る。この件、本当は入庫工場主としては、クォーターパネル板金するが、ちょっとやっかい程度に内実は思っているにも関わらず、まったくそういう打ち合わせもない中で、拙人に云わせりゃバカの一つ覚えで、クォーターパネル取替、その他付随作業の計上という見積を作って送って来る、もしくはその場でプリントアウトして置いて来るある意味親切な調査員もいる。
以上は例外的な話しだが、見積とはその作成で完了ではないと云うことをいいたいのだ。つまり、正当だと確信する見積を、どうやって支払い者に説明し、納得してもらえるかという、云って見れば説明力とか交渉力を含め見積能力と云うべきだろうと思っている。
その様な点では、現在行われている見積研修は、大きな要素が欠落しているのだろうと思っている。このことは、調査員の基礎的研修を行う自研センターという組織はあるが、そこでの研修においても、まったくその視点での研修は行われていない。
生意気な話しを記すが、拙人は調査員に所属して4年余りを現場で過ごし、30そこそこで本社研修部という部署で過ごし、全国の主要都市を廻り、その所属調査員のレポート審査を行い、個別面談しつつつ、自分より余程キャリアも長く年上の調査員に向かい、正にこの見積を前にして、どうしてこれが取替なのですか?、それにしては付随作業でこの作業が入っていないがどうしてですか?、塗装料金が高額ですが塗装範囲はどの範囲と判断したのですか?などなど、ある意味支払い者が工場にたずねる様な質問を繰り返してきたのだが、まあ満足に説明できる者の少なかったことだ。
あげくの果てに大先輩曰わく「調査員は見積出して終わりでいいんではないか。その後どう払うか保険会社が決めれば云い」とまでうそぶく先輩も結構いて、参ったなぁという思いを持っていたのだ。流石に大先輩を突き詰める訳にもいかず、「先輩、我々は公権力を持つ訳ではないので、常に同意を得て行くのが私ら仕事だと思っているんです」などと説明して来たのだ。これが後輩だったら。「アホ!、幾ら正当な見積が出来たところで、それをムリなく説明説得できるのが調査員のプロだ!」と怒鳴りつけて来たものです。
そんな思いあり、当時新人調査員の研修では見積の基本を教えることは当然のことだが、対工場との協定における折衝話法というべき科目を設定し運営して来たのだが、どうやら現在はそういう研修が行われている様子は感じられない。
#見積研修 #2つの要素
ここでは、自整業およびBP業もしくは損保調査員を前提として、いわゆる見積研修というべきものについて拙人が予てより思考して来たことに触れたい。おそらくだが、世の幾多の見積研修を主催もしくは受講してきた方でも、こういう思考での見積研修は受けていないだろうと感じることもあり、何を今更見積の話しなんてと思わず読んでもらえたらと思う。なお、ここでは見積の細かい話しを一切するつもりはない。
1.前提条件について
見積を行うについては、事故車であれば、自分でぶつけたのか、ぶつけられた被害事故かをある程度意識して見積を作るのは、一定の実務経験者なら思考するだろうし、私がここで記すまでもないことだ。
私が記すのは、現実問題として見積対象車の支払い者の支払い能力がどうかというのは大きな要素になるだろうということだ。つまり、金ないものに幾ら正当な見積を一生懸命作ったところで徒労に終わり、修理しないとなるか、その見積を前提に他の工場に交渉するなりされて、受注が逃げるという場合は多いだろう。
こういうケースで良くあるのが、ディーラーで見積取って、街の板金工場に仕事が流れてくるというものだが、これは板金工場にとっては美味しい話しだが、さらに賢いユーザーは、一カ所の板金工場だけでなく、複数の板金工場に確かめるから、うかうかできないところだ。
ところが、ユーザーが潤沢な資金を持っていたり、保険の扱いであったりすると、見積は定価で正当な請求できる訳だが、あまりムチャをやると、ヘタすりゃ損保主導で車を別の工場へ引き上げられることになる場合さえある。このことは拙人の20数年の調査員時代にも、あまりにムチャを云い引き下がらない工場に対し、保険契約者の了承を取り、その上でこのままでは車両を引き上げ他の工場で施行せざるを得ないと宣言したことが数度ある。ただし、ここまでのことをやれば、どんなに強気な工場も、一定引き下がるものだ。つまり、拙人はいざ引き上げる直前の局面までは追い込むが、それはあくまで恣意行為の範囲であり、実際に引き上げ移動までをしたことはない。このことは、あくまで恣意の範囲に留め、工場のすべての売上までを奪うのはやり過ぎだという自制心があったからに他ならない。
2.見積作成とは支払い者の納得を得て終了するということ
見積研修と云うと、正当な見積とか、ある場合にはこうすれば余分に取れるとか、損保の場合には、その地その場所の平均的的見積みたいな思考だけで見積することになる。
だから、最近の損保の子供達などは、入庫工場と主要項目の打ち合わせも欠落したまま、損保見積を提示している例を見る。この件、本当は入庫工場主としては、クォーターパネル板金するが、ちょっとやっかい程度に内実は思っているにも関わらず、まったくそういう打ち合わせもない中で、拙人に云わせりゃバカの一つ覚えで、クォーターパネル取替、その他付随作業の計上という見積を作って送って来る、もしくはその場でプリントアウトして置いて来るある意味親切な調査員もいる。
以上は例外的な話しだが、見積とはその作成で完了ではないと云うことをいいたいのだ。つまり、正当だと確信する見積を、どうやって支払い者に説明し、納得してもらえるかという、云って見れば説明力とか交渉力を含め見積能力と云うべきだろうと思っている。
その様な点では、現在行われている見積研修は、大きな要素が欠落しているのだろうと思っている。このことは、調査員の基礎的研修を行う自研センターという組織はあるが、そこでの研修においても、まったくその視点での研修は行われていない。
生意気な話しを記すが、拙人は調査員に所属して4年余りを現場で過ごし、30そこそこで本社研修部という部署で過ごし、全国の主要都市を廻り、その所属調査員のレポート審査を行い、個別面談しつつつ、自分より余程キャリアも長く年上の調査員に向かい、正にこの見積を前にして、どうしてこれが取替なのですか?、それにしては付随作業でこの作業が入っていないがどうしてですか?、塗装料金が高額ですが塗装範囲はどの範囲と判断したのですか?などなど、ある意味支払い者が工場にたずねる様な質問を繰り返してきたのだが、まあ満足に説明できる者の少なかったことだ。
あげくの果てに大先輩曰わく「調査員は見積出して終わりでいいんではないか。その後どう払うか保険会社が決めれば云い」とまでうそぶく先輩も結構いて、参ったなぁという思いを持っていたのだ。流石に大先輩を突き詰める訳にもいかず、「先輩、我々は公権力を持つ訳ではないので、常に同意を得て行くのが私ら仕事だと思っているんです」などと説明して来たのだ。これが後輩だったら。「アホ!、幾ら正当な見積が出来たところで、それをムリなく説明説得できるのが調査員のプロだ!」と怒鳴りつけて来たものです。
そんな思いあり、当時新人調査員の研修では見積の基本を教えることは当然のことだが、対工場との協定における折衝話法というべき科目を設定し運営して来たのだが、どうやら現在はそういう研修が行われている様子は感じられない。
#見積研修 #2つの要素