私の思いと技術的覚え書き

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マーチスーパーターボ

2016-10-01 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 新型マーチ(マイクラ)のことを記して、多くのコメントを戴き嬉しく思っている。そんな矢先の今日こと、初代マーチ(K10型)に設定販売された、スーパーターボなる仕様車を初めて見た。1989年から1991年に販売されたもので、約1000ccのOHCエンジンに、機械式スーパーチャージャーとターボチャージャーの2つの加給機が装着されているものだ。

 馬力は110PS/6400rpm、トルク13.3kgm/4800rpmと、当時のメカとしてはそこそこのもので、車重770kgだから、まあままの動力性能を示したのではないか。低速ではスーパーチャージャーで加給を行い、高回転では大きめのターボで加給を行い、ラグの解消を行うという指向を持ったものだ。

 最近のVWでのTSIと呼ばれるもににも同様のツインチャージャーがあるが、その先例となったメカだ。但し、VWのエンジンが4弁化され、可変バルブタイミング機構が追加され、ただ加速性能だけが優れているDSGが組み合わされていたりと、それなりに進歩している。但し、DSGのことは何度も記しているが、平坦路で発進加速する分には問題ないが、積車の傾斜に微速で乗り入れたり、突起乗り越し発進など微速で発進しようとすると、とたん超下手くそな半クラッチ動作が露呈する。人間なら自然と、空吹かしと断続的なクラッチ継続による操作となるが、機械にはできないのだ。こんな幼稚なメカは、幾ら加速時のシフト操作ラグがなくスペック上の性能が良くても、こんな未完成メカはアカンと(あくまで私見であるが)断じているのだ。

 なお、マーチスーパーターボには、パワーステアリングの設定がなく重ステであるのと、ビスカス式のLSDが装着される。想像するに、それでなくともLSD装着に際しステアリングへのキックバックが出やすいFF車で、なおかつパワステなしだと余計にキックバックは大きくなる。そこで、作動がマイルドなビスカス式にしたのだろうが、こんなものはコーナーでのアクセルオンでの瞬時のバイアス比の立ち上がりは極小さなもので、ほとんど効果はないのではないだろうか。スプリット路や雪道などで数秒間片輪を空転させれば、ビスカスはハンプモード(カップリング内圧上昇によりロックする)により完全な作動制限状態となるが、これは緊急脱出時のことで、ハードコーナリングでは働かない。働くのは多板クラッチ間の粘性オイルによる剪断抵抗による微弱なもので、トルク感応型となる機械式LSDとは別物と考えて良いだろう。

 最期に、この個体、外見からザッと眺めただけではあるが、ノーマル然として、大きな加修やレストアをした様子も伺われず、しかもヤレ感も少なく、驚くほど程度が良いものであったのが印象的だった。




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