私の思いと技術的覚え書き

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メルセデスベンツのこと

2008-04-16 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険

 メルセデスベンツは、ドイツのダイムラー社が製造する乗用車のブランド名です。同社は米国クライスラー社と合併しダイムラークライスラー社として再出発しましたが、シナジー(相乗)効果もなく合併解消しダイムラー社として再出発しています。やはり、世界のベンツとクライスラーじゃあ、あまりにもカルチャー(文化)に差があり過ぎたと云うことでしょう。

 さて、ダイムラー社(合併前はダイムラーベンツ社)は、エンジン屋さんです。同じく独国のBMW社もエンジン屋さんですが、第二次大戦中は航空機や戦車のエンジンの数々を製造して来ました。クルマとしてのベンツですが安全思想には神話的なものがあります。いわゆるクラッシャブルボデーという、クルマの前後構造をある程度柔らかく、乗員の居住空間を頑丈に設計したクルマを世界で初めて登場させたのが同社なのです。クルマのことにあまり精通していない方の中には、ベンツは安全だから衝突してもへこまない等と云う方がおられますが、適度にへこむことにより衝撃を吸収し、乗員が負担する減速度を減らしているのです。ですから、ベンツだからへこまない等と云うのはまったくの誤りの考え方なのです。もし、クルマの設計を戦車の様な厚鋼板で製作すれば、衝突してもまったくへこまない様にも出来るでしょうが、これでは衝突時に負荷される乗員の減速度は極めて大きなものとなり、車体の変形は小さくとも乗員の生存が危ぶまれる事態すら生じるでしょう。

 私のメルセデスベンツ観ですが、かつてのベンツは贅沢の極みであったと感じています。それは、単に室内装備等が豪華等と云うことではなく、車体骨格の作りが、そしてメカニズムの素材や作りが贅沢であったと云うことです。例えば、ベンツSクラス(W126型)でのリヤサスのアルミ製セミトレーリングアームの作り方等で感じたものですし、Eクラス(W124型)の車体骨格の作り方にも感心すべき箇所は多かったと感じています。これは、例えて云えば高級オーディオの世界と同じで、本物が持つ重厚長大な素材がなせる故の本物でしか味わえない真価・価値というものを感じさせてくれるものであったと感じます。

 しかし、そんな質実剛健のメルセデスベンツも、トヨタの初代レクサスLS(セルシオ)登場以降は、その様な本物志向と決別し日本車と近似した設計思想に変化して来たと感じらることは残念にも感じられます。この様な境の車種としては、SクラスではW140型まで、EクラスではW124型まで、CクラスではW202型までです。以降のSクラスW220、EクラスW210型、CクラスW203型等は、格段に実実剛健さが希薄化してしまったと感じられます。

 そんなメルセデスベンツですが、やはりデザインやメカニズムには常に新時代の新たな潮流を生み出すパワーを秘めています。そして、そんなアイテムは世界中の多くのメーカーやそのクルマ達に大きな影響を与え続けているのです。




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