私の思いと技術的覚え書き

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08/18 熱海キャンピングカーのロールオーバー事故

2020-08-19 | 事故と事件
 私見だが、病患が続く中で、このところ交通事故や事件が増えているとも感じる。これは、確たるものでないが、ヒマなマス塵が取り上げていることで、目に付く機会が増えているのかもしれないが・・・。

 さて、交通事故というものだが、長年その分析などに関わって来たこともあり、死亡事故だとか比較的大きな事故は感心を持って眺める。特に、近隣で、その地をよく見知る事故現場だと、なおさら分析への好奇心が増す。

 ということで、今回の事故現場は通称熱函(ねっかん)道路と呼ばれる道で、函南町と熱海市を結ぶ、山岳道路だ。現場は、最高地点の熱海峠から、かなりの急坂勾配を下り、やっと道路脇に住居が表れてくる辺りだ。

 報によると、上から下ってきたキャンピングカーが標識柱に衝突し、対向車線側に横転したとしている。人損は、運転手(男性70代)死亡、助手席(女性50代重傷)という。カメラで写された動画2本を見ながら、車両の損傷状態、道路に残された痕跡などを追っていくと、不思議だと思えることが幾つがある。以下に列記してみる。

1)キャンピングカーは進行方向右側に横転している。車両底面を概観するに、ほぼ損傷が見当たらない。
2)正面から見た画像でも、左右ヘッドライト、その上のフロントパネルなどに、大きな変形は見当たらない。
3)フロントガラスが見当たらないが、取付がウェザ式であろうから判るが、それを取り囲む左右のフロントピラー上部とかガラス上部のヘッダーパネルがない。救助作業により切り取り除去したことも考えられるが、何れにしても、ここに大きな損傷が合ったのだろう。
4)キャンピングかーとして、運転席上部からルーフ全体をFRP製の大型特製ボデーで覆われているが、同FRPパネルは運転席上部だけを標識柱近くに残し、それがない状態で横転停止している。
5)助手席ドアが僅かに伺える画像を見ると、比較的細いドアサッシュは原形を留めているのに、ドアのベルトライン部が上から下へ、中から外へと押し出される変形を生じていると見て取れる。

 何故、不思議に思うかだが、走行中の車両が標識柱に衝突したとすれば、左右へのロールはあるにしても、タイヤと路面が接地していれば、車両底面より見て、何ら損傷が伺われないということはあり得ないだろう。しかるに損傷は見られないと云うことは、標識柱に衝突する以前に当該車両は横転していたことを想像させる。このことを示す様に、標識柱への向かう路面に擦過痕があるが、タイヤでなく車両の硬い部分が付けたと見えるものだ。

 車両は右側に横転(ロールオーバー)している訳だが、ロールオーバー事故は路面の大きな突起だとかを乗り上げた場合にも生じるが、平坦な道路だとカーブでの急旋回を行った場合に生じる。つまり、右側にロールオーバーするのは、左方向に急激なコーナリング状態となった場合だろう。

 Googleマップの事故現場上空写真を見ながら、事故現場を眺めてみると、事故現場の数十メートル先は右カーブ、後方は100メートルほどが直線で信号付き交差点があり、その先に左カーブがある。この地は、峠から一方的に急坂と左右へのカーブが連続する道で、過去から特に大型車のブレーキフェードを原因として、路外逸脱や転覆する事故が後を絶たない。

 事故現場を実際に見たり該当事故車両を明細に実際に見ないと判断は難しいが、現状の様子と過去の実例での経験から推察する事故状況は以下の様なものではないか。

 該当車は熱間道路下りにおいて、ブレーキフェードを起こし、最終衝突地点の道路標識柱より、およそ150mほど手前となる左カーブで十分な減速ができないまま、ほぼ限界近い速度でなんとか旋回を終えた。しかし、ここで、後輪が流れるドリフト状態になり、左右のステアリングでの切り戻し修正を繰り返す(左右への蛇行動)中で左右へのロールは増し、標識柱数十m前でとうとう右にロールオーバーした。車両は右側面を路面に擦り付けながら、ルーフの運転席の後部付近を標識柱にぶつけた。この標識柱との衝突で、キャンピングカーの架装したルーフの運転席上部を分断させた。この衝突までで、相当な速度成分は失ったが、その残りで標識柱からのバウンスと共に対向車線側へ移動し、路面擦過した運転席側が側溝縁石の段差に衝突して完全停止した。










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