私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

プレミアムカーに思いを馳せる

2008-10-18 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険

 往年のスーパーカーの価格相場が高騰しているということは、以前の当ブログでも記して来ました。しかし、必ずしもスーパーカーでなくても、驚くべき様な価格高騰が伝えられる往年の国産車もあります。その筆頭は間違いなく、トヨタ2000GT( MF10型)なのでしょう。このクルマは1967年Mf10から1970年までの3年間に僅か340台程しか生産されず、おそらく日本で現存している個体は200台位だろうとも伝えられています。生産後40年も経過して6割近くが現存していること自体が驚異的にも感じます。当時の新車価格が260万円程度(最終型)で、確か当時のセンチュリー(VG10型)と大差がなかった様に記憶していますが、現在の相場価格は程度にもよるのでしょうが2千万とも3千万とも伝えられています。正に、そのプレミアム性こそが、この高価値相場を生み出しているのでしょう。

 私自身は、このクルマにそれ程の思い入れはあ りません。スタイリングはまあまあ流麗とは思いますが、性能スペックで云えばエンジン馬力はたかだか150ps(しかもグロス値)ですし、最高速度220キロとされる性能は、そんなに出る訳ないだろうと思ってしまいます。コーナリング性能にしたって現在の水準から見れば、とても低い捻れ剛性しか得られなかったはずのX型鋼板プレス成形のフレーム構成ですから知れたものでしょう。

 ここで云いたいのは、従来の安く多く売ってのマスプロダクションが最上であるという工業立国だけであったとしたら、日本は価値は後退して行かざるを得ないということをです。これからの日本の工業は、如何に価値ある製品を生み出し続けて行けるかということこそが重要になって来ているのだと感じます。その価値Mf10yamaha2としての側面では、他にない革新的な技術革新(イノベーション)も重要なことでしょうが、先に述べたプレミアム性も重要なことだと思っています。現在のクルマメーカーで云えば、フェラーリやランボルギーニ等と云うスーパーカー達の様なクルマもその一つとなるのでしょう。

 ところで、先のトヨタ200GTは企画設計はトヨタですが、その生産はエンジンも含めヤマハ(正確にはヤマハ発動機)なのです。そのこと自体はだいぶ昔から聞いていましたが、「名車を生む力」(二玄社:いのうえ・こーいち:著)でさらに詳しく知れました。このヤマハとトヨタとの間では、エンジン生産の付き合いは現在でも続いており、レクサスIS-FのV8エンジンもヤマハで製造しているはずです。また、過去にレーシングエンジンも製造して来ましたし、勝てませんでしたけど一時F1マシーン用のエンジンを供給していたこともあります。

 先の「いのうえ・こーいち」氏の著書で見るトヨタ200GTの生産風景は、著者も云う様に正にカロッツェリアの世界です。それなりのデザイナー(エンジニアリングとボデーデザイン)と組めば、ヤハマは十分フェラーリを凌ぐスーパーカーを生み出すポテンシャルを持って居るんだろうと思いを馳せるのです。

※掲載写真(モノクロ)の出典は名車を生む力(二玄社)より。




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