私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

作業時間のこと(任せられぬ者)

2017-05-30 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 つい先日、大型バスのリコールに関わり、メーカータイムの信憑性みたいなことを記した。クルマの整備やボデーリペアの作業時間には、ざっと眺めても、メーカータイムもしくは工数、指数、標準作業点数と各種ある。この中で、メーカー値として、現実の作業が全うできるのは、新車プラントにおける各作業(タクト)ぐらいなものであろう。新車プラントでは、流れ作業を基本とし、全体が淀みなく進行するということを第一義に目標化し、極々細分化した単純作業を個別タクトとして担当者に割り当てている。従って、ロボットと化した作業者は、一寸も気を抜けない地獄の世界に身を置くのだと感じている。

 一方、車両の整備やボデーリペアに関わる、脱着や取替という定型的な作業であるが、生産プラントと比べれば作業範囲が広く、行う者にある程度の技能や知識が求められる。相当優秀で、動作の早い者でも、まったく構造が異なる新しいクルマの初回を担当したら、メーカータイム、指数、標準点数を大幅に上回るのは当たり前であろう。一般に初回と比べ2回目は、大ざっぱであるが、半減した時間短縮ができるものだが、それでもすべての作業者がその様にできる訳もなく、おおよそ半数ができる程度なのではないか。

 ここで整備工場やボデー工場において、しばらく作業を眺めていると、そんな理由の一端が判ってくる。確かに動作が早く手の動きの速さもあるのだろうが、効率的な作業者は、工場運営の種々の制限があるだろうが、まずは適切な作業ベイに対象車を据える。例えば、作業途上でリフトアップした方が、遙かに能率が良いとかということだ。しかし、この便利なリフトであるが、作業手順を考えないボンクラ作業者は、上げたり下げたりを何度も繰り返すものだ。なお、作業開始と共に、自分のハンドツールは当然だが、予想される共用ツールだとかSSTを、作業ヶ所付近に用意するのだ。これは、準備作業時間で区分し、厳密にやっているらしいい指数策定でも、一定値を1回のみ付加するだけだ。従って、作業が始まると、効率的作業者は工場内をうろつくことはほぼない。これが、ボンクラ作業者だと、やれあれがない、これがないからと、その都度工場内をうろつくのだ。

 もうひとつ、作業の出来栄えというか能率的作業者は、作業の見落としがないし、得てして綺麗に完了する。当然、ネジの締め忘れや部品の付け忘れもない。ところが、ボンクラ作業者は、作業が汚いし工場も汚す。そして、部品が余ったなどとして、改めて付く場所を探しているならまだしも、左右の部品を付け間違っていたり、締め忘れボルトがあったりと、ユーザーから見たら絶対仕事を任せられないタイプだろう。

※自整業にしろ自動車板金業にしろ、数十年を触れ合うが、本当に腕の良い、しかも自らが最高だなどと思わず上には上が居るという自覚を持った方は少ない。その真逆のどうしようもないというボンクラは多いのだが・・・。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。