私の思いと技術的覚え書き

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東名あおり石橋被告の「おかしい」発言に思う その2

2022-06-08 | 事故と事件
東名あおり石橋被告の「おかしい」発言に思う その2
 拙人は元損害調査調査員(アジャスターと呼ばれる)だが、決して見積屋の意識ではない。つまり、業務範囲を事故車の確認という損害額だけで眺めて来た訳でなく、事故の原因とか、過失割合、そもそもこの事故は起こり得るのか?という事故そのもの全般を眺める視点で活動して来た。

 そういう視点で、若干物理の公式も使用しながら、石橋被告が後続車を煽って停止させた後、後続の大型トラックが追突する場合の、大型トラックの動静を物理公式から検討してみたいと思う。

 車両の急制動における制動停止距離の公式は以下が該当する。

 V(速度m/s)=√2・μ・g・s
 ※速度はkm/hをm/secに変換する、μは路面とタイヤの摩擦係数で一般に舗装ドライ路面で0.7-0.8、gは重力加速度(9.8m/s^2)、sは制動距離(m)

 これは式を変形してV^2=2・μ・g・s だから s=V^2/2・μ・g・s となるので、

 Vをトラックの速度をリミッター速度90km/h と仮定すれば、3.6で除して25m/sだから、

 s=25/2×0.7×9.8=45.56≒45.6m と判る。ただし、実際の事故は衝突しているからこれより短い。

 一方、時速90km/h(25m/s)から急減速するトラックが45.6m進むのに要する時間(t)は加(減)速度で計算できる。

 つまり加速度α=速度変化(⊿V)/時間(t) だが、今次のαは摩擦係数と重力加速の積だから0.7×9.8=6.86(実際には減速だから-記号)が該当する。

 上式のα=速度変化(⊿V)/時間(t)を変型してt=⊿V/αとなり、

 t=25/6.86=3.644≒3.6sec という計算が成り立つ。

 上記計算は止まり切れて事故にならなかった場合の計算式で、今次事故は実際に止まりきれず衝突しているのだから、もっと至近で危険を感じ急制動したのだろう。それでも止まれる場合であって、3.6秒で止まれる時間なのだが、石橋が車を止め、相手と話しをするため車の前まで移動して一言二言話した時間をどの程度に想定するか。5秒でそれがなされたと思えるのだろうか? 20-30秒程度の時間差はあったと考える方が普通じゃないだろうか。

 こう思考して見ると、大型トラックに直ちに本件事故の2名死亡の責任がなかったと断定できる根拠はまったくない。繰り返すが、2名死亡の事故原因を石橋被告だけの責任として裁くのは、正に「おかしい」のではないだろうか?


#石橋被告述べる「おかしい」の意味


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