私の思いと技術的覚え書き

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エアバッグ作動の事故で眼球損傷したという事案

2021-03-02 | 事故と事件
 事故と柄、事故に関連する相談や意見を求められる機会は多い。
 そんな中、ある板金屋さんからだが、お客さんが軽バンで事故を起こしエアバッグが作動した様だが、そのお客さんは眼鏡使用の方だが、事故時にメガネが破損すると共に眼球損傷(片側らしい)の受傷をしたのだが何故なのかという質問があったので、当方見解を書き記しておきたい。

 私の回答は、該当者はシートベルトをしていなかった可能性が高いだろうと云うことだ。エアバッグはSRSと頭に付されているが、これは「Supplemental(補助) Restraint(拘束) System(装置)」の頭文字から取られた略語だ。つまり。シートベルトを装着している前提で、ベルトに拘束されない頭部を展開したエアバッグで受け止めようという補助的な装置なのだ。

 従って、シートベルトをしないで、エアバッグの展開するような事故が生じると、頭部(顔面部)を真心にエアバッグで受け止められなかったり、エアバッグ上で顔面が擦過することで、受傷を生じることが起きえるのだ。

 なお、最近衝突試験の新しい項目として行われる様になった、微少オフセット衝突試験(車体幅の20%をバリアに衝突させる試験)では、評価が悪い車両は、幾らシートベルトをしていてもエアバッッグの真心に頭部を受け止めることが出来なくて、フロントピラーなどに頭部を衝突させ致死に至るHIC値(頭部障害値)を生み出すことが知られている。

 なお、これは絶体ではなく経験知からなのだが、案外に眼鏡使用者がエアバッグ展開する様な事故に遭遇しても、眼鏡すら変形などしないケースを知る。

 こんなこともあり、車両メーカーではエアバッグ関連による障害の訴えに対抗する意図を含んで、前提条件となるシートベルトの装着の記録をEDR項目として、当初から含めて来たのだ。

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