私の思いと技術的覚え書き

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面白いホイール損傷

2019-09-07 | 車両修理関連
 近隣の修理工場で転がっていたホイール写真を紹介してみます。
 一見見ただけで、ホイールディスク部が見事に捻れ変形しているのが判ります。しかし、タイヤにもホイールリムやディスク面には目立ったキズ、打痕、変形は見られないという、あまり見ることはない損傷として記録したものです。

 このホイールが装着していた事故車は既に修復を終え出庫したと云うことですが、前輪ホイールが後退し、ハンドルを切ると当たっていまい、急角度に切れない状態であったとのことでした。修理で取り替えたのは、このホイールおよびタイヤと、ストラットとロワアームだということでした。

 ジャッキアップしてホイールを廻すと、ヘロヘロと大きくタイヤが振れてビックリしたということでした。想像するに、タイヤトレッド面に強い衝撃入力を受け、ハンドルを目一杯切る状態まで押され、ロワアームなどを押し下げると共に、ホイールディスク面にもこじる力を受け変形したのだと想像しました。これはスチールホイールだから、この様な塑性変形(永久変形)として残存したのでしょうが、アルミホイールだったら完全に破壊していたことでしょう。

 事故でなくても路面の突起部だとか段差を高速で通過したりした場合、外観目視では判らなくても、ホイールが変形する場合があります。この様なクルマを走らせると、ホイールバランスが狂っていなくても、振動(ボデーシェイクと呼ぶ)が生じる場合があります。この様な場面では、まずはタイヤ外周(トレッド面)の外周変位(ラジアルランアウトと呼ぶ)とサイドウォール部側面の振れ(ラテラルランアウトと呼ぶ)を計ってみる必要があるでしょう。その上で、今度はホイール単体にして、リムのタイヤ嵌合部底面のラジアルランアウトとリム外周側面のラテラルランアウトを計測してみる必要があります。一般的にはホイールバランスの不正では80~120km/h程度の範囲で振動大もしくはステアリングシミー(周方向の振動)が出ますが、ランアウト不良の場合、経験上はもっと高速(140以上)で、ダッシュボード全体が振動する様なフロントボデーシェイクが生じます。


参考までに以前見た、別の変わったホイールの損傷のことです。

変わったアルミホイールの損傷 2014-11-17
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/210cf6ef2bbdad612295058c7cea3f8f

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