この、近年の車両販売台数が頭打ちになったにも関わらず、リコール件数だけが右肩上がりで増大している現象のことは過去の記事でも何度も記して来たところだ。トヨタのリコール届出件数の年度別推移を写真1に示す。
この理由は、幾つか想定できることも過去に記して来た(末尾リンク参照)が、今回は別の視点で、その不思議さだとか、リコールの事由として記された文言に隠された疑念といったことに触れてみたい。なお、今回は世界最大のメーカーとなったトヨタに限定して記すが、その他メーカーでも類似のことが行われていると想像される。
1.リコール件数だけが増えている不思議さ
クルマは工業製品であるから、設計や製造に関わり想定外の故障が出ること自体は一定止むないところであろう。しかしながら、家電製品やスマホなどと異なり、クルマの重大欠陥においては、人の生き死にに関わるという製品であるところから、家電製品やスマホと同程度の評価のまま製品化することは社会倫理上許されざるところであろう。
ところで、各リコール内容などを概観すると、何でこんな初歩的な事由が製品出荷前に為されなされるであろう各種評価によって発見できなかったのかと憤然とする内容が多い。つまり、うがった見方だが、(原価低減のために)評価もそこそこに製品をリリースし、もし不具合出たらリコールで直せば良いという安易な意識が介在しているのではないかということを想像させるのだ。
2.リコールの理由として記された文言から感じる疑念
ここで、トヨタの今年6月26日付け届出(リコール届出番号4521)の事例について、写真2および3に示す。この中で、「基準不適合状態にあると認める構造、装置又は性能の状況及びその原因」と定義された内容だが、この事例でも、車両整備の知識を知識を持つ者なら、不思議な内容だと思うところだ。該当事例では、次の様に記されている。
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ハイブリッド車において、エンジンルーム後部に取付けているカウルルーバの防水構造が不適切なため、集中豪雨など多量の雨水がかかった場合、水がエンジン上部に滴下して、インジェクタ取付け部から燃焼室に浸入することがある。そのため、コンロッドが変形して異音が発生し、最悪の場合、エンジンが破損するおそれがある。
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この記述を読むと、エンジンの上が水濡れすると、インジェクタ取付け部(インテークマニホールドにゴムシールを介して押し付けられ密着している)から水がシリンダー内に入り、液圧縮してコンロッドが曲がると記されている訳だが・・・。そもそも、インジェクタ取付け部から水が入るなら、エアを吸い込むことで該当シリンダーの空燃比がリーンとなり、アイドルでエンジンが振れるとかエンジン不調となる現象がまず起こるだろう。
それと、カウルパネルとボンネット間のシールが不良で大雨などで多量の水が入る云々と記しているが、この部分のシールは、完璧に行える様なものではなく、ある程度水か侵入することも、大概のクルマにおいて一般的にあることだろうと思える。それと、雨天の走行中では、ラジエーターなどを通過した水滴により、エンジン部が水濡れすることも当然のこととして予見できるだろう。
ということで、記してあるインジェクタ取付け部からシリンダー内に水が入るという事実が本当なら、該当部分のシールや、マニホールド部の形状などを変更し、空密および水密を完璧にすべき対策が求められるんじゃないかと思う次第だ。
以上の内容の改善処置として、カウルルーバーにシール材を貼り付けたり、エンジンに小型の防水カバーを装着する処置を行うとしているが、あえて安価に済ませようとする魂胆が透けて見えると当職は判断するのだが・・・。
追記
タカタ関連のエアバックリコールはトヨタでも該当車が存在し行っているのだが、その説明文は戴けないものと感じる。トヨタの該当車では次の様な記述になっている。
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1.不具合の状況
エアバッグのインフレータ(膨張装置)において、ガス発生剤の吸湿防止が不適切なため、温度および湿度変化の繰り返しによりガス発生剤が劣化することがあります。このため、エアバッグ展開時にインフレータ容器が破損するおそれがあります。
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これについては、当職の過去記事でも、タカタの場合チッ素ガスに発生剤に「硝酸アンモニウム」を使用しているがために、吸湿により転移を起こしペレットがひび割れ表面積を増すことで、設計速度を増したバッグの膨張速度が生じることで、金属部品が引きちぎれ飛散することが判っている。従って、トヨタの記述は、自己責任を軽減しようとする欺瞞であると感じる。もしリコールを生じさせた責任を真摯に自覚しているなら、「吸湿防止が不適切・・・な劣化」は「吸湿し易い材質による変質」と記すべきだろう。そして、「インフレータ容器が破損」と記してある部分は、「設計速度を上回る速度で膨張するためにインフレータ容器が破損」と追記すべきであろう。これは、新聞記事で偏向報道が批判されることが多いが、それと同様の自己責任回避のための欺瞞記述だ。極力真実を述べ、その重大性をユーザーに正しく報じるべきを、あえて報じないことは、モラル不足を表す仕業と当職は判断するしかないのだ。
エアバッグなどの窒素ガス発生物質のこと 2016-02-23
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/f3e0f3881841804231ff8821c72324a7
近年のリコール右肩上がり、理由を考察してみる! 2019-07-25
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/2b3b599df99ac2a4bd2cc126a268b617
この理由は、幾つか想定できることも過去に記して来た(末尾リンク参照)が、今回は別の視点で、その不思議さだとか、リコールの事由として記された文言に隠された疑念といったことに触れてみたい。なお、今回は世界最大のメーカーとなったトヨタに限定して記すが、その他メーカーでも類似のことが行われていると想像される。
1.リコール件数だけが増えている不思議さ
クルマは工業製品であるから、設計や製造に関わり想定外の故障が出ること自体は一定止むないところであろう。しかしながら、家電製品やスマホなどと異なり、クルマの重大欠陥においては、人の生き死にに関わるという製品であるところから、家電製品やスマホと同程度の評価のまま製品化することは社会倫理上許されざるところであろう。
ところで、各リコール内容などを概観すると、何でこんな初歩的な事由が製品出荷前に為されなされるであろう各種評価によって発見できなかったのかと憤然とする内容が多い。つまり、うがった見方だが、(原価低減のために)評価もそこそこに製品をリリースし、もし不具合出たらリコールで直せば良いという安易な意識が介在しているのではないかということを想像させるのだ。
2.リコールの理由として記された文言から感じる疑念
ここで、トヨタの今年6月26日付け届出(リコール届出番号4521)の事例について、写真2および3に示す。この中で、「基準不適合状態にあると認める構造、装置又は性能の状況及びその原因」と定義された内容だが、この事例でも、車両整備の知識を知識を持つ者なら、不思議な内容だと思うところだ。該当事例では、次の様に記されている。
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ハイブリッド車において、エンジンルーム後部に取付けているカウルルーバの防水構造が不適切なため、集中豪雨など多量の雨水がかかった場合、水がエンジン上部に滴下して、インジェクタ取付け部から燃焼室に浸入することがある。そのため、コンロッドが変形して異音が発生し、最悪の場合、エンジンが破損するおそれがある。
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この記述を読むと、エンジンの上が水濡れすると、インジェクタ取付け部(インテークマニホールドにゴムシールを介して押し付けられ密着している)から水がシリンダー内に入り、液圧縮してコンロッドが曲がると記されている訳だが・・・。そもそも、インジェクタ取付け部から水が入るなら、エアを吸い込むことで該当シリンダーの空燃比がリーンとなり、アイドルでエンジンが振れるとかエンジン不調となる現象がまず起こるだろう。
それと、カウルパネルとボンネット間のシールが不良で大雨などで多量の水が入る云々と記しているが、この部分のシールは、完璧に行える様なものではなく、ある程度水か侵入することも、大概のクルマにおいて一般的にあることだろうと思える。それと、雨天の走行中では、ラジエーターなどを通過した水滴により、エンジン部が水濡れすることも当然のこととして予見できるだろう。
ということで、記してあるインジェクタ取付け部からシリンダー内に水が入るという事実が本当なら、該当部分のシールや、マニホールド部の形状などを変更し、空密および水密を完璧にすべき対策が求められるんじゃないかと思う次第だ。
以上の内容の改善処置として、カウルルーバーにシール材を貼り付けたり、エンジンに小型の防水カバーを装着する処置を行うとしているが、あえて安価に済ませようとする魂胆が透けて見えると当職は判断するのだが・・・。
追記
タカタ関連のエアバックリコールはトヨタでも該当車が存在し行っているのだが、その説明文は戴けないものと感じる。トヨタの該当車では次の様な記述になっている。
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1.不具合の状況
エアバッグのインフレータ(膨張装置)において、ガス発生剤の吸湿防止が不適切なため、温度および湿度変化の繰り返しによりガス発生剤が劣化することがあります。このため、エアバッグ展開時にインフレータ容器が破損するおそれがあります。
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これについては、当職の過去記事でも、タカタの場合チッ素ガスに発生剤に「硝酸アンモニウム」を使用しているがために、吸湿により転移を起こしペレットがひび割れ表面積を増すことで、設計速度を増したバッグの膨張速度が生じることで、金属部品が引きちぎれ飛散することが判っている。従って、トヨタの記述は、自己責任を軽減しようとする欺瞞であると感じる。もしリコールを生じさせた責任を真摯に自覚しているなら、「吸湿防止が不適切・・・な劣化」は「吸湿し易い材質による変質」と記すべきだろう。そして、「インフレータ容器が破損」と記してある部分は、「設計速度を上回る速度で膨張するためにインフレータ容器が破損」と追記すべきであろう。これは、新聞記事で偏向報道が批判されることが多いが、それと同様の自己責任回避のための欺瞞記述だ。極力真実を述べ、その重大性をユーザーに正しく報じるべきを、あえて報じないことは、モラル不足を表す仕業と当職は判断するしかないのだ。
エアバッグなどの窒素ガス発生物質のこと 2016-02-23
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/f3e0f3881841804231ff8821c72324a7
近年のリコール右肩上がり、理由を考察してみる! 2019-07-25
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/2b3b599df99ac2a4bd2cc126a268b617