私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

新たな盗難手法CANインベーダー(埼玉・ランクル9台連続盗難)

2021-11-11 | 事故と事件
新たな盗難手法CANインベーダー(埼玉・ランクル9台連続盗難)
 下記記事は、埼玉県警で今月9、10日の2日間で、ランドクルーザー計9台の連続盗難が生じているという。この記事を見て、直感的に想像できるのは、犯行グループは組織的で、少なくとも10名は存在し、この2日だけで対象者を手当たり次第見つけ犯行に及んだとは考え難く、予めどこそこにターゲット車が存在することを意識しつつ作戦遂行(すいこう)する組織的グループの存在だろう。

 従来、リレーアタック、コードクラバーという車両盗難手法があるとされていた。これらは、何れも車両本体と、リモートキー間の無線通信を傍受しつつ、そのコードを遠隔送信もしくはコピー記録するものだ。今回のCAN(キャン)インベーダーとは、車両用通信プロトコルCANは、今や多種類の機器同士を、協調連携させたり故障コードを記録させたりするOBDという診断機器にも利用されている。そのCANバスに、車両のフロントバンパー付近からヘッドライトのCANバスにアクセスし、予め調査した種々の偽コードを流すなどして、キーの解錠から、エンジン始動までも行えうるというものだ。

 そもそも、車両メーカー直系ディーラーにおいて、新たなキーの登録なども、このOBD端子を通じたCANバス経由で専用端末に組み込まれた専用プログラムで実現しているのだ。

 コンピューターハッカーとまったく同様で、その道に通じたハッカーが、CANバスプロトコル(通信規格)に精通し、しかもドアアンロック信号とか、エンジン始動コードのコードやアルゴリズムを解析されては、防ぐには車両に近づけない環境に車を置くか、盗まれても走行できない様な機器を設置したりするしかないだろう。しかし、それら付加機器と云えども、時間を与えれば切断などされてしまうので、駐車場所の防犯性が一番の核心になると思える。

-------------------------------------------
ランクル、2日間で9台盗難…「キャンインベーダー」で解錠か
11/11(木) 7:19配信 読売新聞オンライン
 埼玉県警は10日、県内で9日から10日にかけて、スポーツ用多目的車(SUV)の「ランドクルーザー」計9台が相次ぎ盗まれる被害があったと発表した。いずれも車には鍵はかかっていたが、県警は、犯人が制御システムを不正に操って解錠する「キャンインベーダー」と呼ばれる新たな手口で盗んだとみて、捜査を開始した。

 発表によると、被害は鴻巣、本庄、白岡、東松山、春日部の5市で発生。自宅敷地内や民間の駐車場に駐車していたランドクルーザーが盗まれた。このうち春日部市内で盗まれた1台が茨城県常総市内の商業施設駐車場で発見され、捜査員が調べたところ、キャンインベーダーにより盗まれた可能性が高まったという。

 キャンインベーダーは、車に特殊な機器を接続し、車の各部分に電子信号を送って制御する「CAN(キャン)」を乗っ取る。兵庫県警が8月に全国で初めて、この手口によるとみられる高級車の盗難事件を摘発した。逮捕された容疑者は車のフロントバンパーを外し、ヘッドライトの裏側にコードを接続。機器でCANを操って解錠し、エンジンを作動させていたとみられる。

 埼玉県警幹部によると、自動車窃盗を巡っては、電子キーが発する電波を中継、増幅して盗む「リレーアタック」と呼ばれる手口が数年前から続発していたが、最近ではキャンインベーダーによる犯行が主流になっているという。県内でも今年に入り、ランドクルーザー約80台が盗まれる被害が確認されており、県警はいずれもキャンインベーダーによる犯行とみている。

 ただ、現時点では電子的な防御策は難しいことから、県警はハンドルロックやタイヤロックを使って物理的に車を動かせなくするといった対策を呼びかけている。

--------------------------------------------------
OBDの悪用=CANインベーダー
ここでCANインベーダーの説明に戻ります。CANインベーダーは、自動車の様々な情報が集約されるOBDⅡへと不正にアクセスし、盗難する車両を解錠、運転できる状態にします。

具体的には、OBDⅡに繋がる「CAN信号」という配線にアタックすることでシステムへと介入しています。

CAN信号は専用の機器さえあれば車外からもアクセス可能で、スマートキーは必要ないというのがCANインベーダーの手法となります。

CANインベーダーが成功してしまうと、ドアロックの解錠はもちろん、純正カーアラームの解除や合鍵の作成まで可能だと言われています。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。