私の思いと技術的覚え書き

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鋳造とダイカストのこと

2018-05-04 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 そんなことは判ってるわいと言われそうだが・・・。以前にマツダの博物館でロータリーエンジンのローター鋳造型と、ダイカスト成型直後のローターハウジングを見たときの写真が目に付いたので紹介してみたい。

 鋳造とは、ご存じの通り砂型とかで型を作り、内部に溶融した金属を注ぎ込み、金属冷却後に砂型を壊して鋳造金属品を取り出すというものだ。砂型は砂が崩れないように樹脂を混ぜて固めてあり、外型と、内部には水路などの空間を形成する中子(なかご)という砂型を入れる。

 一方、ダイカスト(ダイキャスト)とは、砂型の代わりにダイ(金型)を使用する鋳造法に類似する工法だ。一般的には固定型と可動型の2つのダイを加圧密着した空間に、溶融金属をプランジャーで高圧(50MPa以上)で注入して製品を作る。砂型鋳造より、製品表面が綺麗で寸法精度も良好となり、溶融金属注入から取り出しまでの時間も短く、金型コストは要するが製造数が多いほど部品コストは圧縮できる。

※写真と若干の説明を付すが、④および⑤は比較的近郊のダイカスト加工所で写したもの。

①ローター鋳造の砂型と中子。砂型は中間スペーサーを挟んで左右にローター2ケが3連に積み重ねられ、上部の注ぎ口から鋳湯して量産していることが判る。つまり砂型1パッケージで6ヶのローターが鋳造される。実際には、これが多数並べられ、もっと多くの鋳造を連続しているのだろう。

②ローターの鋳造直後の状態。砂型のため肌は粗い。この後、種々の機械加工を行う。なお、ローター内部の円形は精密仕上げしてエキセントリックシャフトと組み合わさる。その他の空間は、冷却水が流れるハズもないから、油冷ということだろう。

③ローターハウジングのダイカスト品。ダイカスト品であることは、製品外側の肌がキレイということでも判るが、製品下部にプランジャーで高圧注湯した際に生じる円形の部分(通称ビスケットと呼んでいる)が付いていることで明確だ。この部分は切断し切り離し、内面のメッキ加工や各種機械加工を行う。

④型加圧力200tクラスのダイカストマシンで、注湯数秒後に型開きしロボットで製品を取り出すところ。注入された溶融金属は急速に冷却され、サイクルは砂型鋳造より桁違いに早い。

⑤ダイカスト製品の例であるが、ミクニの小型エンジン用キャブレターだ。ちなみにキャブレターは、アルミでなく亜鉛で作る場合が多い様だ。(キメが細かく燃料浸透の恐れがないのか?)なお、こういう複雑な立体的なものも、金型に可動式中子を組み込んで実現している。

付記
 昨今はアルミシリンダーブロックなども砂型鋳造でなくダイカストが増えている。また、大型車も含め巨大なアルミTMケースも多くがダイカストだ。近郊のダイカスト加工所で聞いたところ、小型の金型でも数百万から要するそうだ。シリンダーブロックや大型のTMケースだと、金型も相当大きく、かつ可動中子なども組み込まれるから、数千~億の単位となるのかもしれない。
 ついでに記すが、ダイカストと同じく金型を使用し、溶融樹脂を射出成型した製品が、バンパーや内装品に多いが、これも金型は大きくなり、金型コストは相当なものだろう。昨今は、ボンネットやバックドアまで樹脂製のクルマが増えて来た様だが、なんであんなにチリが広いのだろうか?







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