私の思いと技術的覚え書き

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車両用半導体不足で減産の訳

2021-02-08 | 車両修理関連
 このところ世界中の大手車両メーカーで、半導体不足で減産せざるを得ない状況が発生しているという。この理由だが、大まかに以下の様なことらしい。

 昨年の中共ウィルスパンデミックの発生により、世界中の大手車両メーカー(実際はその下位に位置するサプライヤーだろう)では車両の売れゆきが減少すると予想し、既存の発注を手控える動きが出た。一方、パンデミックにより自宅勤務だとか通信会議などの増加により、パソコンなどITインフラ需要が特需と云える程立ち上がった。その後、昨年後半以降、車両メーカーでは予想していた減少がさほどでもない実態を把握しつつ、改めて半導体メーカーに再発注するも、既にPC等の半導体需要が旺盛なことから、半導体ラインが需要に応じきれない状態に陥った。

 という様なことらしいが、半導体の製造企業は日本も含め世界中にあるが、そこでの需要余力はさほどになく、需要の変動に対応するため、台湾メーカーの生産余力に負うところが大であったと云うことがあるらしい。それが、既に台湾メーカーの生産余力が一杯で、発注から納期が遅延を生じていると云うことの様だ。

 ということで、詰まるところは台湾メーカーへの半導体の依存が強すぎると云うことに、ことの原因はある様だ。70年代の石油ショックと同じで、中東だけに依存しすぎていたことにより、生じたものだが、国家安全保障という意味で、日本の半導体生産を回帰させるチャンスでもある様に、この分野は専門家ではないが思う。

 かつて、80、90年代は、日本は世界の半導体の半分を超えるシェアを持っていた。それ以後、日本の半導体製造は大幅な落ち込みを生じたのだが、露光装置では今や日本のシェアは見る影もない様だが、基本材たるシリコンウェハでは現在でも80%、その他露光装置以外の各種装置や検査器具、フッ化水素などの副資材関係では、今でも世界トップシェアを保持しているのが日本なのだ。

 今から、日本が半導体の再生産に乗り出そうとしたとき、既に過去のクリーンルームなどを持った工場群はなくなってしまっているのかもしれないが、それでも世界で最も再生産を立ち上げるポテンシャルを保持していることは確かだろう。

 たぶん、今、トヨタなどの主要企業と、日立、NEC、東芝、等のリーダー達は、この再生産について話し合いを始めているのではないかとも想像されるが、ここで新たな再投資などとなると、長期展望も含めなかなか結論はでないのではないだろうか。これには経産省辺りも加わっているだろうが、大した指導力は持てない様に思える。

 こういうとき、世を動かすリーダーとは、政権与党の大物政治家なのだが、かつての田中角栄みたいな、本物のリーダーたる政治家がいないことは悲しいことだ。

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