先日発生の、JR北海道のトンネル内での車両火災事故ですが、間一髪のところで全員避難でき、本当に幸いだったと感じます。報道から伺えた避難者の煤けた姿などから、極めて危険な局面だったことが想像されます。
ところで、この事故の原因のことですが、未だ明確には断定なされていないでしょうが、どうやらディーゼルエンジンの回転を車軸ギヤボックスに伝えるための推進軸(プロペラシャフト)の破壊・破損にある様に伺えます。
このプロペラシャフトの破損ですが、クルマの世界においても今から3、40年くらい以前のことですが、幾つか連続して生じた事故のことが記憶されているのです。その事故内容とは、高速走行中にプロペラシャフト前端部が外れ、それが路面に引っ掛かるなどして、いわば棒高跳びの様な原理で、車両が転覆してしまうという極めて危険なものだったのです。しかも、事故を生じた車両は、マイクロバスの様な多人数が乗車するクルマが多かったという記憶が残っています。
クルマのプロペラシャフトは、FR車や4WD車に使用され、エンジン回転をトランスミッションを介してファイナルギヤに伝えるためのものです。プロペラシャフトの前端部はファイナルギヤの上下動に伴う伸縮を吸収するため、スリーブ構造とされトランスミッションのアウトプットシャフトと勘合しています。また、後端はファイナルギヤのフランジとボルトで結合されています。そして、シャフト前後には上下動に伴う角度変化を吸収するため、ユニバーサルジョイント(クロスジョイントもしくはフックジョイント)が使用されています。
プロペラシャフトの回転数は、トランスミッションにオーバードライブ段(変速比1以下)があれば、エンジン回転の25%くらい高速でで回転するものです。その様な高速回転体で、シャフトの前後が長くてしかも剛性が低かったり、アンバランスが生じたり、幾何学的変心が生じたりすると、ホワーリングと呼ばれる曲がり振動が生じます。また、シャフトの質量や剛性などから決まる固有振動数がありますが、これが回転数と一致する共振状態となり、極端にシャフト中央部が張り出すような現象となり、先に記した様な苛烈な事故(原発に比べれば、まだまだましですが)に至るのです。この様な、固有振動数が共振する回転数を危険回転数と呼び、それ以下で設計がなされるものです。
と、云うことで、プロペラシャフトは鋼製の中空構造とされ、軽くする様留意がされていますが、それでも一定長さを超え、危険回転数が上回る恐れのある場合は、分割されたものが採用されることが当然となっています。現在では乗用車も貨物車も、ある程度長いプロペラシャフトでは2分割に、もっと長いロングホイールベースの貨物車では3分割のブロペラシャフトが使用されているのです。なお、分割されたプロペラシャフトでは、分割部分を支えるため、センターベアリングを設置し、ボデーもしくはシャシー側で支持する方法が取られます。
また、乗用車の一部には、プロペラシャフトの軸本体をCFRP製(オートクレーブ法)として、高剛性かつ軽量化することにより、従来であれば2分割していたのを分割なし一本物として軽量化を図っているものがあります。これにより、シャフト長さがあっても、軽量で高剛性なために、十分に危険回転数を高めることができるのです。
ところで、この事故の原因のことですが、未だ明確には断定なされていないでしょうが、どうやらディーゼルエンジンの回転を車軸ギヤボックスに伝えるための推進軸(プロペラシャフト)の破壊・破損にある様に伺えます。
このプロペラシャフトの破損ですが、クルマの世界においても今から3、40年くらい以前のことですが、幾つか連続して生じた事故のことが記憶されているのです。その事故内容とは、高速走行中にプロペラシャフト前端部が外れ、それが路面に引っ掛かるなどして、いわば棒高跳びの様な原理で、車両が転覆してしまうという極めて危険なものだったのです。しかも、事故を生じた車両は、マイクロバスの様な多人数が乗車するクルマが多かったという記憶が残っています。
クルマのプロペラシャフトは、FR車や4WD車に使用され、エンジン回転をトランスミッションを介してファイナルギヤに伝えるためのものです。プロペラシャフトの前端部はファイナルギヤの上下動に伴う伸縮を吸収するため、スリーブ構造とされトランスミッションのアウトプットシャフトと勘合しています。また、後端はファイナルギヤのフランジとボルトで結合されています。そして、シャフト前後には上下動に伴う角度変化を吸収するため、ユニバーサルジョイント(クロスジョイントもしくはフックジョイント)が使用されています。
プロペラシャフトの回転数は、トランスミッションにオーバードライブ段(変速比1以下)があれば、エンジン回転の25%くらい高速でで回転するものです。その様な高速回転体で、シャフトの前後が長くてしかも剛性が低かったり、アンバランスが生じたり、幾何学的変心が生じたりすると、ホワーリングと呼ばれる曲がり振動が生じます。また、シャフトの質量や剛性などから決まる固有振動数がありますが、これが回転数と一致する共振状態となり、極端にシャフト中央部が張り出すような現象となり、先に記した様な苛烈な事故(原発に比べれば、まだまだましですが)に至るのです。この様な、固有振動数が共振する回転数を危険回転数と呼び、それ以下で設計がなされるものです。
と、云うことで、プロペラシャフトは鋼製の中空構造とされ、軽くする様留意がされていますが、それでも一定長さを超え、危険回転数が上回る恐れのある場合は、分割されたものが採用されることが当然となっています。現在では乗用車も貨物車も、ある程度長いプロペラシャフトでは2分割に、もっと長いロングホイールベースの貨物車では3分割のブロペラシャフトが使用されているのです。なお、分割されたプロペラシャフトでは、分割部分を支えるため、センターベアリングを設置し、ボデーもしくはシャシー側で支持する方法が取られます。
また、乗用車の一部には、プロペラシャフトの軸本体をCFRP製(オートクレーブ法)として、高剛性かつ軽量化することにより、従来であれば2分割していたのを分割なし一本物として軽量化を図っているものがあります。これにより、シャフト長さがあっても、軽量で高剛性なために、十分に危険回転数を高めることができるのです。