私の思いと技術的覚え書き

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1013 ふじあざみラインで大型観光バス横転 追記その6(事故直前、事故、事故直後の車内の様子)

2022-10-17 | 事故と事件
1013 ふじあざみラインで大型観光バス横転 追記その6(事故直前、事故、事故直後の車内の様子)
 既にこの事故のこと記すのは6回目となるが、今回は「事故直前、事故、事故直後の車内の様子」がメディアで報じられていたので、後学の意味もあり全文転載する。ただし、マスメディアはこの様な報道程度は許容できるが、トンデモなく個人のブライドだとか人権を侵害する取材を行っている場合があり、腹立たしく感じることがある。その一方では権力者には極めてナイーブで、なんで突っ込めないんだという機会は往々にして感じるのだ。ついでに記しておくが、損保調査員で被害者の側になったメディアの人間はともするとそのメディアという権力を笠に来て牙を剥く場合もあり得る。つまり。「書くぞ」という恫喝をチラつかせるのだ。完全に云えば、それは恐喝もしくは強要と云うことで法律に触れる問題なので、そういうアホはいないが、言葉の節々に、その「書くぞ」を匂わせ迫って来ると云う体験もしてきた。

 今回の記事でも当該事故がブレーキフェードに関わる事故と云うことは明白だ。
 そもそもブレーキ装置とは、運動エネルギーを摩擦体の摩擦力により熱に変換し放熱することで運動エネルギーを吸収する装置だ。そして、ブレーキフェードとは、この摩擦体の温度は連続制動により放熱より熱発生が多いと、どんどん昇温して行くが、ある限界まではさほどに温度は上がらない。これは制動装置の摩擦体が持つ熱容量に左右される。しかし、熱容量を越えて摩擦熱がさらに加えられると、昇温のしかたは急激に上昇して行く。

 もう一つ、下記の運転者とバスガイドの間で交わされるサイドブレーキのことだが、現代中大型車(GVW8トン超車)を考える時、サイドブレーキがホイールパークブレーキであるということを知らねばなるまい。つまり、サイドブレーキとは、単にエア流路を切り替える電磁弁のスイッチであり、サイドブレーきレバーを引くなり効かせると、エアブレーキのスプリングチャンバー内のエアが排出されて、スプリングブレーキ(略称SB)が作用するのだ。しかし、フェードはドラムなりディスクとパットやフェーシングの摩擦体の昇温で生じているので、幾らスプリングブレーキが作用してもムダなのだ。

 このホイールパークブレーキ装備以前の中大型車では、トランスミッション後端部にサイドブレーキ専用の比較的小さなドラムブレーキが装着されていた。この場合は、走行中であると十分とはいえないが。幾らか制動効果があるだろう。現在の中大型車の多くは、この位置にリターダーというエンジンブレーキをさらに補佐する減速装置が付いているが、今回事故車に装備されているか不明だ。

 それと、小型車でも2トン以上のディーゼルエンジントラックやマイクロバスでは、エンジンブレーキを強く働かせるための排気ブレーキというのが付いている。これは、エキゾーストマニホールド集合部近くに閉塞するシャッターバルブを閉めることで、エンジン背圧を高めエンジンブレーキを効かせる装置なのだ。しかし、エンジンブレーキは排気量が大きいほど効くのだが、現在のバストラはダウンサイジングターボで排気量が少なくなっているので排気ブレーキは装備されているが効きが悪い。そこで、従前述べたリターダーの装備などがなされているのだ。

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「サイドブレーキも利かない!」乗客が初証言“車内で宙づりに”…事故までの2分間に一体何が 観光バス横転事故の一部始終
FNNプライムオンライン 10/17(月) 15:16配信
 乗客3人を独自取材 ツアー中の観光バスに起きた異変10月13日、静岡県小山町で起こった観光バスの横転事故。Mr.サンデーは、まさにそのバスに乗っていた乗客3人を独自に取材。カメラの前で初めて、壮絶な事故の一部始終を話してくれた。

(2022年10月13日午前7時30分)
 10月13日の朝、埼玉県狭山市を出発した観光バスは、入間市駅で1組の親子を乗せた。

横転したバスの乗客Aさん(65):母親がまだ富士山見たことないんです。それで1回でいいから、親子一緒に富士山を見せてあげたいなというのが動機です

秋田県出身のAさんは、87歳になる母親に富士山を見せようと、バスツアーに参加。

横転したバスの乗客Aさんの母(87):息子に連れて行ってもらったんです。前から3番目です。左側です

ディレクター:運転席にけっこう近かったんですね

横転したバスの乗客Aさんの母(87):そうです

座席は、左側の前から3列目。母親が窓側、Aさんは通路側の席だったという。

バスに乗り込んだ際、運転手に対して、印象に残る出来事が…

横転したバスの乗客Aさん(65):今回の運転手さんは、運転席を離れてちゃんとみんなに向かって、きちんと手を(前に)やって「お願いします」と。「安全運転で行きます」という挨拶をしていました。礼儀正しい、若い、いい青年だなと思いました

ツアーは、「ふじあざみラインで行く!富士山五合目 絶景の駿河湾クルーズ」。9時55分、最初の目的地・富士山須走口五合目に到着。

あいにくの空模様で富士山は拝めなかったが、40分ほどの散策を終えた10時40分、バスは昼食の予定地・沼津を目指して出発。
「ふじあざみライン」の下り坂を走っている途中、Aさんは異変に気づいたという。

横転したバスの乗客Aさん(65):(出発後)10分か15分ぐらいかな、走った時が、スピードが出てるなと。(事故まで)あっという間ですね。2分はなかったかなと思います

異変からバスが横転するまで、約2分・・・。運転手の様子をつぶさに目撃していたAさんが、その一部始終を明かしてくれた。

乗客が初めて明かす バス横転事故“緊迫の一部始終”運転手(26):ブレーキが利かない

横転したバスの乗客Aさん(65):最初の段階で、なんかブレーキが利かないというので、一旦減速はしました。そのまま、また走り続けまして、今度いよいよ利かなくなったんでしょうね。「利かないな、利かない、ブレーキが利かない」って

その時の、運転手と添乗員との緊迫のやりとりも耳に入った。

運転手(26):ブレーキが利かない!

女性添乗員:
サイドブレーキ!サイドブレーキ!

運転手(26):サイドブレーキも利かない!

横転したバスの乗客Aさん(65):揺れながら、傾きながら、だんだんだんだんスピードが出てきて。だいたいスピード60キロから70キロは、もしかすれば・・・

この道は下り坂が続くため、30キロの標識がある。この緊急事態に、添乗員から乗客に対し・・・

横転したバスの乗客Aさん(65):「皆さん、シートベルトちゃんと締めてください。シートベルト確認してください」っていうのは、繰り返し連呼してましたね

そしてバスは、事故現場となった右カーブへと近づいていく。

横転したバスの乗客Aさん(65):ここらへんが土がこうあって、ややカーブが少ない感じになってたんですね

Aさんが描いてくれたのは、事故直前のバスの動き。

横転したバスの乗客Aさん(65):手前のカーブでは右に傾いたんですね、少し。その前も傾いたりはしてたんです。2、3回が、こういう傾き。当然、右左の。当然、「キャー」という声が聞こえ始めた

事故直前の緊迫する車内・・・。

「バスはまっすぐ黒い土に突っ込んだ」そしてもう一人、後ろから2列目の座席に、妻と並んで座っていたという男性にも話を聞くことができた。

横転したバスの乗客Bさん(73):曲がるときに、遠心力で振られたときにおかしいと思って。そしたら「ブレーキが利かないから一度止まります」って言ったのかな、添乗員さんが。それで止まらなくて、それが2回か3回振られて4度目に・・・

カーブのたびに、大きく振られたという後部座席。

何度もカーブが続き、急な左カーブを過ぎると直線となり、事故現場の右カーブへとさしかかる。
この状況に、Aさんの脳裏をよぎったのは・・・

横転したバスの乗客Aさん(65):もうブレーキが利かないとなったら、何かしらしないとダメだと。そうすると岩肌とか、木とかにぶつかるから、まず我々左側の方が、窓割れたり、なんかするはずだから、カーテン引こうと思っているうちに、目の前に黒い土っぽいのが見えたんです。
私の記憶では、とにかくここはまっすぐ進んだと思います

Aさんによれば、バスはカーブでハンドルを切らずに、黒い土に向かってまっすぐ突っ込んだという。
そして・・・

リポート:バスの前方は、フロントガラスが割れて大破しています

観光バスは、右側を下にして横転。そのとき、車内では・・・

“宙づり状態” 想像を絶する横転後の車内 右側の乗客は腕が…

横転したバスの乗客Aさん(65):最初横転して、自分が上を向いているのか、上下がわからない感覚。“宙づり状態”になっていると

横転したバスの乗客Aさんの母(87):こうなって

ディレクター:で、そのまま宙づりになっていたっていうことですね?

横転したバスの乗客Aさんの母(87):そう。宙づりになってるからさ

横転したバスの乗客Aさん(65):手と足でこれ以上落ちないように支えて

座っていた席が突然上になり、シートベルトで宙づり状態に。そのままの体勢で、母親が落ちないよう、支えていたというAさん。

横転したバスの乗客Aさんの母(87):シートベルトでつるされてるから逆さまになった感じで、ガイドさん(添乗員)が「出られる人出てください」って言ったんだけども、下に倒れている人いるから。ガラスがみんないっぱい散らばってて。
息子が「降りるか?」って言うから、「いや、降りるって言ってもこの下に人がいるから」って

Aさん親子の真下には、右側に座っていた乗客が・・・

横転したバスの乗客Aさん(65):完全に寝転がる状態で、たたきつけられたような感じで。(右窓際の人は)もうその時点で手を相当出血してました。あとけいれん状態だった。手が

下になった右側の乗客は腕をけがし、危険な状態に見えたという。
そして、後部座席でも・・・

横転したバスの乗客Bさん(73):まず自分のシートベルト外して。天井と座席の間の窓が割れていて、道路に直接降りられたんですよね。一番下の人のベルトを外してあげたの。その人はでも、手が挟まっていて動けないっていうわけ。下が本当に、川のように血が流れ出しちゃって・・・

横転後の車内は、想像を絶する状態となっていた。

「立ってもフラフラ」“宙づり状態”から30分後に救助警察によると、午前11時51分、運転手は「バスが横転した」と自ら通報。

横転したバスの乗客Aさん(65):いろいろ報告とか連絡、運転手が、何とか脱出口を開こうとして、ガラスを割ろうとしたのか、あれこれやろうとした。とにかく出口を開こうと

やがて消防隊や救急隊が到着し、動ける人は歩いて外へ・・・。手荷物棚と天井のわずかな隙間が通路になったという。
Aさん親子は、宙づり状態から約30分後に救助された。

横転したバスの乗客Aさんの母(87):(自分は)救急車の人が抱っこしてくれて。そして立ってみてもフラフラだから、歩かれないのね

横転したバスの乗客Aさん(65):逆さ宙づり状態になってるから、平衡感覚がずれているんでしょうね

そして外では、横転したバスの後ろから助けに来た人たちが・・・

横転したバスの乗客Bさん(73):後ろのバスの運転手さん三人ぐらいでフロントガラス壊してたの

バスの横転事故という緊急事態。後続の別のバスに乗っていた学校の先生や運転手などが、助けにかけつけてくれたという。

横転したバスの乗客Bさん(73):後ろのバスの運転手さん三人ぐらいで、フロントガラス壊してたの。広げた。なかなか広がらなかったんだけど、でも、少し広がって、それで全部出たんですよね。
後ろのバスの先生とかが、先に出た人の手当てをしていたんですよね。ペットボトルの水でケガしたところ洗って・・・

この事故で、右側に座っていた乗客、枝川恵美子さん(74)が死亡。26人が重軽傷を負った。

警察は、バスの運転手・野口祐太容疑者を過失運転致死の疑いで送検。

現場では少なくとも200メートル手前から、このバスのものとみられるタイヤ痕が反対車線で見つかっていて、野口容疑者は「繰り返しブレーキを踏んだが利かなかった」と供述。

警察は、摩擦熱でブレーキが利かなくなる「フェード現象」の可能性を含めて捜査していて、車両メーカー立ち会いのもと検証する方針だ。(「Mr.サンデー」10月16日放送分より)


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