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なぜ臓器移植が日本は少ないのか

2022-07-20 | コラム
なぜ臓器移植が日本は少ないのか
 身近な人で透析治療を受けている方を知るかと聞かれたら、どなたでも数名が思い当たるのではないだろうか。ご存じのことと思うが、透析とは腎臓(じんぞう)臓病(慢性腎不全)となって、透析治療を行うということになるのだが、一度この治療を始めると死ぬまで治療を続けなければならないとのことだ。

 今回これを記すに当たり、幾つがNetで検索したら、以下の様なことが判った。
・透析治療者数は、2019年末でおよそ345千人の透析患者がいて、毎年5千人程度の増加をしているらしい。従って、2022年現在を想定すると35万~36万名ぐらいの透析治療者がいると推定できる。

・透析治療の医療費は一人当り年間500万円程度要し、その医療費総額は推定2兆円程度のものとなっている様だ。

 ここで重篤な腎臓病(慢性腎不全)となった場合、透析しかないのかと云うことだが、もう一つの方法で移植という選択肢がある。しかし、日本の現状は要望者15千に対してドナー(提供者)が400しかないと云うことで、平均で15年を越える年数待たねばならないという状態があることを知った。なお、腎臓の場合、肺と同じで2つの機関があると云うことで、生体臓器移植ということも可能らしいが、日本の場合臓器移植法などで、近親者に限られるとかの制限ある様だ。これはある意味もっともな話しで、臓器提供をビジネスにしたんでは倫理とか人権というものが危険ということで法令は作られている様だ。

 さて、ここからが本論なのだが、2006年のことだが、宇和島臓器売買事件というものが起きていることを、別の本を読んでいる中で知った。詳しくは下記リンクを参照してもらいたいが、「宇和島の女性から「知人に頼まれ腎臓を提供したが、貸していた金銭すら返してくれない」との電話が愛媛県警察への相談で事件が発覚したというものだ。その後、警察の捜査により移植を受けた患者男性と仲介役をした内縁の妻を逮捕、ドナーとなった女性も書類送検された。」との事件だ。この時の医師は、臓器の売買の仲介をしたり金銭には絡んでいないことから、警察は責任を問わなかった。しかし、提供者の腎臓ががんにかかっていた、いわゆる病腎移植だったことから、医学会から相当に非難の声が上がった様だ。

 しかし、この件、事後に該当の宇和島の医師からさまざまな臨床例と共にその記録の実態を調べた医師が述べている「病腎移植禁止の動きに異議あり」(下記リンク)とするページを読むと、病腎移植でもあながち悪いとはいえず、責められるものではないと意見を記している。ちなみに米国では、病腎移植もすべてではないのだろうが容認されているという。

 また、同文内には「ドナー腎が圧倒的に足りない日本において、「病腎」は移植を待ち望む多くの腎不全患者に大いなる福音となることは疑いない。病腎移植の優れた点を適正に評価するべきであろう」。また、「病腎移植が進むことによって医療費削減効果があることに触れておきたい。透析医療に比べて医療費が安いため、もし年間1,000例の病腎移植が行われ、移植腎が平均10年間機能するとすれば、透析関連医療費(2007年現在、総額1兆2,500億円)の1.2%程度(年平均154億円)が削減されると私算される。」ということも記されている。

・宇和島臓器売買事件
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%87%E5%92%8C%E5%B3%B6%E8%87%93%E5%99%A8%E5%A3%B2%E8%B2%B7%E4%BA%8B%E4%BB%B6


・「病腎移植」禁止の動きに異議あり(2007)
https://pathos223.com/essay/byoujin.html


#透析治療 #日本の移植療法の少なさ


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