私の思いと技術的覚え書き

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タイヤの黄、赤マークの意味は?

2016-10-24 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 デジタルだろうがアナログだろうが、路面に接しトラクション、ブレーキング、コーナリングフォースを生じさせ得るのはタイヤのアナログ能力が最終的な決定力を持っていると云って過言ではないだろう。今回は、スキルのある方なら当然知ってる内容だが、知らない方向けに、初歩的なウンチクとしてメモしてみる。
 タイヤには、新品もしくはそれに近い場合、黄色と赤の丸ペイントマークが見られるが、その意味を明確に知っている方は少ない(特に赤マーク)と思える。
①黄色(軽点)マーク
 タイヤのサイドウォール部の黄色ペイントマークは、軽点マークと云い、タイヤの周上で最も軽い部分を示している。通常は、このマークとホイールのバルブ部(重点)を合わせてタイヤを組み付けるが、次のユニフォーミニティマークを優先する場合がある。
②赤色(ユニフォーミニティ)マーク
 タイヤのサイドウォール部に赤色ペイントマークがある場合があるが、これをユニフォーミニティマークと云い、最も硬い(剛性が高い)部分もしくは高い(径の大きい)部分を示してる。一方ホイールに白色ペイントマークがある場合(主にスチールホイール)があるが、これは、最も低い(径の小さい)部分を示している。これらマークを合わせてタイヤとホイールを組み付けることにより、ボデーシェイク(振動)を軽減させる。
補足
 タイヤのユニフォーミニティについて記してみる。ユニフォーミニティ(uniformity)とは、言葉の意味は「均質性」のことを指す。そして、広義のユニフォーミニティとは、以下に記す様な、重量的なもの、寸法的なもの、そして剛性としてのものがある。
①重量的
 重量的な不均質(アンバランス)だが、ホイールバランサーテスターにて計測し、適宜ウェイトを装着することにより校正することが可能となる。
②寸法的
 寸法的な均一性とは、いわゆるタイヤの真円度(ラジアルランアウト)のことだが、昔のタイヤは真円度が不均一であったり、ブレーキロック等によりフラットスポット(タイヤ周上の平らな部分)が生じたりして真円度が低下した場合、タイヤツルワーというタイヤ研削機により修正を行ったこともあったが、昨今はあまり見掛けなくなった。また、昔は国産タイヤに比べ、ミシュラン社のタイヤが真円度が良好である等と云われたが、昨今は国産タイヤでもまったく遜色はないと聞く。
③剛性的
 タイヤはサイドウォール部が屈曲し接地するが、タイヤ内部のカーカスの厚み等の不均一を要因として、剛性としての不均質が生じる場合があり得る。この剛性の不均質があると、真円度の不均質と同様に車体に上下の振動(シェイク)を生じてしまう。この剛性の不均質のことを、狭義のユニフォーミニティと云っている。
 その昔、実体験したことだが、ラック&ピニオン式ステアリングが採用され始めたころのスポーティカー(初代ソアラ MZ10)で、幾らタイヤバランスを厳密に取り直しても、ボデーシェイクとステアリングシミー(ハンドル周方向の振動)が収まらず、タイヤを交換しても満足できる状態まで至らず困った記憶がある。この時は、結局タイヤメーカーからユニフォーミニティを保証したタイヤ(マスタータイヤ)の供給を受け、これを装着することで完治したのだ。
 この剛性のユニフォーミニティだが、タイヤに加重を作用させ回転させた時の反力を計測するユニフォーミニティマシンで計測するのだが、タイヤメーカーにしかない。タイヤメーカーでは、昔は抜き取り検査で一部を計測していた様だが、現在では全品ユニフォーミニティ検査を行っている様だ。従って、現在では一流メーカータイヤであれば、ユニフォーミニティ不良による問題というのは少ないものと感じる。


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