私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

映画とクルマ(その3)

2011-01-23 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 今回取り上げるお気に入りの映画は、ブリット(1968年製作)です。ご存じの通り、スティーブ・マッ クイーンが刑事役で、サンフランシスコの町をカーチェイスするというものです。
 マックイーンが駆るクルマは、フォード・ムスタングGT350です。このファーストバックのスタイリング は、ちょっと後の初代トヨタ・セリカLBに影響を与えたのではないかと想像されます。また、ムスタング
のモスグリーンのボデーカラーですが、70代頃の我が国では、メーカーを問わず人気色だったなあと 思いだされます。
 さて、映画の話しですが、細かいチェック柄の厚手ジャケットを着たマックイーンもカッコイイのです が、なんといっても急坂のサンフランシスコで繰り広げられるカーチェイスがなかなかのものです。シ
スコの急坂を下って行くと、交差点で水平になっているため、凄い凹凸を乗り越えたのと同様、車体 が飛び上がるほどに上下します。
 一般の自損事故などでも、車体が飛び上がり前輪の片輪だけで着地した様な場合、該当サスペン

ションはストロークの限界まで圧縮されますが、中には車体のストラットタワーの位置が10mm近く上 部に変形してしまう様な事例を見て来ました。当然、サイドフレームも上方向へ引き上げられる変形
を生じます。それと、この様な凹凸路を、相当程度の高速で通過しますと、現代の40%とか50%の ロープロフィールタイヤと大径アロイホイールの組み合わせでは、ホイールが大きく塑性変形してしま
うことでしょう。
 また、映画の場面に戻りますが、ムスタングが急発進する場面において、後輪が激しくホイールス

ピンし白煙を上げるのですが、タイヤ自体が上下そして前後に振れ動くのです。これは「ワインドアッ プ」という現象で、リーフ・リジットサスペンションのウィークポイントです。つまり、駆動反力によって、
サスペンション・アームの役割を兼ねるリーフが波打ってしまい後輪が暴れる訳です。当時は我が国 でも後輪サスペンションはリーフ・リジットが多かった訳ですが、一部高性能車に限り、リアアクスル上
部にトルクロッドと云う駆動反力を受け止めるアームを追加したものもあったなあと思いだされます。
 何れにしても1970年代頃までは、日本の多くのクルマは少なからず米国車のデザイントレンドを 強く意識していたと思いますし、米国車自体も魅力に溢れていた時代だったと感じます。


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