私の思いと技術的覚え書き

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対物超過保険に思うこと

2008-05-29 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険

 現在、各損害保険会社のほとんどにおいて、その名称は損害保険会社によって異なりますが対物全損特約や対物超過担保特約等といった名称の保険商品として、被害車両の時価額を一定の範囲まで超過して賠償する旨の保険特約が販売されいます。本保険により、従来は修理を行えず、泣く泣く愛車を手放さなければならなかった被害者や、折角の事故車入庫でも修理施工が実施できなかった鈑金工場等には価値ある保険ではあると思います。しかし、私は下記①~④に記すような理由から、この種の保険商品の良識に疑問を持つのです。

①そもそも対物賠償においては、その賠償額の上限は対象とされる物品の時価額を限度とすることは、過去の裁判所の判例に照らし十分に確立されたものです。

②その裁判で確立された問題に対し、法律上の上限を超えた賠償を行うことを許容するのは、例えその時の事故での保険契約者および事故の被害者にとっては、救済されることであったとしても、社会的な不公平を生むこととなると思います。

③社会的な不公平とは、今回上げた特約に加入していた場合と加入していなかった場合で、交通事故の被害者に対し、実際の賠償額で差異を生じることです。

④この様な保険商品が販売拡大することにより、対物賠償の倫理(時価額が限度となること)を狂わせる要因ともなると思います。実際、私は業務絡みで触れあう被害者さん等から、対物超過保険に入っていなかったのは契約者の責任であり、時価額を超えた修理費を払えという要求を何度も受けているのです。




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1 コメント

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まず元アジャスターさんには (匿名)
2010-11-08 18:09:56
まず元アジャスターさんには
「賠償額は時価格を限度とする」という判例にそもそも妥当性があるのか?

という視点が抜け落ちているように思います。
社会的に「それが妥当だ」とおおよその人間が思いそれが通念になっているならば。
対物超過保険なるものがこの世に登場することはなかったでしょうし
「時価格では納得いたしかねる」とという被害者など
あろうはずもなく、
交渉もいつでも円滑に進んだはずです。
実際そうではないのでしょう?
現実問題として、交渉が難航することが多々あり
交通被害に遭われた方として
多分およそ社会通念上納得できるものではないからこそ
判例を超えて賠償が可能な対物超過保険が設けられている
そういう風に思います。

たまには社会通念と裁判所の判断との距離感を測ってみてはいかがでしょうか。
そうすれば判例どころか法律にさえ世の中との乖離が見えてきます。
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