私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

木型屋さんの話

2016-10-15 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 私の住む隣町には、**木型とか**木工という町工場と共に**金型という様な工場が点在しており目に付く。それも昔に比べれば、数は減っている様だが、この木型とは、金型での量産に備えた試作品を作る工場のことだ。

 ですから、メーカーでまず、木型で試作品を何種か作り、本作としての金型形状を決定し量産体制に入る訳なのだ。今の時代、金型屋さんも仕事量が減っている様だが、木型屋さんの仕事量も大幅に減っている様だ。それは、CAD、CAMで、画面上や数値上で検討し、試作自体の数が減っていることからなんだろう。

 それでも、CADで設計したアンダーカバーを数種類作り、それぞを実車装着して風洞実験を行い、最適なCDやCLの値と共に、実車での他部品との干渉(主にマフラーやサスペンション廻り)を確認しつつ、最適品を決定する。

 なお、木型だが、現在は木をノコギリで引いてカンナで削りということは、まず無いようだ。素材は樹脂で、NC制御のエンドミルで削り出すというのが一般的な様。その後は、雌型の場合は、ハンドレイアップでFRPを貼り込んで、試作品をとしてのダミーを作る訳だ。(寸法および表面精度は最終製品より相当劣るもの)

 たまたま木型屋と金型屋が並んでいる知る工場で、金型屋のオヤジに暇そうだねと声を掛けると、まず木型屋(つまり試作)が動いて、ちょっとタイムラグがあって金型屋が忙しくなるんだねと、云わずもがなのボヤキが聞こえてきた。

 何れにしても工業は、昔ながらの職人が長年培った技能から生み出されるものではなくなって久しいし、その職場が極一部を除いて失われてしまったことは残念なこと。また、この様なことは求人の低迷、ワーキングプア、無闇な従業員の増大等々、労働を巡る諸問題と無関係ではないだろう。

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