私の思いと技術的覚え書き

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チョーキング(白亜化)現象とは

2016-10-15 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 これは塗膜表面や樹脂表面が、長年の紫外線や熱、水などの環境により風化し、白ぽくなったりクリアー塗膜の場合は曇ったり、手で触ると粉状物が付着するという現象を生じることを指す。クルマの塗膜では、紫外線を直接受けやすいルーフやボンネットなどの水平面が、メタリック塗装のクリアー層が破壊され、ザラザラで艶感が失われている経年車は、現在でも良く見かけるものだ。クリアーだけだく、ソリッドでも同様に、ザラザラで粉状

 また、ヘッドランプレンズはアナログ旧車では、ほぼがガラスが使用されており、いつまでも透明度は維持できたが、現代車でガラスを使用しているものは稀だ。ほとんどがポリガーボネイド樹脂で成形され、表面保護のためにクリアー塗装が施されているが、これがまた、対候性に難ありで、経年すると透明度が失われる。

 また、塗装でなく黒色素地のフェンダーカバーを装着したクルマも多いが、経年すると白っぽくなる場合を多く見かける。塗膜も樹脂(プラスチック)の一種だから、同様のことが起こるのだが、どちらかというと素地の樹脂より塗膜のほうが、まだ対候性には優れていると思える。

 話はちょっと飛躍するが、FRPとかCFRPで、まったく塗装仕上げしなかったとしたら、それぞれの樹脂(ポリエステルやエポキシなど)は、急速に劣化していくことだろう。漁船など小型船舶はFRP製が多く、30年以上使用するそうだが、長年放置して外装塗膜の劣化が激しくなると、基材のポリエステル樹脂までが風化し、ガラス繊維がボロボロと露出してくると聞く。

 クルマの外装塗膜を長年の経年から守るには、必要時以外は車庫に保管し、太陽光や雨に濡れないようにすることは、極めて効果的だが、なかなか専用車庫までを用意できないのが使用者の大多数だろう。そこで、クルマメーカーや塗料メーカーでは、それなりに研究はしているのだろうが、なかなか難しいのだろう。現在の焼き付け塗料(メラミンもしくはアクリルの熱硬化型)とか、ウレタン塗料は、重合という化学反応により、樹脂組織が網目構造となり、強力なシンナーでも溶解しない高い溶剤性や対候性を持つのだが、それでも先に記した要な塗膜劣化は経年すると生じる。

 また、塗りたての新車に多いことだが、ブラックマイカ色は各車で一定人気色だが、ラインオフ時に水平面に保護用の紙を貼ったり保護用ワックスを塗布したりしてディーラーに収める。しかし、ラインオフからわずか1か月ほどの期間に降った雨と太陽光の相乗効果で、保護紙の周りにウォータースポットが生じ、自社のBP工場や提携BP工場において、磨き作業を行っている姿を見る。

 以下は私見だが、熱硬化型塗料と高性能なウレタン塗料(硬化剤比2:1など)を比べると、その塗膜性能は熱硬化型を上回ると想像している。しかし、メーカーはそれを使用しない。なぜなら、塗装ラインを組み替えたり、塗料自体も含めコストアップとなるからだ。


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