若き経産官僚の意識の変容
例の持続化給付金などの詐取に関わったとして、起訴され裁判が始まっている元経済産業省のキャリア職員2名の記事を感心を持ちつつ眺めた。
これは記事には触れていないが、この桜井と新井の両名は慶應義塾の同級らしいが、たぶん想像するに両名とも、それ程の富豪ではないにしても、およそ貧困とは縁遠いまあまあの家庭環境で育ったと思える。そうでなければ、私大たる慶応へ入学し、高額の授業料を負担することはできなかっただろう。
そんな恵まれた環境で育ちながら、金には執着心が強く、煌びやかな富裕層の生活に憧れていたことを感じさせる内容だ。この両名だが、主犯は桜井で、終始犯行をリードしていたことがうかがわれる。
そもそも、在学中に今回の不正受給する受取人となる法人登記も、大学在学中にしていたことが語られている。もちろん、当時、コロナ病変も生じておらず、今回のの様な給付金が出ると判ってはいなかっただろうが、何かの機会に法人登記が利用できるとの思いを持っていたのだろう。
それと、両名は親友を語りながらも、桜井が首領で、新井は終始使用人の立場であったこことが伺える。かといって、新井に罪の意識がなかった等とは到底思えず、やはり桜井と同じく、富裕層の生活へのあこがれが根底にあったことは確かだろう。
しかし、桜井の証言にある「経産省に入省したいと思った理由については、育ててくれた社会に恩返しがしたいと思った。何か私に出来ることはないかと。私が日本を語るのははばかられるが、日本は世界有数の大国。(いまの日本の)環境を次の世代に受け継いでいきたいと思った。」と云うが、チャンチャラ可笑しい空文を述べていると思える。
彼らの年代では幾らキャリア官僚と云え、給与も手取りで20間年代前半がいいところだろう。それを、ただ贅沢するのみならず、金の力で上昇していけると思っているところなど、自民党によくいる政治家の意識と類似じゃないかとすら思えてくる。
考えてみると、官僚の犯罪は、卑猥罪など性的なものはあるにしても、金銭詐取に類したものは、出先機関のノンキャリアで絶えず民と接する、定年まで先の見えた、50前後の者の犯罪が多かった様に思える。この年代で、既に拝金主義的思想に染まっている、しかもそれは実生活の窮状から生じたなんてものではなく、垣間見える富裕層だとか、高級官僚が接待で味わう悦楽の世界を既に求めていたというところに驚く。
これを読み思うのだが、もうかれこれ30年以上前に読んだ[官僚達の夏」(城山三郎著)のことを思い出す。たぶん城山氏も亡くなられた頃には、様々な官僚の堕落ぶりが世に表出しいていたので、あまりの世の変わり様を嘆いていたとは思うが、私自身もそう思う。官僚とは、軍隊で云うところの作戦参謀の役目だが、様々作戦プランを立案し、上長を通して政治家の許諾を得て、国の進路として正しい理想の姿を目指すというところなのだが、何か変わってしまった様に思える。
-----------------------------------------------------------
「私は金で自信を補完した」「パシリに使われた」若きキャリア官僚“詐欺”裁判は『金と服従』の物語だった
11/6(土) 12:16配信 FNNプライムオンライン
「傲慢でした」法廷で桜井真被告(29)は涙ぐみながら、質問に答えた。4日、東京地裁の法廷には桜井被告と、新井雄太郎被告(28)の姿があった。
2人は、慶応大学の同級生であり、経済産業省のキャリア官僚として同じフロアで働いていた。そんな2人は、勤務先だった経産省が所管する、新型コロナ対策の持続化給付金と家賃支援給付金合わせておよそ1550万円をだまし取った罪に問われている。
この給付金は、本来、コロナで売り上げが減った企業に支給されるもの。しかし2人は、自分たちが所有する会社が、経営実態がないペーパーカンパニーだったにもかかわらず、大幅な収入減に陥ったように見せかけて、不正に申請し受給していたとされる。
そして、その金は、桜井被告が暮らしたタワマン家賃、ギャンブル、クレジットカードの支払い、”彼女”への小遣い月150万円となり、消えていった。国民の税金で、ド派手な生活を実現させたのだ。
法廷で語られた”お金”への執着心
法廷では、主犯である桜井被告が、中学・高校時代に、”お金”に目覚めていたことが明らかになった。情状証人として出廷した父親は桜井被告について当時をこう振り返った。
桜井被告の父親:周りの友達が桁違いのお金を動かしているようでした。その時にお金に興味を強く持っていたように思う
父親は桜井被告を「ずっと心配していた」と話す。一人息子のため、甘やかしてはならない、と質素に育て、お金に関して特に厳しく接していたが、親の心子知らずか。桜井被告の”お金”への思いは、年を重ねるたびに膨らんでいったようだ。
高校を卒業し、慶応大学に進学。そして大手銀行に就職した後、経産省に入省した。今回、不正受給に利用した会社は、桜井被告が大学生の頃に仲間と設立していた。国家公務員は副業規定が厳しいため、大学卒業前に、社長は別の人の名義に変更していた。
この会社でも金銭トラブルが起きた。お金に対する執着は、大人になっても続いていたことがうかがえる。父親のあと、証言台に桜井被告が立った。被告人質問の冒頭、起訴内容に「間違いない」と改めて認めた。
経産キャリアの口から出た「私は自信を金で補完していた」
桜井被告は、新井被告が紹介した“ツーカー”の税理士とともに、ウソの台帳を作成し、持続化給付金を申請した。「持続化給付金は形さえ整えれば、問題ない」と当時の心境を振り返った。「なぜ、犯罪に手を染めてしまったのか」と裁判長から問われると、こう話した。
桜井真被告:自分に自信がなくなっていったからだと思う。勉学やスポーツなど色んなところで努力しても世の中での評価がない。金銭感覚で力をつけていく、そうやって立身出世した人を見てきた。私は金で自信を補完していた
証言台に立った桜井被告は、拝金主義的な自分を恥じていると、繰り返し後悔の念を吐露した。そして、経産省に入省したいと思った理由については、こう続けた。
桜井真被告:育ててくれた社会に恩返しがしたいと思った。何か私に出来ることはないかと。私が日本を語るのははばかられるが、日本は世界有数の大国。(いまの日本の)環境を次の世代に受け継いでいきたいと思った。
桜井被告への被告人質問が終わった。「申し訳ないことをしてしまった」と、時折、声を震わせる場面もあったが、発言の節々で無責任さを感じた。桜井被告が証言台を去ると、次に新井被告の番となった。
「親友」が「パシリ」に変わり犯罪へ
桜井被告は、新井被告のことを「親友」と呼び、旅行に出掛けるなど、犯罪を「和気あいあいと」準備した仲間とされていた。しかし、その「親友」は裁判長をみつめ、落ち着いた様子で、弁護人からの質問に淡々と答え始めた。
新井雄太郎被告:私をパシリのように使っていたと今は思います。(桜井被告との関係を清算しようとしたことは)3~4回くらいあります。でも全く受け入れてくれなかった。
2人は、先に述べた金銭トラブルをめぐって裁判沙汰となっていた。そして、新井被告の”ミス”により、裁判は劣勢に立たされた。そのミスがキッカケとなり、桜井被告と新井被告の間に”上下関係”ができあがった。そして”犯罪”に走り出して行くことになる。
新井雄太郎被告:(桜井被告に)数え切れないほど何度も責め立てられた。壁を蹴って『お前のせいだ。お前がケツを拭け。俺は何も関係ない』、『お前のせいで訴訟が台無しだ。どうケツ拭くんだ』と言われた。
主犯は桜井被告。実行犯は新井被告。同級生・同僚・親友が、いつの間にか主従関係・パシリに変わっていた。新井被告への弁護人質問で、この日は閉廷した。次回の裁判は11月22日。論告・求刑、最終弁論を経て結審する予定だ。(フジテレビ社会部・司法担当 長谷川菜奈)
例の持続化給付金などの詐取に関わったとして、起訴され裁判が始まっている元経済産業省のキャリア職員2名の記事を感心を持ちつつ眺めた。
これは記事には触れていないが、この桜井と新井の両名は慶應義塾の同級らしいが、たぶん想像するに両名とも、それ程の富豪ではないにしても、およそ貧困とは縁遠いまあまあの家庭環境で育ったと思える。そうでなければ、私大たる慶応へ入学し、高額の授業料を負担することはできなかっただろう。
そんな恵まれた環境で育ちながら、金には執着心が強く、煌びやかな富裕層の生活に憧れていたことを感じさせる内容だ。この両名だが、主犯は桜井で、終始犯行をリードしていたことがうかがわれる。
そもそも、在学中に今回の不正受給する受取人となる法人登記も、大学在学中にしていたことが語られている。もちろん、当時、コロナ病変も生じておらず、今回のの様な給付金が出ると判ってはいなかっただろうが、何かの機会に法人登記が利用できるとの思いを持っていたのだろう。
それと、両名は親友を語りながらも、桜井が首領で、新井は終始使用人の立場であったこことが伺える。かといって、新井に罪の意識がなかった等とは到底思えず、やはり桜井と同じく、富裕層の生活へのあこがれが根底にあったことは確かだろう。
しかし、桜井の証言にある「経産省に入省したいと思った理由については、育ててくれた社会に恩返しがしたいと思った。何か私に出来ることはないかと。私が日本を語るのははばかられるが、日本は世界有数の大国。(いまの日本の)環境を次の世代に受け継いでいきたいと思った。」と云うが、チャンチャラ可笑しい空文を述べていると思える。
彼らの年代では幾らキャリア官僚と云え、給与も手取りで20間年代前半がいいところだろう。それを、ただ贅沢するのみならず、金の力で上昇していけると思っているところなど、自民党によくいる政治家の意識と類似じゃないかとすら思えてくる。
考えてみると、官僚の犯罪は、卑猥罪など性的なものはあるにしても、金銭詐取に類したものは、出先機関のノンキャリアで絶えず民と接する、定年まで先の見えた、50前後の者の犯罪が多かった様に思える。この年代で、既に拝金主義的思想に染まっている、しかもそれは実生活の窮状から生じたなんてものではなく、垣間見える富裕層だとか、高級官僚が接待で味わう悦楽の世界を既に求めていたというところに驚く。
これを読み思うのだが、もうかれこれ30年以上前に読んだ[官僚達の夏」(城山三郎著)のことを思い出す。たぶん城山氏も亡くなられた頃には、様々な官僚の堕落ぶりが世に表出しいていたので、あまりの世の変わり様を嘆いていたとは思うが、私自身もそう思う。官僚とは、軍隊で云うところの作戦参謀の役目だが、様々作戦プランを立案し、上長を通して政治家の許諾を得て、国の進路として正しい理想の姿を目指すというところなのだが、何か変わってしまった様に思える。
-----------------------------------------------------------
「私は金で自信を補完した」「パシリに使われた」若きキャリア官僚“詐欺”裁判は『金と服従』の物語だった
11/6(土) 12:16配信 FNNプライムオンライン
「傲慢でした」法廷で桜井真被告(29)は涙ぐみながら、質問に答えた。4日、東京地裁の法廷には桜井被告と、新井雄太郎被告(28)の姿があった。
2人は、慶応大学の同級生であり、経済産業省のキャリア官僚として同じフロアで働いていた。そんな2人は、勤務先だった経産省が所管する、新型コロナ対策の持続化給付金と家賃支援給付金合わせておよそ1550万円をだまし取った罪に問われている。
この給付金は、本来、コロナで売り上げが減った企業に支給されるもの。しかし2人は、自分たちが所有する会社が、経営実態がないペーパーカンパニーだったにもかかわらず、大幅な収入減に陥ったように見せかけて、不正に申請し受給していたとされる。
そして、その金は、桜井被告が暮らしたタワマン家賃、ギャンブル、クレジットカードの支払い、”彼女”への小遣い月150万円となり、消えていった。国民の税金で、ド派手な生活を実現させたのだ。
法廷で語られた”お金”への執着心
法廷では、主犯である桜井被告が、中学・高校時代に、”お金”に目覚めていたことが明らかになった。情状証人として出廷した父親は桜井被告について当時をこう振り返った。
桜井被告の父親:周りの友達が桁違いのお金を動かしているようでした。その時にお金に興味を強く持っていたように思う
父親は桜井被告を「ずっと心配していた」と話す。一人息子のため、甘やかしてはならない、と質素に育て、お金に関して特に厳しく接していたが、親の心子知らずか。桜井被告の”お金”への思いは、年を重ねるたびに膨らんでいったようだ。
高校を卒業し、慶応大学に進学。そして大手銀行に就職した後、経産省に入省した。今回、不正受給に利用した会社は、桜井被告が大学生の頃に仲間と設立していた。国家公務員は副業規定が厳しいため、大学卒業前に、社長は別の人の名義に変更していた。
この会社でも金銭トラブルが起きた。お金に対する執着は、大人になっても続いていたことがうかがえる。父親のあと、証言台に桜井被告が立った。被告人質問の冒頭、起訴内容に「間違いない」と改めて認めた。
経産キャリアの口から出た「私は自信を金で補完していた」
桜井被告は、新井被告が紹介した“ツーカー”の税理士とともに、ウソの台帳を作成し、持続化給付金を申請した。「持続化給付金は形さえ整えれば、問題ない」と当時の心境を振り返った。「なぜ、犯罪に手を染めてしまったのか」と裁判長から問われると、こう話した。
桜井真被告:自分に自信がなくなっていったからだと思う。勉学やスポーツなど色んなところで努力しても世の中での評価がない。金銭感覚で力をつけていく、そうやって立身出世した人を見てきた。私は金で自信を補完していた
証言台に立った桜井被告は、拝金主義的な自分を恥じていると、繰り返し後悔の念を吐露した。そして、経産省に入省したいと思った理由については、こう続けた。
桜井真被告:育ててくれた社会に恩返しがしたいと思った。何か私に出来ることはないかと。私が日本を語るのははばかられるが、日本は世界有数の大国。(いまの日本の)環境を次の世代に受け継いでいきたいと思った。
桜井被告への被告人質問が終わった。「申し訳ないことをしてしまった」と、時折、声を震わせる場面もあったが、発言の節々で無責任さを感じた。桜井被告が証言台を去ると、次に新井被告の番となった。
「親友」が「パシリ」に変わり犯罪へ
桜井被告は、新井被告のことを「親友」と呼び、旅行に出掛けるなど、犯罪を「和気あいあいと」準備した仲間とされていた。しかし、その「親友」は裁判長をみつめ、落ち着いた様子で、弁護人からの質問に淡々と答え始めた。
新井雄太郎被告:私をパシリのように使っていたと今は思います。(桜井被告との関係を清算しようとしたことは)3~4回くらいあります。でも全く受け入れてくれなかった。
2人は、先に述べた金銭トラブルをめぐって裁判沙汰となっていた。そして、新井被告の”ミス”により、裁判は劣勢に立たされた。そのミスがキッカケとなり、桜井被告と新井被告の間に”上下関係”ができあがった。そして”犯罪”に走り出して行くことになる。
新井雄太郎被告:(桜井被告に)数え切れないほど何度も責め立てられた。壁を蹴って『お前のせいだ。お前がケツを拭け。俺は何も関係ない』、『お前のせいで訴訟が台無しだ。どうケツ拭くんだ』と言われた。
主犯は桜井被告。実行犯は新井被告。同級生・同僚・親友が、いつの間にか主従関係・パシリに変わっていた。新井被告への弁護人質問で、この日は閉廷した。次回の裁判は11月22日。論告・求刑、最終弁論を経て結審する予定だ。(フジテレビ社会部・司法担当 長谷川菜奈)