私の思いと技術的覚え書き

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NTTのドコモ完全子会社化をどう見るか

2020-09-29 | コラム
 この報道はNTT自身の発表でなく日経が報じたものらしく、NTT自体は現在否定する報を発している様だが、ボンクラ日経といえども、なんらかの確証を得て報じているのだろう。

 NTTというのは元々電電公社で公営企業だったのだが、1985年に民営化された。そうは云っても、現在でも政府が36%程の株式を持つ特殊法人だ。一方、NTTドコモは1991年に移動体通信事業の分社化により発足し、1993年よりNTTドコモとして事業を行っている。現状で、ドコモの66%の株式をNTT本体が所有する子会社だ。

 表題の完全子会社とするには、一般投資家が持つ30数%の株式をNTTがTOB(公開買付)で入手することだが、その狙いは何処にあるのだろうか考えてみた。

 まずは、カンならずスガ新首相が携帯電話料金が高いと苦言を言ってるのに対応はないだろう。私見としては、NTTの整備した光ファイバーおよびメタル線の国内通信網は、まだ幾らか増強する必用があるににしても、従来の様な上昇は見込めないということがある。そもそも、固定電話回線契約数などは低下しつつあるだろう。一方、NTTというのは、富士通やNTTなど、民間企業に劣らない研究開発能力を持っており、5Gだとかそれ以上の今後の移動体通信事業の発展はまだまだ見込めるという辺りに核心はあるのだろう。

 個人的希望を云えば、元々過去の移動体通信では、ドコモのiモードとか現行4Gに先駆けたFOMAなど、世界でも最先端の機能を持っていたのが、今や5Gで置いて行かれた、日本の携帯通信はガラパゴスだかと言われる状況だ。このことは家電メーカーと同じく、過去の電子立国が泣く状況だ。現在のスマホ市場では、アップルとGoogle(アンドロイド)OSに占有されてしまった。一社単独で日本だけ独自のOSを開発して孤立化する方向は、iモードの再来になってしまうこともあるが、このままGoogleの占有拡大を無制限に許すのも、国家安全保障上も問題も含め由々しきことと感じる。

 この上は、NTTに富士通、NEC、日立、東芝、パナソニック、ソニーなどの日本電子産業軍団の英知を結集し、かつてのTORONの様な日本独自のカーネルOSを構築し、当面はその上でアンドロイドもしくはiOSを駆動できればと思う次第だ。当然、モービル用の次はPC用として、ターゲットをWindowsに定めてその牙城を崩す。それには独自のCPU開発が必要になるが、ロジック設計はNTTで、当面はTSMC(台湾)で5nmプロセス程度で製造する。その後目指すは、シリコンウェハーに代わるGaN(窒化ガリウム)ウェハーによる、CPU、GPU、DRAMだろう。さらに、韓国に、そして中国に完全にお株を取られた、ディスプレイ技術も、マイクロLEDの実用化と16K以上の超高画素、高ダイナミックレンジかつ超ハイコントラストディスプレイを目指す。

 ただし、この動きは対米呪縛に捕らわれた経産省主導では絶体不可能だ。かつての坂村健を超える天才科学者を中心に、NTT主導でできないものだろうか。もし、この国家戦略が成功すれば、往時は20兆を越える外貨を稼いで来た我が国の電子立国が再興できる余地は生まれる。まあ、夢の物語かもしれないが・・・。

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