現在のクルマでは、ターボのありなしに関わらずノック制御しており、そもそもノッキングという打音を意識したことがない方もいるのかもしれない。そんな思いも込め、およそ40年前のクルマのことを記してみたい。
まずはガソリンエンジンのノッキング(knocking)という現象だが、ノックとは打音のことで、ドアをノックするとか云うのから来ているのだろう。実際のノッキング音は、ガソリンエンジンでは、”カリ、カリ・・・”という感じに聞こえる場合が多い。40年位前までは、結構聞こえたし、そもそも点火時期調整を規定値にセットして、その後試走して、変速位置トップ(直結)で40km/hから加速時に短時間の軽いノック音が出る様にオクテンセレクタで微調整するというのがセオリーだったのだ。これは使用燃料のオクタン価の差とかエンジンなどの経時変化に対応し、微調整を行うことで最良点を求めると云うアナログチックな良き世界の話しだった。
ところが現代車では、ほとんどノック音は聞かれなくなったし、そもそも点火時期調整を行う必用もなくなった。現代整備屋にタイミングライトと云うのを使ったこともない者も多いのではなかろうか。そもそも使おうにも、クランクプーリーやタイミングケースにTDCやBTDC何度の目盛りが付いているエンジンもない訳だ。
このノッキングだが、点火タイミングが早すぎたり、エンジンン自体が要求するオクタン価(これをメカニカルオクタン価と呼ぶ)より、使用のガソリンのオクタン価が低い場合に生じる。どんな走行場面でで生じ易いかといえば、低速高負荷で生じ易いと云えよう。回転が付いて来る(上がって)と、ノック音も減少するというのが普通だ。ただし、エンジンがオーバーヒート状態となると、軽負荷でもノッキングは出まくりとなり、カリカリ音は相当に大きくなると共に力感不足を顕著に感じる様になる。この状態を継続することは、極めて深刻なエンジン内部の障害を生じる恐れがある。
ノッキングというのは、何故起こるのだろうか。それは、スパークプラグで火花点火されると、ガソリンは火炎伝播という現象で燃え広がる。この火炎伝播は、常温常圧で計測すると、0.5m/sec程度のゆっくりしたものだ。しかし、エンジンの燃焼室内では、給気や圧縮時の乱流(タービュランス)により、火炎伝播速度は桁違いに速くなり、さらに回転速度が上がるほど、火炎伝播速度は速くなっていく。だから、それなりに設計したレーシングエンジンでは2万rpmもの高回転が可能にもなる訳だが、実用車では6千rpm程がレブリミットとなっている。この時の火炎伝播速度は30m/secというところの様だ。ところが、ここでノッキングが起こる条件にすると、火炎伝播が広がる燃焼室角で高まる圧力とかで自己着火してしまい爆燃する現象が生じるが、これがノッキングだ。この爆燃の際の燃焼速度は2000m/sec程にもなるという。ここまで高速な爆燃となると、ピストンを押し下げる力として作用せず、従って力感不足も感じると共に燃焼室内表面の温度を高め、ピストンヘッドや燃焼室表面を溶損してしまう場合がある。
そんなノックのことも含め、ガソリンエンジンの燃焼のことを解説した1962年の動画を紹介してみる。
「ガソリン」 東京シネマ1962年製作(およそ21分/11:10辺りからノックの説明あり) 2013/01/06
https://www.youtube.com/watch?v=Ip0fIg5XjB0
まずはガソリンエンジンのノッキング(knocking)という現象だが、ノックとは打音のことで、ドアをノックするとか云うのから来ているのだろう。実際のノッキング音は、ガソリンエンジンでは、”カリ、カリ・・・”という感じに聞こえる場合が多い。40年位前までは、結構聞こえたし、そもそも点火時期調整を規定値にセットして、その後試走して、変速位置トップ(直結)で40km/hから加速時に短時間の軽いノック音が出る様にオクテンセレクタで微調整するというのがセオリーだったのだ。これは使用燃料のオクタン価の差とかエンジンなどの経時変化に対応し、微調整を行うことで最良点を求めると云うアナログチックな良き世界の話しだった。
ところが現代車では、ほとんどノック音は聞かれなくなったし、そもそも点火時期調整を行う必用もなくなった。現代整備屋にタイミングライトと云うのを使ったこともない者も多いのではなかろうか。そもそも使おうにも、クランクプーリーやタイミングケースにTDCやBTDC何度の目盛りが付いているエンジンもない訳だ。
このノッキングだが、点火タイミングが早すぎたり、エンジンン自体が要求するオクタン価(これをメカニカルオクタン価と呼ぶ)より、使用のガソリンのオクタン価が低い場合に生じる。どんな走行場面でで生じ易いかといえば、低速高負荷で生じ易いと云えよう。回転が付いて来る(上がって)と、ノック音も減少するというのが普通だ。ただし、エンジンがオーバーヒート状態となると、軽負荷でもノッキングは出まくりとなり、カリカリ音は相当に大きくなると共に力感不足を顕著に感じる様になる。この状態を継続することは、極めて深刻なエンジン内部の障害を生じる恐れがある。
ノッキングというのは、何故起こるのだろうか。それは、スパークプラグで火花点火されると、ガソリンは火炎伝播という現象で燃え広がる。この火炎伝播は、常温常圧で計測すると、0.5m/sec程度のゆっくりしたものだ。しかし、エンジンの燃焼室内では、給気や圧縮時の乱流(タービュランス)により、火炎伝播速度は桁違いに速くなり、さらに回転速度が上がるほど、火炎伝播速度は速くなっていく。だから、それなりに設計したレーシングエンジンでは2万rpmもの高回転が可能にもなる訳だが、実用車では6千rpm程がレブリミットとなっている。この時の火炎伝播速度は30m/secというところの様だ。ところが、ここでノッキングが起こる条件にすると、火炎伝播が広がる燃焼室角で高まる圧力とかで自己着火してしまい爆燃する現象が生じるが、これがノッキングだ。この爆燃の際の燃焼速度は2000m/sec程にもなるという。ここまで高速な爆燃となると、ピストンを押し下げる力として作用せず、従って力感不足も感じると共に燃焼室内表面の温度を高め、ピストンヘッドや燃焼室表面を溶損してしまう場合がある。
そんなノックのことも含め、ガソリンエンジンの燃焼のことを解説した1962年の動画を紹介してみる。
「ガソリン」 東京シネマ1962年製作(およそ21分/11:10辺りからノックの説明あり) 2013/01/06
https://www.youtube.com/watch?v=Ip0fIg5XjB0