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【映画評】ハンターキラー 潜航せよ

2020-07-13 | 論評、書評、映画評など
 この映画はいわゆる「潜水艦もの」で2018年封切りの映画だ。だから、感心を持って眺めることになったのだが、視聴後の感想を端的に決め付ければ粗が目立つと云うのが私見たる評価だ。

 良くできた映画というのは、各シーンに見事さなど感動を感じるシーンが多々あり、全編通しはともかくとして、そのシーンを見たくて、DVDなどメディアでサーチして見直したくなる作品は多い。そういう面で、この作品は、感動が少ないと感じたのだ。また、小説でも個人的に好きな特定の作家作品など、読み返すことを繰り返し、いったい何度読み直したか判らない程というものがある点は共通点ではなかろうか。

 潜水艦映画と云えば、魅力を感じる作品は過去から結構多いし、感心を持ちつつ眺めて来た。その一部を、以下にリストアップしてみる。なお、制作費および興行収入はwikiより現在円換算して記す。
・ハンターキラー      公開2018年 制作費40億 興行収入29億
・ローレライ(邦画)    公開2005年 制作費12億 興行収入24億
・クリムゾンタイド     公開1995年 制作費53億 興行収入157億
・レッドオクトーバーを追え 公開1990年 制作費30億 興行収入200億
・Uボート(Das Boot)    公開1981年 制作費20億 興行収入85億
  
 こうしてリストアップしてみた制作費と興行収入比は、私見として感じる魅力度と違和感なく相関していると思える。すなわち、リスト中で最大の制作費の7倍近い興行収入を生み出している「レッドオクトーバーを追え」は抜きん出ているが、感じる魅力度と一致しており、何度も見直す作品だ。

 その理由を考察してみるに、以下の様な要素が大きいのだろうと思える。
・本(原作)が秀逸だ。云わずとしれた戦記小説家故トム・クランシーで原作も読んでいるが魅力ある。
・監督のジョン・マクティアナンと云う、さほど知名度高いと感じない方だが、ダイハード1および3など、それなりに魅力ある作品を手掛けており、作品の作り込みに掛けるこだわりを感じる。
・キャストが良い。ショーン・コネリーとスコット・グレンの2人は、他作品でも魅力ある役者だ。

 ところで、軍用兵器は秘匿事項が多く、一般人には知れない環境が多い訳だが、映画ではそれなりの想像も含めて「らしい」セットを作るなどして対応しているのだろう。レッドオクトーバーからハンターキラーまで28年を経過している。このことは、映画のCGエフェクト(効果)など、進歩を遂げており、各シーンの「らしさ」はよりリアルさや迫力は増えているのだが、それでも作品全体としての物足りなさは隠せないのだ。

 なお、潜水艦の指揮所の各機器など、それなりにIT機器の「らしい」進歩が表現されているところは興味を持つ。それは、圧倒的に視覚機器としてのディスプレイが増えていること。そして、レッドオクトーバーの時代は、CRT(ブラウン管)だったものが、フラットな液晶大画面パネル化されていることなどだ。作戦用海図も、タッチパネル付きの液晶大画面で、スマホの拡大縮小操作と同様に操作している。現実の現用潜水艦がどうなのか知るよしもないが、IT化はそれなりに進化を遂げているのだろう。

映画『ハンターキラー 潜航せよ』予告編 2019/03/19
https://www.youtube.com/watch?v=6kXHvgBACo8

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