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ルポルタージュ・損害調査員 その24【盗難車疑義事案の放置】

2022-08-05 | コラム
ルポルタージュ・損害調査員 その24【盗難車疑義事案の放置】
 この事案も私が横浜損害調査課の勤務時の案件だ。私の横浜勤務は2002/4-2004/3末までの2年間であったが、正直この損保調査員としての限界を感じ続けたし、私のささやかながら持ち続けた善良な契約者を前提として正しい査定を行うという信念を打ち壊された時代だったと回想せざるを得ない。

 当時に私は調査員(アジャスター)課長職を拝命し、基本的には自分の個別事案を持たない、ある意味管理専任の立場として勤務していた。しかし、持ち前の「調査員は活動を実績することが命」との信念もあり、配下の調査員には事前相談を強く指導しつつ、問題があれば自ら出向いて一緒に汗を掻き、思考しという活動を続けていた。

 今回はそういう事前相談の中で報告された案件で、対物相手車両の車体番号打刻が削り取られていて、「これじゃそもそも相手車が真の所有者か判らんだろう」、正規のシャシプレートの車体番号が判るので「現在登録証明を取り付けたのか?」、「もしそれが事故当事者と異なるなら最寄りの警察署へ届け出が必用だろう」などと矢継ぎ早に指導した案件を思い出す。




 この該当調査員およびその部署のセンター長も極めてまじめな者達であってのだが、問題はその上位職になる横浜損害調査課のK課長がおよそ査定正義という心が欠落した人物だったということがある。ただ不真面目で、何もやらないならまだいいが、上昇志向だけは人一倍強く、盆暮れの時期になると、当時の損害調査部長似たいし、前赴任地での銘酒だとかを調達し、部署内で公言するかの様にその贈答送付を皆に見せ付ける行為を行うと云う信じがたい行為を何度も見せ付けられてきた。

 私はサラリーマンである以上、上昇志向を一概に否定はしないが、そういうことは皆に知られず人知れず行うことが普通の感覚だと思うが、本人してみれば本社損害調査部長とその様な関係にあることを見せ付けるデモンストレーションとしての見栄が先に建つ行動かなと呆れ返って眺めていたものだった。

 さて、本論であるが該当調査員に矢継ぎ早に質問をしてから、一週間ほど経たある日、そのアホK課長に、「課長報告を受けていると思いますが○○センター(該当損調センター)の車体番号削り取りの事案ですが、どうされました?」と投げ掛けたのであった。その返事は顔を歪めて「相手は893組織の構成員らしいんだよね。ことが大げさになっても困るので速やかに処置する様に下命した」というではないか。私は、「もしその人物が真の所有者でないとしたら、後に真の所有者が明確化したらどうするんですか?」と質すが、その返事はなく、顔を逸らされてしまった。私は、心の中で、「これじゃ保険会社は共謀罪だぜ」と思いつつ、なんとも情けない思いを感じたのであった。


#査定における正義の喪失 #盗難疑義を放置


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