私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

自研センターのHP更新について

2007-10-16 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険

 久方ぶりに(株)自研センターのHPを見ましたら、内容がリニューアルされていましたので紹介致します。別に自研センターのことをプロパガンダするつもりはありませんが、リペアインフォメーション(自動車修理技術情報)のことと、新しく始められる様子の自動車事故修理費アセスメントのことについて記してみます。

1.リペアインフォメーション
 この情報は相当以前より各保険会社へは情報として提供されて来ていました。それを今回HP経由で一般に公開することとなったものであり、誠に結構なことと感じます。
 現在のところでの主項目の区分としては、国内メーカー8社+レクサス、輸入車、その他となっています。国産各メーカー別に、修理作業の事例や損傷診断事例や損傷傾向の事例等が紹介されています。また、輸入車についても、現在のところ対象メーカーは欧州車で比較的量販車に限られ掲載件数自体はも比較的少ないものの、国産車の場合と同様の事例が紹介されています。それと「その他」で区分される項目については、鈑金塗装工場での作業上の一般的な知識としての情報が紹介されています。何れにしても、修理作業者および損害調査活動を行う者に取って、非常に有益な情報源の一つとなるものと感じます。

2.自動車事故修理費アセスメント
 自動車アセスメントと聞くと、前面フルラップバリヤ50km/hや前面オフセット56km/h衝突テストのことが通常連想されます。しかし、これらテスト評価は、ある程度高速での自動車搭乗者の障害値を評価することが目的となります。従って、これらテストでの車両自体の損害はその損傷状態等から類推し、ほとんど全損もしくは相当な高損害の状態となります。しかし、実際の交通事故では、エアバックも作動しない比較的低速度での事故が大多数を占めています。そこで、この「自動車事故修理費アセスメント」とは、ある程度低速での事故を対象として、その修理費の高低を評価しようとするものです。
 具体的な評価実施要領は、自研センターのHP内を参照して戴くとして、ここでは概要のみを列記します。

  • 年間のテスト対象車両は比較的販売実績の高い車両を10台選定し評価を行う。
  • フロント衝突試験として運転席側を40%オフセットし、10°に傾けたバリヤへ速度15km/hで衝突させる。
  • リヤ衝突試験として、被テスト車両を10°傾け、ムービングバリヤを運転席と反対側へ40%オフセットさせて速度15km/hで衝突させる。
  • 一定条件の基に前後それぞれの修理費を算定する。
  • 前後それぞれの修理費を加重平均(保険上の損傷部位別割合に基づく)する。
  • 総合評価として、最も修理費の低いレベル1~高いレベル5までを格付けとする。

 以上の様な内容なのですが、保険会社にとって大多数を占める比較的低速度での衝突事故における修理費は、極めて関心を傾けざるを得ない問題です。また、一般消費者にとっても、保険料の安価さへの期待を含め車両に関わる維持費の一つとして修理費の高低は無視出来る問題ではないと思います。従って、比較的低速度での衝突事故においては、車両自体の壊れにくさ(ダメジャビリティ)や修理性(リペアラビリティ)と云った要素が求められます。そして、それら要素を加味した修理費低減への努力を車両の開発設計者への促すためには有益な評価となるものと期待します。なお、本アセスメント評価結果の公表は2008年4月以降とされている様です。


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