レクサスLSだとかフーガ等の高級乗用車には、ミリ波レーダーやCCDカメラ等により前方車との車間距離を検出し、運転者に警報音を鳴らす等して注意を促しつつ、場合によって強制自動的にブレーキを作動させ、前車との追突を防ぐシステムが取り入れられつつあります。これら事故を未然に防止するアクティブセーフティの技術は、現在の技術水準としても最先端のものであり、そのコストも結構に要することから、これら高級車を中心に採用車が増えつつあるのだと思います。しかし、この様な装置を真っ先に取り入れるべきクルマとは、高級乗用車ではなく、極めて車両重量が大きな大型トラックであり、そして搭乗人数が多い大型バスであるのは、誰が考えても当たり前の話です。大型トラックの場合、最大積載状態では、車両総重量で25トンにも達する車両総重量を持ち、比較的重い部類の乗用車でも車両総重量は精々2トン程度の乗用車とは、比べものにならない運動エネルギーを持っているからなのです。
運動エネルギーは、E(エネルギー)=1/2m(質量)×V(速度)の二乗で算出計算がなされる訳ですが、車両重量が重いクルマ程大きな運動エネルギー、すなわち大きな破壊力を有しているのです。従って、これら大型トラックに追突を受けた乗用車は、正に空母から飛び立つ戦闘機のカタパルトと同様な急激な加速で押し出されつつ、前方に乗用車が渋滞等していれば、次々と何台もが押し出され、大きな被害を与えるのです。もっとも悲惨な事故が、前方に大型トラックが停止していて、後続して停止していた乗用車の後方から大型トラックに追突受ける様な事故です。高速道路で比較的多く発生しますが、その乗用車は、例えどんなに安全装備が施されたクルマであっても、極めて大きな車体の変形を生じ、乗員が圧死に至ったり、場合によっては車体の変形が著しい故に燃料タンクの変形破壊から燃料漏れを生じ、そして車両火災にまで至り、車体の変形が著しいためドアも開かず、焼死に至る場合までがあるのです。
ですから、前方をレーダー等で監視検出し自動的にブレーキを掛ける装置は、高級車にではなく、大型トラックや大型バスにこそ、その装備がなされるべき装置なのです。大型トラックのメーカーには、これら装置を既に開発しオプション扱いとしているメーカーもありますが、リアルワールドで走行される大型トラック・バスには、ほとんど装備がなされていないというのが実態だと感じます。また、これら装備の装着を義務化するにしても、それに要する費用の総てを、これら大型トラックや大型バスの運輸・旅客会社に負担させるという訳にもいかないでしょう。今や、運送業界は自由化による業者の乱立と、燃料費の値上げにも関わらず運賃がほとんど値上げがなされないという極めて窮地に陥っているのです。しかし、悲惨な死亡や重度の交通障害事故を減らすには、道路を造るのと同様な公費や、場合によって保険会社の負担(もしくは装備の有無によって大幅に保険料に差額を設ける等の負担軽減策)によって、これら追突防止装置を義務化すべきだと私は思うのです。
追記
私は道路を走っていて、トラック運転者が平気で携帯電話で話ながら運転する姿を比較的多く見ます。これら運転者は運転台が高いため、廻りから見られないと思っているのかもしれませんが、乗用車より多く目に付きます。これも、走行中のキャブ(運転台)内で、軽帯電話の通話を不可能化する装置を義務化(この様な装置は種々の施設でもあります)すべきとも感じます。なお、ハンズフリータイプは、あまり勧められはしせんがまあ良しとしましても。