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パルス溶接機について

2022-05-14 | コラム
パルス溶接機について
 溶接という作業は、かつて多少は行って来たが、およそ巧みさなどは持ち合わせていなかった。ただ、当時から厚物溶接などを行う工場(造船、重機製造工場)などでは、計測しての仮付けまでは手で行うが、そこからの本溶接は機械で溶接ガンが移動する自動溶接機を使用していると云うことは聞いていた。

 拙人もアーク溶接の極初歩的な資格はあるが、t8程度でも、突き合わせ溶接では、開先角を作り出し、溶接の2段目移行は、ガンを左右(もしくは上下)に振るようなウィビング動作を行いつつ、適切に被溶接部からの距離を一定に保ち、適切な送り速度を維持するのは難しく、とてもじゃないが美しいビード(溶接模様)という具合には行かなかった。この辺りは、機械式で、一定の送りとかで行う方が、人が行うより高信頼性のある溶接ができると云うことなのだろう。

 さて、今回の話しは、機械溶接でなくハンドガンを使用する手動溶接なのだが、この20年程度の期間で、大きく制御が進歩しているという話しを記してみたいが、その様な機械を未だ使用したことはないので、あくまでこういう仕組みだろうという思考の上でのこととなる。そんなことで、誤りなどがあれば、指摘して下さればと思う。

 最近聞く溶接機は、MIG、TIGなどは昔と変わらないが、パルス式という名が付いているものが現代方式となる。このパルスだが、断続的にという意味なのだが、この20年程度でと記したところがポイントで、いわゆるパワー半導体と云われる分野で、高電流の高速スイッチングができる様になったことにより、このパルス式だとか可変周波数とか、もっと云えばインバーターとかが比較的CP高くできる様になったことと無縁ではないだろう。

 BEVにしてもHVにしても、バッテリーは200V程度(現在ポルシェタイカンは800Vだが1KV程度まで行くだろう)のDCだが、モーターにしてもジェネレーターにしても三相ACで動かしており、モーターも永久磁石をローターに使用した同期式だ。この三相ACをパワー半導体の高速スイッチング回路で三相ACを生み出し、その周波数と電圧を制御して、出力制御しているのが、現在のBEVにしてもHVなのだ。

 こんな動力の根幹部でなくても、単なる油量を制御するスプールバルブなどが、カム進角制御に利用されているが、このスプールバルブの位置制御には、パルス制御というよりデューティー比制御と呼ぶべき、単位時間の電流制御でスプールバルブの位置を制御している。つまり、一定の駆動クロックの中において、通電のONとOFFの比率(デューティー比)を汎化させることで、電流制御しているのだ。


 溶接機の話しに戻るが、手動溶接で難しいのは、被溶接部とのアーク放電間隔を一定に保つのと、その移動速度を(送り)を適切に保つということではないだろうか。これらが適切でないと、溶接ビードが荒れるだけでなく、スパッタが多いとか、溶け込み不良とか、溶け込み過剰で穴があくとか種々の問題が出てくる。

 ここで、溶接ガンの被溶接部との距離とか送り速度の不適さがある程度までは、デューティ比制御で電流量を制御することで、溶接作業者のムラを吸収していまうというのがこのパルス制御のキモではないかと想像しているのだ。


#パルス制御式溶接機


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