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政治の堕落と小選挙区は関係あるのか

2023-07-09 | コラム
政治の堕落と小選挙区は関係あるのか
 ここで政治の堕落と記すのはちょっと云い過ぎかもしれぬが、いってみればスケール感なき小物達が多くなったと云うべき感を持つのだ。しかし、政治家と国民は合わせ鏡の関係だからして、そういうスケール感なき小物が増えたと云うのは国民にも云えるのだろうと想定する。

 何故このテーマで記そうとしたかだが、歴代内閣総理大臣で第55代に石橋湛山(たんざん)という方がおられる。首相就任が1956年12月23日で通算在職日数がたったの65日と超短命政権に終わったのだが、その人物本を今のところ2冊読み終わったところだが、この方の理想とかを知るに付け、並大抵の方ではない人物だと思い知る。つまり湛山翁は首相になって約1カ月で退潮を崩し寝込むことになったのだが、2カ月休養を要するとの医師の診断が下るや、周辺は当座代行に任せ凌ぐ様にという説得を、最初の予算委員会にも出席できないとは自己責任を果たせん、「私の政治的良心に従う」と退陣したというという。

 そんな石橋湛山本を読む中で、翁の選挙出馬地が、静岡2区だと知り、これは現在は小選挙区で静岡県は1辛区に区分されるが、当時の中選挙区では2区とは何処だと調べたら、正に私の居住地を沼津市を含む静岡県東部伊豆半島を含む地一帯が2区だと判った。ちなみに湛山翁の生まれは東京だが、父親が僧侶でその転勤に伴い幼くして甲府市に転居するが、何故62にして静岡2区から出馬したのかは今のところ判らない。

 ここで、添付の現在の静岡県の小選挙区区割りを添付して示すが、静岡県東部は現在の小選挙区だと5区と6区が相当するが、中選挙区の市町村の範囲は、若干異なるが5区と6区を含み4区の一部までを含んだ範囲となる。


 ここで、添付の中選挙区時代の1947年から1993年までの衆議院静岡2区(中選挙区)の当選者と立候補者の18表を添付するが、投票率が1993年こそ70%を下回るが、後は軒並み70%を超え、最大で80%を超えている選挙も幾つか見られる。現在の衆議院小選挙区だけでなくおよそ多くの選挙で50%を下回るののを常とする時代とは大きく異なる様相があるのだ。



 ところで、冒頭の政治の堕落とか、世襲議員が恐ろしく増えたのは、この小選挙区制にも一因はあるという意見がある。この意見も含め、転載は長くなるので省略するが、オリジナル文書は下記にリンクを付すので、関心ある方は当たって欲しい。ここでは、オリジナル文書の目に付いたところを要約してみたい。

➀何故中選挙区から小選挙区に移行したのか
 この小選挙区制が具体的に論議される様になったのはリクルート事件(1988年)というのがあった。いわゆる未公開株を政治家に配るという事件だが、それ以前から金権政治というのが問題視されて来た。そんな中で、選挙に金が掛かるという理由付けがなされたという。だが、今でも金絡みのことはあるし、昨今は宗教絡みというべき、腐敗が顕著に露見されたが、現政権はできれば流し忘れさせたいと狙っている気配がある。

②小選挙区を反対もしくは後悔する意見がある
 往時小選挙区制の導入に賛同した政治家にも、後悔する意見がある。政治家の質の低下、政治のスケールが小さくなった。党の公認がもらえれば党首の顔で勝てる。○○チルドレンが例だ。

③目的を果たせなかった二大政党制
 金の問題と共に、米国の様なある意味拮抗した二大政党制をという思惑もあって、二度の政権交代もあったが、結局のところ二大政党制は実現されていない。

➃政治家の劣化
 冒頭で私見としても強く思う政治家の劣化を多くが指摘している。かつての三角大福中の様な迫力ある人物がいなくなった。

⑤世襲優先の弊害
 現職優先の下で新人が党の公認を受けるのは難しい。ところが世襲候補は、親から地盤を引き継ぐので、新人でも党の公認を受けられる。世襲が増えるのも、世襲の送り手受け手が望むだけでない。後援会組織も、選挙区における自己利益や利権の維持のために世襲を要求するなどと記しているが、これは正に腐食、腐敗の温床だろう。

⑥今後に向けて
 この選挙制度の問題を目指して改革して行かなければならないのだが、そもそも投票率が低レベル推移と云うことは政治的関心がないことには、世論の形成も望まれても難しそうだ。

メディア掲載  グローバルエコノミー キャノングローバル戦略研究所 2021.11.08
衆院選は、小選挙区制のままでよいのか?  ~世襲の優先、政策通議員の減少…数多い課題を考える~論座に掲載(2021年10月23日付)
https://cigs.canon/article/20211108_6331.html


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