交通事故は人間が運転している限り、一定減ることはあってもなくなることはないでしょう。保険契約者の交通事故発生率については、色々な統計がありますが、非常に大まかに云って約10%というものです。つまり10人の内、1人が小なり大なりの交通事故を起こしているのです。それ程、交通事故とは身近なものなのです。人間とはその様な愚かなものであります。しかし、クルマに乗って目的地を告げると自動で運転し目的地に到着する様な、本当の真の自動車というものが誕生すれば、交通事故というものは機械の故障以外では生じない極希なものになるのでしょう。今後50年位の未来には、その様なロボットカーが現実のものとなるのでしょう。そしてその様な時代になったら、特定の場所(サーキット等)以外の道路は、人間が自ら操作して運転することを禁止される時代になることと思います。私みたいにクルマの運転自体を楽しみに思う者に取っては、ある意味悲しい未来であります。しかし、その様な技術革新がなされれば、人命には替えられないものとして間違いなく、その様になることでしょう。なお、この様な時代になれば、自動車保険そのものもほとんど必要性はなくなりますし、クルマの事故復元修理業もほとんど必要性はなくなります。まあ、私の生きている内には、この様な時代は来ませんが、クルマの技術革新は間違いなくその様な方向に向かっており、何十年か先の未来には間違いなくその様な時代が訪れることと思います。
さて、現実のリアルワールドでの仕事絡みの私見を記します。まず、交通事故は予測されない災害であって、その事故により走行不能となったクルマは、一刻も早く道路から排除し、多くの走行車の邪魔にならない様にして円滑な交通を復旧させることが必要です。ですからレッカー活動は、人命救助の救急車と同様に公的機関(実際には委託を受けた民間事業者で可)が行うことが求められると思います。なお、その費用負担は、クルマを必要としない方も国民には多くいる訳ですから、各保険会社から事故件数等に応じて徴収したら良いと思います。
次に、事故後の損害調査活動や賠償金の支払いについてですが、現状は各保険会社に任されております。しかし、真の公正・公平な査定と支払いを行うには、各保険会社とは独立した機関により行うことが、その様な理想に近づくものと思います。つまり保険会社は保険契約の契約募集(入り口)のみに専念し、その支払い(出口)にはノータッチとするのです。この様にすれば、もしかしたらあるかもしれない、大口契約者(大手代理店と言い換えても良いかもしれません)と小口契約者との支払い格差や、昨今問題となった保険金の不払い問題等々も自動的に防止できることとなります。以上、損保末端の事故処理人としての意見を記しました。