ビックモーター不正、日経も報道
今日(7/7)付けで日経もビッグモーター不正のことを伝えている。
この内容は、昨日東洋経済が伝えていた特別調査員会の報告内容を基に報じていることが読み取れる。
冒頭にまず驚くのが、全国工場(確か33)から無作為に抽出した3千件の案件で4割超に当たる1千件(4割だと1200件)があったというのだ。
不正の手口としては次に様に記している。
~具体的には車体に故意に傷を付けたり、不要な部品交換や塗装をしたりしていた。実施していない架空の作業を計上し、損保会社に報告したこともあったという。こうした不正行為は全国各地で確認された。損保大手経由での自動車の修理は年間3万台程度とされ、合計の被害額は「想像もつかない」(大手損保関係者)という。
これについては、保険料率算定機構が毎年集計している、対物および車両の平均損害額(修理費)と云うのがあるが、対物で26万、車両で29万(共に税含まず)という2021年の数値がある。ここで、損保が指定工場としてビッグモーターへ入庫誘導するのは、車両保険の対象車がある程度多いと経験上値として理解している。対物を入庫誘導した場合、トラブルが生じがちな点より。そこで、車両の平均修理費29万円だが、これにどの程度上乗せされたのかは記されていないが、少なくと20%相当(58千円)程度はあったとすると、3千件の中での1200件として5千8百万円だ。
また、損保からビッグモーター社への年間入庫誘導件数は3万台程度されるとあるので、サンプル3千件の10倍だから、同じく4割の不正率として年間12千件あったということが類推される。となると不正詐取した金額は5億8千万円ということになる。
記事には本来使わずに済んだ保険を使うことでユーザーに不利益を与えたので、既に返金を始めているとのことが記してあるが、そんな案件は微々たるもので、保険の等級ダウンは保険の使用もしくは不使用で下がるか下がらないかというデジタル的なもので、不正により等級ダウンが生じることはない。入庫時点で損保は、備金計上のためある程度の見込み値をコンピューターインプットするのだが、この時点で少額だと顧客に説明するなどして保険を使わない場合として対応している場合がほとんどだろう。ただビッグの場合は、そういう場合で、膨らまし保険を使う様になったと云うことだろうが、そういう見た目にも損害が小さい車両では、そうそう膨らませることはできまい。こういう話しが出て来ることも、損保の欺瞞が現れていると私は見る。つまり、子細もないことをあえて契約者をおもんばかる様な説明で、本来のビッグ社に対する検査管理義務を尽くしていなかったことへの糾弾を逃れようとしているのではないか。
私は思うのだが、当該損保3社の全契約者に対し、正しい査定をしていなかったことで、不信を与えたことを陳謝すべきであろう。そして、ビッグ社と同業の多くのマジメな修理業は、しばしば保険会社に値引き要求などされている事例を知る時、そういうマジメな工場に対する裏切り行為は、許されないと思う工場は多いのではないだろうか。
また、今回の損保3社は広く国民たる一般契約者や修理業界に与えた不信に対する理解を得るためには、今回の報告書全文を公開すべきであろう。そうして、透明度を高め、ビッグ社との付き合いたる指定工場とか、そもそも代理店契約を解除する必用があろう。その上で、今回の保険金不正請求事案として告訴し、民事賠償も求めるという毅然とした態度を取らねば、信頼は回復できないと思うところだ。
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中古車ビッグモーター、修理の4割で保険金過大請求疑い
日本経済新聞 2023年7月7日 17:56
中古車販売大手ビッグモーター(東京・港)が事故車の修理に伴う保険金を水増し請求し、過大に保険金を受け取っていたことが分かった。関係者によると不正が疑われる案件の割合はサンプル調査で4割超に上った。不正が横行していた実態が浮き彫りとなり、損害保険大手各社は契約者の救済に動く方針だ。
ビッグモーターは外部弁護士でつくる調査委員会がまとめた報告書の内容を7日までに複数の損保へ説明した。関係者によると、全国の整備工場から無作為に抽出した約3000件の修理案件を調べたところ4割超にあたる1000件以上で不適切な行為の疑いがあった。
具体的には車体に故意に傷を付けたり、不要な部品交換や塗装をしたりしていた。実施していない架空の作業を計上し、損保会社に報告したこともあったという。こうした不正行為は全国各地で確認された。損保大手経由での自動車の修理は年間3万台程度とされ、合計の被害額は「想像もつかない」(大手損保関係者)という。
水増し請求で修理代が高額になった結果、本来つかわずに済んだ保険を使うことで自動車保険の等級が下がり、契約者は割高な保険料を支払っている可能性があるという。損保側はこうした契約者の等級を是正し、払いすぎた保険料を返還するため、ビッグモーターに対してより詳細な調査と情報開示を求める方針だ。損保会社自身も保険金の過払い分の返還請求を検討する。
報告書は不正の原因として、整備工場に不合理な目標設定を強いていたことや、上司の裁量による不適切な降格処分があったと指摘。コンプライアンス(法令順守)意識が低く、ガバナンス(企業統治)が機能不全に陥っていた点を問題視した。
不正行為は2022年3月ごろ、内部告発で表面化した。ビッグモーターは整備現場の経験不足や手続きのミスなどと報告したが損保側が納得せず、客観性のある網羅的な調査を求めていた。損保各社も独自に調査しており、ビッグモーターの不正行為が確認された一部の契約者に対してはすでに保険料の返還を進めている。
ビッグモーターは5日付で、公式ホームページで調査委員会から報告書を受け取ったと公表した。「事態を重く受け止め、企業体質の改善に努める」としているが、どのような不正行為があったかなど報告書の中身はほとんど明らかにしておらず、損保各社は引き続き公表を求めていく。
一方、損保側はビッグモーターを優良事業者として、契約者から事故の連絡があった際には修理工場として紹介していた。同社は保険代理店として自賠責保険を取り扱い、紹介数に応じて自賠責の契約数を損保各社に割り振っていた。損保各社は自社の契約を増やすためビッグモーターに誘導していた側面もある。
不正行為をただせなかった損保側の責任を指摘する声も出ており、こうした保険金の水増し請求が自動車修理業界の慣行となっていないかも焦点となる。
今日(7/7)付けで日経もビッグモーター不正のことを伝えている。
この内容は、昨日東洋経済が伝えていた特別調査員会の報告内容を基に報じていることが読み取れる。
冒頭にまず驚くのが、全国工場(確か33)から無作為に抽出した3千件の案件で4割超に当たる1千件(4割だと1200件)があったというのだ。
不正の手口としては次に様に記している。
~具体的には車体に故意に傷を付けたり、不要な部品交換や塗装をしたりしていた。実施していない架空の作業を計上し、損保会社に報告したこともあったという。こうした不正行為は全国各地で確認された。損保大手経由での自動車の修理は年間3万台程度とされ、合計の被害額は「想像もつかない」(大手損保関係者)という。
これについては、保険料率算定機構が毎年集計している、対物および車両の平均損害額(修理費)と云うのがあるが、対物で26万、車両で29万(共に税含まず)という2021年の数値がある。ここで、損保が指定工場としてビッグモーターへ入庫誘導するのは、車両保険の対象車がある程度多いと経験上値として理解している。対物を入庫誘導した場合、トラブルが生じがちな点より。そこで、車両の平均修理費29万円だが、これにどの程度上乗せされたのかは記されていないが、少なくと20%相当(58千円)程度はあったとすると、3千件の中での1200件として5千8百万円だ。
また、損保からビッグモーター社への年間入庫誘導件数は3万台程度されるとあるので、サンプル3千件の10倍だから、同じく4割の不正率として年間12千件あったということが類推される。となると不正詐取した金額は5億8千万円ということになる。
記事には本来使わずに済んだ保険を使うことでユーザーに不利益を与えたので、既に返金を始めているとのことが記してあるが、そんな案件は微々たるもので、保険の等級ダウンは保険の使用もしくは不使用で下がるか下がらないかというデジタル的なもので、不正により等級ダウンが生じることはない。入庫時点で損保は、備金計上のためある程度の見込み値をコンピューターインプットするのだが、この時点で少額だと顧客に説明するなどして保険を使わない場合として対応している場合がほとんどだろう。ただビッグの場合は、そういう場合で、膨らまし保険を使う様になったと云うことだろうが、そういう見た目にも損害が小さい車両では、そうそう膨らませることはできまい。こういう話しが出て来ることも、損保の欺瞞が現れていると私は見る。つまり、子細もないことをあえて契約者をおもんばかる様な説明で、本来のビッグ社に対する検査管理義務を尽くしていなかったことへの糾弾を逃れようとしているのではないか。
私は思うのだが、当該損保3社の全契約者に対し、正しい査定をしていなかったことで、不信を与えたことを陳謝すべきであろう。そして、ビッグ社と同業の多くのマジメな修理業は、しばしば保険会社に値引き要求などされている事例を知る時、そういうマジメな工場に対する裏切り行為は、許されないと思う工場は多いのではないだろうか。
また、今回の損保3社は広く国民たる一般契約者や修理業界に与えた不信に対する理解を得るためには、今回の報告書全文を公開すべきであろう。そうして、透明度を高め、ビッグ社との付き合いたる指定工場とか、そもそも代理店契約を解除する必用があろう。その上で、今回の保険金不正請求事案として告訴し、民事賠償も求めるという毅然とした態度を取らねば、信頼は回復できないと思うところだ。
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中古車ビッグモーター、修理の4割で保険金過大請求疑い
日本経済新聞 2023年7月7日 17:56
中古車販売大手ビッグモーター(東京・港)が事故車の修理に伴う保険金を水増し請求し、過大に保険金を受け取っていたことが分かった。関係者によると不正が疑われる案件の割合はサンプル調査で4割超に上った。不正が横行していた実態が浮き彫りとなり、損害保険大手各社は契約者の救済に動く方針だ。
ビッグモーターは外部弁護士でつくる調査委員会がまとめた報告書の内容を7日までに複数の損保へ説明した。関係者によると、全国の整備工場から無作為に抽出した約3000件の修理案件を調べたところ4割超にあたる1000件以上で不適切な行為の疑いがあった。
具体的には車体に故意に傷を付けたり、不要な部品交換や塗装をしたりしていた。実施していない架空の作業を計上し、損保会社に報告したこともあったという。こうした不正行為は全国各地で確認された。損保大手経由での自動車の修理は年間3万台程度とされ、合計の被害額は「想像もつかない」(大手損保関係者)という。
水増し請求で修理代が高額になった結果、本来つかわずに済んだ保険を使うことで自動車保険の等級が下がり、契約者は割高な保険料を支払っている可能性があるという。損保側はこうした契約者の等級を是正し、払いすぎた保険料を返還するため、ビッグモーターに対してより詳細な調査と情報開示を求める方針だ。損保会社自身も保険金の過払い分の返還請求を検討する。
報告書は不正の原因として、整備工場に不合理な目標設定を強いていたことや、上司の裁量による不適切な降格処分があったと指摘。コンプライアンス(法令順守)意識が低く、ガバナンス(企業統治)が機能不全に陥っていた点を問題視した。
不正行為は2022年3月ごろ、内部告発で表面化した。ビッグモーターは整備現場の経験不足や手続きのミスなどと報告したが損保側が納得せず、客観性のある網羅的な調査を求めていた。損保各社も独自に調査しており、ビッグモーターの不正行為が確認された一部の契約者に対してはすでに保険料の返還を進めている。
ビッグモーターは5日付で、公式ホームページで調査委員会から報告書を受け取ったと公表した。「事態を重く受け止め、企業体質の改善に努める」としているが、どのような不正行為があったかなど報告書の中身はほとんど明らかにしておらず、損保各社は引き続き公表を求めていく。
一方、損保側はビッグモーターを優良事業者として、契約者から事故の連絡があった際には修理工場として紹介していた。同社は保険代理店として自賠責保険を取り扱い、紹介数に応じて自賠責の契約数を損保各社に割り振っていた。損保各社は自社の契約を増やすためビッグモーターに誘導していた側面もある。
不正行為をただせなかった損保側の責任を指摘する声も出ており、こうした保険金の水増し請求が自動車修理業界の慣行となっていないかも焦点となる。