私の思いと技術的覚え書き

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【再掲】疑義事案との闘い(その5)

2021-10-22 | 賠償交渉事例の記録
【再掲】疑義事案との闘い(その5)
初稿2008-09-08
 モラルリスク事案との闘いについて、第5回目を記してみたい。

 今から20数年前、私がアジャスターとしての活動を始めて、数ヶ月過ぎた頃のことだったと思い出す。報告された事故状況は、右カーブで運転操作ミスでガードレールに衝突した単独自損事故による車両保険としての扱いの事故だった。

 そして、工場に事故現車を立会した訳だが、当該現車は車種はまるで異なるが掲載写真の様な損傷を生じていたのだった。この損傷状態を見た瞬間、当時経験不足の当時に私は、身震いするような緊張を生じたことが思い出される。この損傷写真例を見てお判りのように、フロントバンパーには直入力する様な大きな損傷はなく、バンパー上のグリルやヘッドランプ、そしてボンネットが大きく損傷しているというもので、典型的な追突車両の損傷形態なのだ。もし、右カーブでガードレールに衝突したのであれば、車両の左前部や左側面が損傷するのが普通のことであるのは、誰でも判るだろう。

 この際は、何故経験不足もあったのだが、入庫工場から入庫日や聞いている事故状況等を一応は聴取しましたが、緊張していたこともあり、今となってはあまり記憶にもない。ただ、損傷部位の錆の状態は、事故報告にある数日経過と照らし合わせ、大した発錆を生じている訳でなく違和感はなかった記憶はあるのだ。

 この様なモラルリスク事案だが、損傷状態等から判断して疑念を断定するまでは訳ない。そこから、そのことを立証し保険金の支払いを拒絶するまでが、ある意味で大変さが生じる訳ことになる。

 この際のその後の経緯だが、当然のこととして、契約者さんに連絡を入れ、事故現場を確認したいことを要請した訳なのだ。ところが驚いたことに、この契約者さんは、「ガードレールは若干曲がったが自分でハンマーで叩いて直してきた」等と云うのだ。当然、そんな馬鹿な話しがある訳ない思うのが当然だろうが、この時点ではそこまでの話しはできはしない。

 結局、この事案は、追突した事故であることを前提に、社外調査機関に依頼し、警察での調査をお願いしました。そして、当該車両に事故報告日より更に約1ヶ月前に生じている追突事故が有ることが判明し、事故証明書も入手でき、支払いを拒絶したのであった。

 なお、この事故だが、約1ヶ月前に車両保険の担保追加が行われていた。通常、保険加入や担保追加から7日から14日位までと会社によって若干違いがあるのかもしれないが、保険の新規加入や担保種目の追加がなされて事故日までが接近している事故を「接近事故」として、契約の経緯や保険料の入金、事故状況等々を念入りに調査する規定になっている訳なのだ。そんな、こともあり1ヶ月という間を置いて事故報告を行って来たと想像されるが、先にも記した通り損傷部位に大した錆びも生じていなかったので、事故現車は建物内で毛布やシートなどの保護カバーを被せ保管されていたことが想像される。



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