トヨタ・無償後付けハードウェアで安全性アップ
これは従来だと余りない事例だろうと思えるが、トヨタが昨年発売開始をした、新型レクサスLSとFCV車のMIRAIに、無償後付けで追加3ヶのLiDAR(レーザーレーダー)のハードウェアセンサーを追加して、安全性のアップを図るという。
この様な追加センサーの装備は、生産工場での取付なら、さほどに工数の上昇もなく、マイナーチェンジなどの機会を捕まえて行うのが通例だが、もしかするとが現状のセンサー数だと、幾らソフトをバーションアップしても求められる性能を得られず、このまま放置すると事故発生が生じた場合のPL訴訟で負ければ、(特に米国などでは)過大な賠償金のために到底埋め合わせることができないためのやむを得ぬ処置だろうと想像するのは私見だ。
しかし、こういう処理ができるのも、さすが利益2兆円を超えるトヨタならではの実力だろう。だいたい、テスラなどは、株式時価総額はトヨタを上回るが、その実力はたぶんトヨタの10%にも満たないものでしかなく、予め販売時にハードウェア本来のポテンシャルをソフトウェアで制限しておき、追加料金を支払った場合のみハードウェアのポテンシャルを引き出せるという姑息な商売を行っている。
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トヨタ初の“ハード更新”でOTAを進化 LiDAR3個後付け無償
久米 秀尚 日経クロステック/日経Automotive
2021.06.10
トヨタ自動車が異例の対応を決めた。2021年4月に発売した高度運転支援技術「Advanced Drive(アドバンストドライブ)」を搭載する高級車「レクサスLS」とFCV(燃料電池車)「MIRAI(ミライ)」に今後、3個のLiDAR(レーザーレーダー)を後付けで無償追加する(図1)。販売後の車両の部品を更新する“ハードウエアアップデート(ハード更新)”は、トヨタとして初めての取り組みとなる。
前方LiDAR(レーザーレーダー)や深層学習(ディープラーニング)ベースのAI(人工知能)技術、OTA(Over The Air)によるソフトウエア更新など、新技術を多く盛り込んだ。(撮影:日経Automotive)
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今後、他の車両にもハード更新を展開していく意向だ。Advanced Driveに次ぐ第2弾として検討しているのが、クルマを月額一定の料金で利用できるサブスクリプションサービス「KINTO(キント)」の車両である。同社は21年6月7日、ソフト更新で走行性能を高めるサービスを発表。トヨタ幹部が、ハード更新にも踏み込むと明かした。
Advanced Driveの詳細
トヨタ、運転支援でAI初採用、レクサスLSとMIRAIから
LiDAR4個「間に合わなかった」
「本当は後方や側方にもLiDARが欲しかった。だが、当社が求める性能のセンサーが、4月の発売のタイミングでは間に合わなかった」。Advanced Driveの開発を担当した川崎智哉氏(同社自動運転・先進安全開発部第8開発室長)は打ち明ける。トヨタはかねて、今回のレクサスLSの部分改良でLiDARを一気に4個採用する意向を示していた。蓋を開けてみれば、LiDARは前方監視用の1個だけの搭載となった。
20年7月時点では4個搭載の意向だった
トヨタが異例のLIDAR4個、20年冬発売「レクサスLS」で
実際に発表となった車両には検討の痕跡が残る。外観の後方と側方に、LiDARを搭載するためのスペースが樹脂のカバーで覆われていた(図2)。
図2 発売当初はLiDAR1個に
車両の後方と側方には、LiDARを追加するスペースを設けている。(撮影:日経Automotive)
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開発当初の計画とは異なる形で、偶発的に実現した可能性が高いトヨタ初のハード更新。だが、同社が推進する“ソフトウエアファースト(ソフト第一)”の方針と相性は良さそうだ。
ソフト第一とは、まずソフトのアーキテクチャーを開発し、そこに最適なハードウエアを組み合わせる考え方。OTA(Over The Air)によるソフト更新によって、新しい機能を頻繁に投入することを目指す。
OTAによるソフト更新の課題の1つは、アルゴリズムの改良に対応できるように高性能なハードをあらかじめ盛り込む必要があること。だが、過剰なハードの搭載は車両コストを増大させるだけだ。トヨタ自動運転・先進安全開発部第8開発室グループ長の松村健氏は「数年先のソフトの進化を見越して必要十分なハードを選定するのは非常に難しい。余力の見極めが重要になる」と語る。
これは従来だと余りない事例だろうと思えるが、トヨタが昨年発売開始をした、新型レクサスLSとFCV車のMIRAIに、無償後付けで追加3ヶのLiDAR(レーザーレーダー)のハードウェアセンサーを追加して、安全性のアップを図るという。
この様な追加センサーの装備は、生産工場での取付なら、さほどに工数の上昇もなく、マイナーチェンジなどの機会を捕まえて行うのが通例だが、もしかするとが現状のセンサー数だと、幾らソフトをバーションアップしても求められる性能を得られず、このまま放置すると事故発生が生じた場合のPL訴訟で負ければ、(特に米国などでは)過大な賠償金のために到底埋め合わせることができないためのやむを得ぬ処置だろうと想像するのは私見だ。
しかし、こういう処理ができるのも、さすが利益2兆円を超えるトヨタならではの実力だろう。だいたい、テスラなどは、株式時価総額はトヨタを上回るが、その実力はたぶんトヨタの10%にも満たないものでしかなく、予め販売時にハードウェア本来のポテンシャルをソフトウェアで制限しておき、追加料金を支払った場合のみハードウェアのポテンシャルを引き出せるという姑息な商売を行っている。
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トヨタ初の“ハード更新”でOTAを進化 LiDAR3個後付け無償
久米 秀尚 日経クロステック/日経Automotive
2021.06.10
トヨタ自動車が異例の対応を決めた。2021年4月に発売した高度運転支援技術「Advanced Drive(アドバンストドライブ)」を搭載する高級車「レクサスLS」とFCV(燃料電池車)「MIRAI(ミライ)」に今後、3個のLiDAR(レーザーレーダー)を後付けで無償追加する(図1)。販売後の車両の部品を更新する“ハードウエアアップデート(ハード更新)”は、トヨタとして初めての取り組みとなる。
前方LiDAR(レーザーレーダー)や深層学習(ディープラーニング)ベースのAI(人工知能)技術、OTA(Over The Air)によるソフトウエア更新など、新技術を多く盛り込んだ。(撮影:日経Automotive)
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今後、他の車両にもハード更新を展開していく意向だ。Advanced Driveに次ぐ第2弾として検討しているのが、クルマを月額一定の料金で利用できるサブスクリプションサービス「KINTO(キント)」の車両である。同社は21年6月7日、ソフト更新で走行性能を高めるサービスを発表。トヨタ幹部が、ハード更新にも踏み込むと明かした。
Advanced Driveの詳細
トヨタ、運転支援でAI初採用、レクサスLSとMIRAIから
LiDAR4個「間に合わなかった」
「本当は後方や側方にもLiDARが欲しかった。だが、当社が求める性能のセンサーが、4月の発売のタイミングでは間に合わなかった」。Advanced Driveの開発を担当した川崎智哉氏(同社自動運転・先進安全開発部第8開発室長)は打ち明ける。トヨタはかねて、今回のレクサスLSの部分改良でLiDARを一気に4個採用する意向を示していた。蓋を開けてみれば、LiDARは前方監視用の1個だけの搭載となった。
20年7月時点では4個搭載の意向だった
トヨタが異例のLIDAR4個、20年冬発売「レクサスLS」で
実際に発表となった車両には検討の痕跡が残る。外観の後方と側方に、LiDARを搭載するためのスペースが樹脂のカバーで覆われていた(図2)。
図2 発売当初はLiDAR1個に
車両の後方と側方には、LiDARを追加するスペースを設けている。(撮影:日経Automotive)
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開発当初の計画とは異なる形で、偶発的に実現した可能性が高いトヨタ初のハード更新。だが、同社が推進する“ソフトウエアファースト(ソフト第一)”の方針と相性は良さそうだ。
ソフト第一とは、まずソフトのアーキテクチャーを開発し、そこに最適なハードウエアを組み合わせる考え方。OTA(Over The Air)によるソフト更新によって、新しい機能を頻繁に投入することを目指す。
OTAによるソフト更新の課題の1つは、アルゴリズムの改良に対応できるように高性能なハードをあらかじめ盛り込む必要があること。だが、過剰なハードの搭載は車両コストを増大させるだけだ。トヨタ自動運転・先進安全開発部第8開発室グループ長の松村健氏は「数年先のソフトの進化を見越して必要十分なハードを選定するのは非常に難しい。余力の見極めが重要になる」と語る。