私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

【書評】東京と神戸に核ミサイルが落ちたとき所沢と大阪はどうなる

2021-08-10 | 論評、書評、映画評など
【書評】東京と神戸に核ミサイルが落ちたとき所沢と大阪はどうなる
 こう暑いと、しかも相も変わらずコロナ下だから、室内で寝転びながらクーラーの風に当たりつつ、読書をしているという場面が多い。

 大抵の場合、午前中はPCで情報チェックなどして過ごすが、昼飯しますと、寝床に横になり読書となるのだが、30分もすると睡眠モードで数時間の昼寝となってしまうことが多いのだが。

 さて、表題の「東京と神戸に核ミサイルが落ちたとき所沢と大阪はどうなる」というちょっと長ったらしい新書なのだが、「兵頭 二十八」という初めて聞く著者の本だ。端的に云って軍事アナリストという方の様で、中国および北朝鮮の核戦略の話しを中心に記しているのだが、先にも記した様に横になるとすぐねてしまうので、かなり斜め読みをしたもので、とても十分読み込んだとは云えない感想である。

 とはいえ、文章力は大して誇るべきものはないが、他人の作った社内文書だとか事故車見積もそうだが、さっと一瞥しただけで、疑問点、表現の不適切、欠点などは、たちどころに読み取る速読術には、いささか自信を持っているところもあり、得られた要点のみ書き留めておきたい。

 まず、この著者の文章だが、とてつもない陰謀論というべきものはなく、あくまで得られた情報からまとめ上げたもので、決して断定口調で記したものではないが、付属した諸情報の上に論理構築した文体で、およそ裁判所の判決文より論理的だし、ましてやデタラメもここまで至りの感を持つ、現内閣首脳陣とか五輪委員達の言説より余程説得力がある。

 まず、中国にしても北朝鮮にしても共産党独裁政権では、自国の軍事的プレゼンス(存在感)を米国に示して一目置かせたいという点で共通している。また、北朝鮮は、対米国もだが、対中国に対するプレゼンスの示威を望むことは真理なのだろう。

 そうした中、中国の核兵器の保有数、能力、精度など、米国におよぶべくもないのだが、北朝鮮はさらにただ核兵器があります状態で、著者はICBMに果たして米国ほどにコンパクト化した核を乗せて飛ばせる能力があるのかさえ疑問だと記している。

 こうした情勢であるので、中国しても北朝鮮にしても、米本土もだが、日本に存在する米軍基地を核攻撃することは、直ちに米国の核報復を生むので、到底できまいと結論付けている。

 そこで、でてくるのが、米国だとか、北朝鮮が北京に核を撃ち込む能力を示す恣意として、日本に核を使用することはあり得るだろうとしているのだ。そして、それは根底に儒教思想の嫉みを日本に抱いていることがあるというのである。

 ところで、核兵器というのは、その起爆により中心部に、数千度を超える火球という火の玉を作り、その後。それが膨張することで高速度の爆風を生み出すこと程度は知っていた。だから、地表面で起爆するよりある程度の高さで起爆した方が、破壊効果を高められることが当初から予測されていて、広島や長崎も数百メートル上空で起爆させていたのだ。

 ところが、北朝鮮がもし日本を核攻撃するとすれば、東京のある地点に3発の核弾頭を打ち込み、その起爆は地表面だというのだ。この3発というのは、不発だとか精度が狂う可能性から成功確率を高めるための3発なのだが、何故被害が少なくなる方向となる地表面での起爆なのか。

 これは地表面で起爆すると、地表面はあらゆるものが溶かされ蒸発し、クレーターが残るが、残るのはクレータだけでない。強う放射線を帯びた土壌が生成され、少なくとも半世紀は人が近づくこともできなくなるというのだ。つまり首都東京の中心部に直径数キロの無人地帯を作り出すことで、日本を事実上最貧国化してしまおうというもので、合わせて北朝鮮の発射基地と東京までの距離と、同じく北京までの距離が近似しているから、中国に対する強い示威を示そうという考え方を述べている。

 なお、端折るが、純軍事的に中国が日本で、核攻撃を第1候補とするのは、横須賀米軍基地であり、ここをやられると米国の対中国に対する脅威は大幅に弱まる。また、第2候補は、神戸の三菱および川重の潜水艦ドックだという。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。