写真は最新型ベンツSクラス(221型)のステアリングホイール付近です。国産車でもそうですが、最近はステアリングのホーンパット部に、オーディオや空調のコントロールのスイッチが配置されることも希ではない時代となり?ました。
昔は、ステアリングにはホーン用のスイッチ機構しかなく、回転に対応したホーン用の接点リングしかなかったものです。しかし、現代の様なエアバックが採用されてから、電気的な信頼性の確保の必要から、接点ではなく導通線としてのスパイラルケーブルが採用されています。
では、先の様なオーディオや空調等の種々のコントールスイッチに対応するために、それぞれの接点や導線を設けているのでしょうか。もし、そんなことをしようとしたら、ステアリングコラム部が恐ろしく複雑になってしまうでしょう。この様な部位は、多重通信の原理が利用されています。
多重通信とは、非常に多くの種別がある様ですが、あまり専門的なことは私には判りません。しかし、現在のインターネットでもパケット通信システムという多重通信によるネットワークシステムが使用されています。ですから、たった1本の光ファイバーを介して、多くのユーザーが同時に通信を行っていることが知られています。
そんな技術革新の上で、この様なステアリングホイール上の多種類のスイッチが実現されている訳です。ところで写真等で知るF1マシーンでも、今やステアリングホイール上に、総ての表示デバイスとスイッチが配置され、インストルメントパネルはなくなってしまっている様です。
この様な多重通信ですが、今やクルマの中で多数使用されるECU間の協調制御のための通信にも利用されています。それが、CANとかFlexRayという通信規格(ネットワーク・プロトコル)であるのです。しかし、ステアリングにそんなスイッチはまったく不要と思う私は、古い考え方なのでしょうか。
追記
このSクラスもインストルメントパネルやホーンパットにまで本皮張りが施されています。確かに、本皮張りは高級感があると感じられるものです。しかし、輸入車の本皮張りでないスラッシュ成形のインストルメントパネルやドアトリミング等は、国産高級車より品質が劣るものが多いと感じられます。私の乗ってる10年前のBMWでも、同時代の国産車より内装材の表面品質感(シボ模様)が劣り、作りが悪いなあと感じられます。この辺りの製造技術は、国産車つまり国内部品サプライヤーが優れているということなのでしょう。
内装の品質は、外装のデザインや品質と共にクルマの魅力を決める要素の一つとなると感じます。但し、ポルシェ車等、正直云ってどのクルマのインストルメントパネルや内装材全般に高級感に欠けるなあと感じてしまいます。しかし、クルマとしての魅力は感じてしまうから不思議です。