私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

大企業が喘ぐ現在

2009-01-31 | コラム

 連日、大企業の本年度決算が大幅赤字だとか、人員整理や賃金カットをする等の報道が連呼される毎日です。

 特に落ち込みが酷いのは、やはり外需中心の輸出企業ですが、内需の購買意欲も相当に落ち込んでいますから、内需企業の倒産もちらほらと聞こえてきました。

 こんな中、自動車メーカーでも、とりあえずトヨタ、ホンダ、ダイハツ、スズキ辺りは大丈夫でしょうが、その他メーカーは今後どうなることやらと想像せざるを得ません。

 最もやばそうなメーカーが、三菱自動車だと思います。これは私の勝手な思いですが、そもそも大三菱コンツェエルンという企業群のそれぞれに、あまり良いイメージを持っていません。まあ、私の場合、財閥と云われる大企業にそもそも良いイメージがありませんし、財閥系でなく近年成り上がった大企業についても、同じ様な思いを持ってしまいます。その理由は、それら企業が掲げる企業理念と実際に行って居ることの乖離が大きすぎことや、経営者と称する者共の、余りに身勝手な発言を聞く機会が多いからでもあります。

 そんな、財閥企業群の中で、特に親方日の丸のお坊ちゃま企業が三菱自動車だと思っています。想像ですが、他の三菱系企業の経営陣達は、どうしょもないなあと機会がある毎に嘆いているのでしょう。

 10年近く以前のリコール騒動にしてもそうですが、この会社は危機意識が希薄というか、恐竜の様に指先の知覚を脳に達するまでのタイムラグが大きすぎる会社だろうと想像してしまいます。

 作ってきたクルマの、総て悪いとは思っていませんが、やはり多くの人々の支持を受けぬ製品が多すぎた故の業績発展の遅滞という結果なのだと思っています。その大きな要因は、デザイナー(意匠とエンジニアリング)の不足であって、それは結局は首脳陣の問題意識の希薄さを表すものです。そして、生産システムの旧態依然さにもあると感じてしまします。

 この生産システムの旧態依然さを表すものに、ここのクルマのプラットフォームの作り方で感じられることですが、バックパネルの組み付け順序のことがあります。

 クルマのボデーの生産ラインの順序を大まかに示すと、プラットフォーム(床部分)から、組立が始まり、その後にサイドパネル、最後にルーフパネルというものとなります。ところで、このメーカーのバックパネルは、プラットフォーム(床部分)の組立時に装着されており、その後にサイドパネルが組み付けられるという順序となります。つまり、サイドパネルに対し、バックパネルが内側となるパネルの合わせ構造となっているのですが、国内ではこのメーカー以外で、この様な構造にしているメーカーはありません。

 この様な構造は、後部衝突において比較的取替頻度の多いバックパネルの取替に際し、旧品を取り外し難く、新品を取り付け難いという難点を生じていますが、昔から変えようともしないのがこの会社の気風なのだと感じます。

 話は変わりますが、アイというこの会社の軽自動車があります。スタイルとしては、独自性があって後部のデザインを除いては悪くないものと思います。想像ですが、多分この会社にこの様なデザイン能力がある者はおらず、外部委託のデザインが基本なんだろうと想像します。

 パッケージングについても、今やFF車オンリーといえる現実的な選択の中にあって、あえてミドエンジン(実質はRRに近い)という、独自のプラットフォームまで開発して発売しているのですから、新しい提案をするという意味においては企業活動として悪くはないとも思います。しかし、企業の体力だとか、この新しいプラットフォームを広く拡張出来うる発展性を考慮したとは到底想像できやしません。そして、売れ行きも芳しくないこの様なクルマの開発を許した、経営陣の甘さしか見えて来ません。

 このアイベースのEVカーを今年出すそうですが、どうやら企業向けの大口ユーザーだけに1500台程を販売することの様です。リチウムイオン電池のコストの問題もあって、低価格化が困難だとか問題もあるのかもしれませんが、当初のプリウスの様に原価割れしても、購買潜在力を引き出し様な戦略が必用なんだろうと思ってしまいます。

 ところで、これが、スズキの渋ちん親父の修さんなら、同一プラットフォーム車を多車種に展開出来ない限り、絶対開発させないと思います。現に、スズキの軽は、ジムニー以外はほとんど同一のプラットフォームで作っている超ケチクルマばかりですから。

 この会社は解散し、三菱重工の一部門として再出発するのが良いのではないかと思います。ただ、気の毒なのは、ここの販売店の方々です。散々、売れないクルマばかりを押し付けられ、リコール騒ぎで信頼を失い、メーカーと販売店の立場における宿命的な関係とはいえ、可哀想なものです。




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1 コメント

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三菱系のディラーの倒産は07年から全国で数多く起... (一アジャスター)
2009-02-01 09:58:53
三菱系のディラーの倒産は07年から全国で数多く起きています。まったく管理人さんの言うとおりで、メーカーは手厚い資本で生き残り末端(失礼)地元資本のディラーは倒産していきます。ある三菱ディラーはわずか13億円という負債で倒産しました。メーカーの接待費にも及ばぬ金額では無いでしょうか?倒産する前のディラーび立会いに行くと、なんとも言えぬ規律の無さや投げやりな態度が見えます。きっと社員の皆様はただならぬ雰囲気を感じ取っていたんだと思います。ディラーの外注工場も依存していた先が倒産で少ない売り上げも回収出来なかったのでは心配してしまいます。
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