過日、トヨタが”やっと”ル・マンで総合優勝したそうだが・・・。昨今は、Cカーに持てる情熱を傾けて来たポルシェも、TDIディーゼルエンジンで気を吐いたアウディも、往時の意欲は失せた様で(経営事情もあり許されなくなったのだろう)、世界最大のクルマメーカーたるトヨタの当然の優勝なんだろうと冷めた目でさほど感心なく聞く。
ル・マンといえば、ユノディーエルという6km近い直線があり、マシンの高性能化と共に最高速は400km/hを超え出した。そこで、安全上の問題が提起され、現在では抑制するためのシケインが2カ所設置されたそうだ。しかし、思うのはレーシングマシン故に市販車に比べれば軽いとはいえ、Cカーでは1トン前後あるだろうクルマを、400km/hからミュルザンヌコーナー手前で極短時間に100km/h以下まで減速する際、すなわち運動エネルギーの吸収は大変なものだろう。これはディスクブレーキの放熱性も当然寄与するが、時間的に放熱だけでは間に合わず、ディスクプレートを一気に昇温させうる、いわゆる熱容量が問題になってくるだろう。
考えて見れば、昔乗って来たカリーナ(TA12とRA45つまり1600と2000cc)は、フロントディスクだが、何れもソリッドディスク(ベンチレでない)で、その差はディスク厚みが2mm程、2Lの方が厚いという、熱容量だけを上げたものだった。こんなブレーキだから、峠のワインディング下りをハイペースで飛ばすと、焦げ臭い臭いと、明らかに踏力が増加するフェードを感じ取れたものだった。しかし、今では軽自でさえフロントはベンチレーテッドディスクが付いているし、普通車でもちょっと上級だと、後輪もディスクという4輪ディスクが当たり前になった。しかし、トラックでは3トンクラス程度までの前輪ディスクは普通になったが、中・大型の前輪のみならず総輪ディスクは、だいぶ前に開発されてはいたものの、普及はしなかった。しかし、昨今は普及度が増しつつある様だ。
ブレーキには、絶対的な制動力(如何なる時でもタイヤをロックさせ得る力と考えて良い)も大切だが、安定性が求められる。安定性とは、繰り返し使用時のフェードを起こしにくいことだけではない。踏力に応じて効くという安定性も大事なことだろう。これは、整備をやる皆なら気付いているだろうけど、走行初回のブレーキングでカックンブレーキになり易いとか経験あると思う。昔の体験談だが、クラウンMS60というクルマを引き取りに行き、走り始めの緩やかなコーナーで軽いタッチでブレーキングしたら、クルマが横向いて肝冷やす思いをしたことがある。これは、フロントディスクでリヤがドラムだが、デュオサーボという形式で、リーディングシューにトレーリングシューが押されるという方式で、高い自己倍力作用を持つ方式だ。これとか、フロントドラムだとホイールシリンダを2つ持った、2リーディングという形式が多用された。しかし、乗用でも商用貨物でも、これら高い自己倍力作用を持つブレーキは、昨今は減っていると思う。ドラムブレーキでも、リーディングトレーリングという、比較的自己倍力がそれ程大きくないタイプが多くだろう。
何時もの悪い癖でずらずらと下らないことを記して来たが、今回の主題に入りたい。ディスクブレーキには、いわゆる2ピースタイプと呼ばれるディスク部とベル部(ハブ嵌合部)が分離構造になってるものがある。比較的、高性能車に使われる方式だが、ディスク部はFC鋳鉄(もしくはスーパースポーツ&レーシングはC/C材)でベル部はアルミ合金製が多く、その結合はウェーブワッシャを挟んだボルト結合がなされている。これは、ディスク部の昇温によりベル部との角度関係のズレを吸収し、ベダル踏力やストロークが増加しない様にという設計思想なのだろう。
ちなみに、写真のちょっと以前のAMGディスクだが、ボルト結合もなく一見1ピースだが、よく観察すると、ディスクとベルは軸径5mm程のシャフトの鋳込みで結合成型されているという凝ったものと判る。つまり、これは2ピースと同様の効果を狙ったものだといえよう。そして、もう一つ、ベンチレーションのスリットに傾斜が付いていることも判るだろう。通常は傾斜なしの放射状で、左右の互換がある。しかし、このディスクは、回転方向が決まっており、積極的に空気を吸い込もうという設計であることが判る。
ル・マンといえば、ユノディーエルという6km近い直線があり、マシンの高性能化と共に最高速は400km/hを超え出した。そこで、安全上の問題が提起され、現在では抑制するためのシケインが2カ所設置されたそうだ。しかし、思うのはレーシングマシン故に市販車に比べれば軽いとはいえ、Cカーでは1トン前後あるだろうクルマを、400km/hからミュルザンヌコーナー手前で極短時間に100km/h以下まで減速する際、すなわち運動エネルギーの吸収は大変なものだろう。これはディスクブレーキの放熱性も当然寄与するが、時間的に放熱だけでは間に合わず、ディスクプレートを一気に昇温させうる、いわゆる熱容量が問題になってくるだろう。
考えて見れば、昔乗って来たカリーナ(TA12とRA45つまり1600と2000cc)は、フロントディスクだが、何れもソリッドディスク(ベンチレでない)で、その差はディスク厚みが2mm程、2Lの方が厚いという、熱容量だけを上げたものだった。こんなブレーキだから、峠のワインディング下りをハイペースで飛ばすと、焦げ臭い臭いと、明らかに踏力が増加するフェードを感じ取れたものだった。しかし、今では軽自でさえフロントはベンチレーテッドディスクが付いているし、普通車でもちょっと上級だと、後輪もディスクという4輪ディスクが当たり前になった。しかし、トラックでは3トンクラス程度までの前輪ディスクは普通になったが、中・大型の前輪のみならず総輪ディスクは、だいぶ前に開発されてはいたものの、普及はしなかった。しかし、昨今は普及度が増しつつある様だ。
ブレーキには、絶対的な制動力(如何なる時でもタイヤをロックさせ得る力と考えて良い)も大切だが、安定性が求められる。安定性とは、繰り返し使用時のフェードを起こしにくいことだけではない。踏力に応じて効くという安定性も大事なことだろう。これは、整備をやる皆なら気付いているだろうけど、走行初回のブレーキングでカックンブレーキになり易いとか経験あると思う。昔の体験談だが、クラウンMS60というクルマを引き取りに行き、走り始めの緩やかなコーナーで軽いタッチでブレーキングしたら、クルマが横向いて肝冷やす思いをしたことがある。これは、フロントディスクでリヤがドラムだが、デュオサーボという形式で、リーディングシューにトレーリングシューが押されるという方式で、高い自己倍力作用を持つ方式だ。これとか、フロントドラムだとホイールシリンダを2つ持った、2リーディングという形式が多用された。しかし、乗用でも商用貨物でも、これら高い自己倍力作用を持つブレーキは、昨今は減っていると思う。ドラムブレーキでも、リーディングトレーリングという、比較的自己倍力がそれ程大きくないタイプが多くだろう。
何時もの悪い癖でずらずらと下らないことを記して来たが、今回の主題に入りたい。ディスクブレーキには、いわゆる2ピースタイプと呼ばれるディスク部とベル部(ハブ嵌合部)が分離構造になってるものがある。比較的、高性能車に使われる方式だが、ディスク部はFC鋳鉄(もしくはスーパースポーツ&レーシングはC/C材)でベル部はアルミ合金製が多く、その結合はウェーブワッシャを挟んだボルト結合がなされている。これは、ディスク部の昇温によりベル部との角度関係のズレを吸収し、ベダル踏力やストロークが増加しない様にという設計思想なのだろう。
ちなみに、写真のちょっと以前のAMGディスクだが、ボルト結合もなく一見1ピースだが、よく観察すると、ディスクとベルは軸径5mm程のシャフトの鋳込みで結合成型されているという凝ったものと判る。つまり、これは2ピースと同様の効果を狙ったものだといえよう。そして、もう一つ、ベンチレーションのスリットに傾斜が付いていることも判るだろう。通常は傾斜なしの放射状で、左右の互換がある。しかし、このディスクは、回転方向が決まっており、積極的に空気を吸い込もうという設計であることが判る。