私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

大型トラックのモデルチェンジサイクルから思う

2016-05-17 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 昨年、いすゞが大型トラックGIGAシリーズをフルモデルチェンジした。その従前モデルから通産21年ぶりのことである。ちなみに前々期モデル(810シリーズと呼称)は11年を経てモデルチェンジを行っている。

 三菱ふそうは現行スーパーグレートは1996年以来現在まで、20年間モデルチェンジは行われていない。従前モデルのグレートは13年でモデルチェンジした。

 日野は現行プロフィアは2003年のモデルチェンジだから13年を経ている。従前モデルのスーパードルフィン・プロフィアは11年でモデルチェンジした。

 UDトラックス(旧日産ディーゼル)は、現行クオンシリーズは2004年から現在まで12年モデルチェンジは行われていない。従前モデルのビッグサムは14年でモデルチェンジした。

 以上大型4社のモデルチェンジサイクルであるが、20年という長期に渡り作り続けられているのには驚く。一般的な国産乗用車が、4年毎もフルモデルチェンジが慣例の様に行われているのと比べると、驚くべき長期間のサイクルである。この理由であるが、現行大型トラックは、その従前モデルに比べモデルチェンジサイクルが長期化しているが、急速かつ段階的に引き上げられたディーゼルの排気ガス規制と無縁のものではなかったであろう。つまり、製造者にとって、まずは排ガス対策ありきで、とても車体のモデルチェンジにまで手が回らなかった(設備投資的にも)ということがいえるだろう。

 それと、90年代初頭のバブル崩壊、その後のリーマンショックなど、右肩下がりともいえる経済の実情にあって、当然の帰結であったのかもしれない。このことは、従来同様にモデルチェンジを繰り返している乗用車であっても、一部の例外を除き、外観意匠や内装は一新された様でいて、車体の根幹たるプラットフォームはそのまま踏襲しているとか、最小限の変更に止めた変更で済ませているという事例が多いのである。

 まあ、トラックの様な実用車にあっては、外観意匠の刷新による顧客の購買意欲促進より、実用、信頼性の確保が大事なところであろうし、何より生産台数のボリュームが乗用車とは違い過ぎるところに根源はあると思える。乗用車でヒット作ともなれば、年間数十万台の生産ともなろうが、大型トラックではせいぜい1万台止まりであろう。このことは、事故車でのボデーパーツの販売価を乗用車と比べて見れば判る。供給部品の価格は、トラックでも乗用車でも生産プラントでの原価に比し、10%程度のものであろうが、大型トラックの部品は高額さを感じずにはいられない。それだけ、製造ロットが少ないことによる単価アップが生じてしまうのだろう。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。